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Sランク登録
63.こんな恥ずかしい思い、やだ
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ウォーカーが瞬時に立ち上がりミリアを後ろに庇い、ディエチミーラのメンバーは僅かな動きで戦闘態勢をとった。
ウォーカーのスタッフはセオドラに向けられ、ロビンは大剣を抜き放っている。
アレンの周りにはサラマンダーとシルフが飛び回り、グレイソンは三人にバフをかけ終わりセオドラにはデバフをかけていた。
ソフィアとテスタロッサが真っ青になって固まった。
血の気が引き目の前が暗くなった。震えが止まらない手を握りしめてセオドラがディエチミーラに話しかけた。
「落ち着いてください。ミリアさんは犯罪を犯していないのだと我々は思っています」
(これがディエチミーラのデバフかよ。ヤバい気が遠くなりそうだ)
「その理由は?」
「犯罪者だと大騒ぎしている割には、ミリアさんは犯罪者登録されていないのです」
「グレイソン」
ウォーカーの一言でグレイソンがセオドラにかけたデバフを解除した。
どっと一気に吹き出した汗を未だ震えの治らない手で拭いながらセオドラが話を続けた。
「本当に国家反逆罪などと言う悪質な犯罪者であるならとっくに犯罪者登録され、ギルドカードにはハッキリとそれが表示されます。
ローデリアに確認したところ改悛の見込みがあれば罪に問わず更生を促すためだと返答がきました」
「ふざけた話だな。国家反逆罪で改悛の情を認める・・アホの子より酷えわ」
「その通りです。我々はミリアさんは冤罪だと思ってはいますが、一体何があったのか想像がつかなくて悩んでいます」
ミリアは大きく息を吸ってゆっくりと話しはじめた。
「一年と少し前、ローデリア国王の下知で叙爵して女伯爵になりました。
王宮お抱えの薬師にもなり第二王子殿下と婚約・・」
第二王子殿下は陛下のいない隙を狙い、ミリアを毒薬による暗殺未遂で断罪・婚約破棄して牢に入れた。
それを聞いた陛下は全てを無かった事にし、元通り薬を作らせようとした為ミリアは牢から逃げ出した。
セオドラとテスタロッサが呆然としてギルマスに笑われた。
「・・すっ凄い内容ですね。サラッと纏めてありますがなんと言ったら良いのか」
「吃驚するよなー」
「実は私達も詳しい事は聞けてないんです。
今、本部長達が聞いたのと同じ程度しか情報が入ってこなくて」
ウォーカーが落ち込んだ様子で語った。
「何故一気に伯爵だったんですか?」
「伯爵以上になれば行動を監視・制限できますから。
旅行するにも計画書を提出しなきゃいけませんし、国外へ出るのには許可がいります」
「余程王家で抱え込みたかったって事ですよね」
「ちょっと珍しい薬が作れるだけで。
ローデリアは帝国の支配から抜け出す為にそれを利用しようとしています」
「話に上がっている毒薬は?」
「いつも殿下に処方してた薬です。偶々私の当番でしたが他の薬師が一緒にいました。
その薬には少し毒が入っていたのは事実ですが」
「なんの薬なんですか?」
「よくある塗り薬です。
男の人や冒険者からは依頼を受けてしょっちゅう作っていた物です。
謁見の間に集まった大勢の重鎮の前で、塗り薬と明記されてる容器を高らかに見せびらかして、『もしこれを飲んでたら死んでた!』って」
「周りの人は?」
「平民の癖にって思ってる人が多かったですし。殿下の恋人は貴族で私と同じ薬を作れると思ってたみたいです」
「作れないんですか?」
「絶対に。彼女の腕は民間の薬師見習いってとこですから。
殿下は牢の中で薬を作れと大騒ぎして、作らないなら私の友人を捕まえて拷問すると。
私が捕まった時点でみんな国を離れる約束をしてあったので大事には至りませんでしたが。
陛下と宰相が全てをなかったことにすると。だから転送の護符を使って逃げ出しました」
「何の薬か聞いておきたいのですが」
「俺は使ってねえからな!」
ギルマスが身を乗り出して言い募った。
ミリアは溜息をつき、項垂れて小声で言った。
「みず・・です。サルファーが入っています」
(・・はぁ情けない、凄い間抜けみたいなんだもん)
その様子を見ていたギルマスが助け舟を出した。
「バカ殿下の水虫の薬なんだとよ。しかも殿下はそれをイン○ンの治療にも使ってたんだと。
ちびすけは水虫の薬を作って犯罪者になったって言うのが超恥ずかしいってよ。
人前で『しかもイン○ンにも使ってた薬です!』とは言いたくねえよなあ。
ちびすけも一応女の子だし?」
全員の息が止まった。ソフィアとテスタロッサの頬が真っ赤に染まり、セオドラが口を押さえて必死に笑いを堪えた。
ウォーカーがガタンと音を立てて立ち上がり、
「殺す、俺が息の根を止めてやる!」
ロビン・アレン・グレイソンの三名がスッと手を挙げて、
「「「参加」」」
「Sランク登録すると言うのはもしかして・・」
「アスカリオル帝国の皇帝に謁見の希望を出します」
「しかし信じてもらえるかどうか。勿論私達は信じますがあまりにも、その」
「証拠がありますから、謁見さえ叶えば全てはっきりさせることが出来ます」
「・・分かりました。直ぐに登録して謁見の申請を出しましょう。
ミリアさんが予想している通り、新規のSランク冒険者の謁見希望となれば皇帝は二つ返事で日程を組むでしょう」
「あの、証拠って何なのですか?」
それまで黙っていたテスタロッサが聞いて来た。
ウォーカーのスタッフはセオドラに向けられ、ロビンは大剣を抜き放っている。
アレンの周りにはサラマンダーとシルフが飛び回り、グレイソンは三人にバフをかけ終わりセオドラにはデバフをかけていた。
ソフィアとテスタロッサが真っ青になって固まった。
血の気が引き目の前が暗くなった。震えが止まらない手を握りしめてセオドラがディエチミーラに話しかけた。
「落ち着いてください。ミリアさんは犯罪を犯していないのだと我々は思っています」
(これがディエチミーラのデバフかよ。ヤバい気が遠くなりそうだ)
「その理由は?」
「犯罪者だと大騒ぎしている割には、ミリアさんは犯罪者登録されていないのです」
「グレイソン」
ウォーカーの一言でグレイソンがセオドラにかけたデバフを解除した。
どっと一気に吹き出した汗を未だ震えの治らない手で拭いながらセオドラが話を続けた。
「本当に国家反逆罪などと言う悪質な犯罪者であるならとっくに犯罪者登録され、ギルドカードにはハッキリとそれが表示されます。
ローデリアに確認したところ改悛の見込みがあれば罪に問わず更生を促すためだと返答がきました」
「ふざけた話だな。国家反逆罪で改悛の情を認める・・アホの子より酷えわ」
「その通りです。我々はミリアさんは冤罪だと思ってはいますが、一体何があったのか想像がつかなくて悩んでいます」
ミリアは大きく息を吸ってゆっくりと話しはじめた。
「一年と少し前、ローデリア国王の下知で叙爵して女伯爵になりました。
王宮お抱えの薬師にもなり第二王子殿下と婚約・・」
第二王子殿下は陛下のいない隙を狙い、ミリアを毒薬による暗殺未遂で断罪・婚約破棄して牢に入れた。
それを聞いた陛下は全てを無かった事にし、元通り薬を作らせようとした為ミリアは牢から逃げ出した。
セオドラとテスタロッサが呆然としてギルマスに笑われた。
「・・すっ凄い内容ですね。サラッと纏めてありますがなんと言ったら良いのか」
「吃驚するよなー」
「実は私達も詳しい事は聞けてないんです。
今、本部長達が聞いたのと同じ程度しか情報が入ってこなくて」
ウォーカーが落ち込んだ様子で語った。
「何故一気に伯爵だったんですか?」
「伯爵以上になれば行動を監視・制限できますから。
旅行するにも計画書を提出しなきゃいけませんし、国外へ出るのには許可がいります」
「余程王家で抱え込みたかったって事ですよね」
「ちょっと珍しい薬が作れるだけで。
ローデリアは帝国の支配から抜け出す為にそれを利用しようとしています」
「話に上がっている毒薬は?」
「いつも殿下に処方してた薬です。偶々私の当番でしたが他の薬師が一緒にいました。
その薬には少し毒が入っていたのは事実ですが」
「なんの薬なんですか?」
「よくある塗り薬です。
男の人や冒険者からは依頼を受けてしょっちゅう作っていた物です。
謁見の間に集まった大勢の重鎮の前で、塗り薬と明記されてる容器を高らかに見せびらかして、『もしこれを飲んでたら死んでた!』って」
「周りの人は?」
「平民の癖にって思ってる人が多かったですし。殿下の恋人は貴族で私と同じ薬を作れると思ってたみたいです」
「作れないんですか?」
「絶対に。彼女の腕は民間の薬師見習いってとこですから。
殿下は牢の中で薬を作れと大騒ぎして、作らないなら私の友人を捕まえて拷問すると。
私が捕まった時点でみんな国を離れる約束をしてあったので大事には至りませんでしたが。
陛下と宰相が全てをなかったことにすると。だから転送の護符を使って逃げ出しました」
「何の薬か聞いておきたいのですが」
「俺は使ってねえからな!」
ギルマスが身を乗り出して言い募った。
ミリアは溜息をつき、項垂れて小声で言った。
「みず・・です。サルファーが入っています」
(・・はぁ情けない、凄い間抜けみたいなんだもん)
その様子を見ていたギルマスが助け舟を出した。
「バカ殿下の水虫の薬なんだとよ。しかも殿下はそれをイン○ンの治療にも使ってたんだと。
ちびすけは水虫の薬を作って犯罪者になったって言うのが超恥ずかしいってよ。
人前で『しかもイン○ンにも使ってた薬です!』とは言いたくねえよなあ。
ちびすけも一応女の子だし?」
全員の息が止まった。ソフィアとテスタロッサの頬が真っ赤に染まり、セオドラが口を押さえて必死に笑いを堪えた。
ウォーカーがガタンと音を立てて立ち上がり、
「殺す、俺が息の根を止めてやる!」
ロビン・アレン・グレイソンの三名がスッと手を挙げて、
「「「参加」」」
「Sランク登録すると言うのはもしかして・・」
「アスカリオル帝国の皇帝に謁見の希望を出します」
「しかし信じてもらえるかどうか。勿論私達は信じますがあまりにも、その」
「証拠がありますから、謁見さえ叶えば全てはっきりさせることが出来ます」
「・・分かりました。直ぐに登録して謁見の申請を出しましょう。
ミリアさんが予想している通り、新規のSランク冒険者の謁見希望となれば皇帝は二つ返事で日程を組むでしょう」
「あの、証拠って何なのですか?」
それまで黙っていたテスタロッサが聞いて来た。
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