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ハーミット王国、ガンツの本領発揮
43.ソフィアはSランク
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「ユニコーンの角かぁ」
「流石のちびすけも持ってないか。持ってないもんがあって逆に安心したぜ、取り敢えず飯でも食うか? 下から貰って来てやるよ」
ギルマスが部屋を出て行き、ミリアはアイテムバックから通信具を取り出した。
(兄さんなら何か知ってるかな)
結局、兄に連絡する勇気をもてずにいるとギルマスが大量の料理を抱えて帰って来た。
どんとテーブルに料理を置き、
「ほら、しっかり食え。大きく・・何でもねえ。最近飯が美味くてよお、夜散々こき使われてっから腹が減ってしょうがねえ」
物凄い勢いで食事を平らげていくギルマスだったが意外に食べ方が綺麗な事に気付いてミリアは驚いた。
「そう言えばギルマスと一緒に食事するのって初めてですね」
「そうか? そういやあ、ちびはいっつも部屋に篭ってるもんな。
偶にはこっちに出てくりゃいいのに。気分転換にはなると思うぜ」
「ありがとうございます」
「手に持ってるのは通信の魔道具か?」
「はい、ユニコーンの事を聞こうかどうしようかと」
「角ねえ、あっ! ちょい待ってろ」
スプーンを置いたギルマスがあちこちの引き出しを開けたり閉めたり。
「あっれぇ、どこだ? 確かこの辺に」
ぶつぶつ言いながら部屋中を漁っている。
「おー、すっかり忘れてたよ。ほらコイツを使え」
「ユニコーンの角、これどうしたんですか?」
「んー、預かり物? 返す予定はねえから俺のもんだな」
「ダメですよ、預かり物なら返さなきゃ」
いいんだってと言いながら食事を再開したギルマスは、
「これで素材は揃ったんだろ? いやー、もっと早く思い出しゃ良かったぜ。後でソフィアに怒られるな」
「これはいただけません」
「返せねえんだよ。奴はもう死んじまったから」
角の持ち主コナーはギルマスが初めてパーティーを組んだメンバーの一人で、活動方針の違いから別のパーティーへ移ったが交流は続いていた。
「ある時金を貸してくれって。
でかい依頼に失敗して違約金が払えねえって言ってきたんだ。必ず返すからってそん時コイツを預かった。
んで、結局奴のパーティーは全滅した」
「だったらますますいただけません。コナーさんの形見じゃないですか」
「冒険者にはそういう考え方はねえよ。
そんなこと言ってたら冒険者なんかやってけねえ、ちびはやっぱ薬師だって事だな」
しんみりした雰囲気を吹き飛ばすようにドアがバーンと音を立てて開き、意気揚々と大きめの麻の袋を抱えたソフィアが入ってきた。
「ミイちゃんには大きすぎるけどって言ってました」
「何かあったか? えらく鼻息が荒いが」
「失礼な。でも確かにありましたけど」
工房からの帰り道、ソフィアは騎士団に絡まれた。
「おい、なんだそのでかい荷物は? ちょっと見せてみろ」
「何の権限があって仰ってますの? 私はギルドの職員です。見て分かりませんか?」
「だから何が入ってるのか聞い「冒険者に貸し出していた武器が破損したらしいので急遽代替え品を借りて来ただけです。職務の邪魔をするのであれば正式な書類をお持ちですか? 何もないのに邪魔をするならギルドから騎士団に抗議を致します!
それとも何か怪しいところでも?
騎士団は逃亡者を探しておられると聞いております。私が逃亡者に見えますか? この制服に見覚えは?」」
「いっ、いや悪かった。行っていいぞ」
慌てて逃げ出した騎士団を尻目にソフィアはギルドに戻ってきた。
「まあ、そんな感じですかね」
「やっぱりソフィアに頼んで正解だったろ? お前はAランクじゃなくてSランクにするわ」
その後、ギルマスがユニコーンの角を持っていた事を知ったソフィアの新たな攻撃目標が定まったことは言うまでもない。
「そろそろ俺じゃ役に立たなくなって来たな。もっと弓の扱いが詳しい奴じゃねえと」
ガンツに借りたコンポジット・ボウの練習は遅々として進まなくなった。
ギルマスの武器はクレイモアと呼ばれる両手持ちの長剣。
長さ一メートル、鍔は刃に向かってやや傾斜した形で左右に大きく張り出しており、その先端には四葉の形の飾り輪が複数ついているのが特徴。
その他の武器もある程度は使えるが、メインの武器のように精通しているわけではない。
「冒険者には何人かいるっちゃいるが・・うーん、どうしたもんか」
『何故エルフに頼まぬ?』
空にあるアルフヘイムに住む光のエルフは白に近い金髪を長く伸ばし明るい翠眼で色白。
一方、闇のエルフは地下に住み、黒い髪と茶色の目と肌をしている。
魔法に精通したエルフ達は美しくとても長命で、背は人間より少しばかり高いことが多い。
森や谷の豊かさと結びついており、自然崇拝や精霊・死者の魂に対する信仰心に溢れたとても穏やかな気質を持っている。
霧深い朝や夜の草原でエルフたちが踊りを踊った後には円形に踏みならされた草地ができており、フェアリーリングの周りは小さなキノコか鉱床で出来ている。
神聖なフェアリーリングの中を汚すと病気になると言われている。
「エルフ・・」
「ドワーフよりもっと珍しいぜ。どこに行けば会えるのかさっぱり・・ディー、いやドリアードお前もしかして」
「ふふーん、ディーもエルフも森や木をとっても大切にするんだもん。
アルフヘイムにはトレントもいるしねー」
「そうか! エルフか」
「ディー、何か良い方法を知ってたら教えて。お願い」
「人間に紛れて暮らしてるエルフやハーフエルフがいるじゃん」
「「えっ、聞いたことない」」
「人間に見つかると捕まっちゃうから」
ディーは腕を組んでプンプンと怒っている。
「どこにいるのか分かる?」
「勿論、ディーの広場に遊びに来てくれるもん」
「流石のちびすけも持ってないか。持ってないもんがあって逆に安心したぜ、取り敢えず飯でも食うか? 下から貰って来てやるよ」
ギルマスが部屋を出て行き、ミリアはアイテムバックから通信具を取り出した。
(兄さんなら何か知ってるかな)
結局、兄に連絡する勇気をもてずにいるとギルマスが大量の料理を抱えて帰って来た。
どんとテーブルに料理を置き、
「ほら、しっかり食え。大きく・・何でもねえ。最近飯が美味くてよお、夜散々こき使われてっから腹が減ってしょうがねえ」
物凄い勢いで食事を平らげていくギルマスだったが意外に食べ方が綺麗な事に気付いてミリアは驚いた。
「そう言えばギルマスと一緒に食事するのって初めてですね」
「そうか? そういやあ、ちびはいっつも部屋に篭ってるもんな。
偶にはこっちに出てくりゃいいのに。気分転換にはなると思うぜ」
「ありがとうございます」
「手に持ってるのは通信の魔道具か?」
「はい、ユニコーンの事を聞こうかどうしようかと」
「角ねえ、あっ! ちょい待ってろ」
スプーンを置いたギルマスがあちこちの引き出しを開けたり閉めたり。
「あっれぇ、どこだ? 確かこの辺に」
ぶつぶつ言いながら部屋中を漁っている。
「おー、すっかり忘れてたよ。ほらコイツを使え」
「ユニコーンの角、これどうしたんですか?」
「んー、預かり物? 返す予定はねえから俺のもんだな」
「ダメですよ、預かり物なら返さなきゃ」
いいんだってと言いながら食事を再開したギルマスは、
「これで素材は揃ったんだろ? いやー、もっと早く思い出しゃ良かったぜ。後でソフィアに怒られるな」
「これはいただけません」
「返せねえんだよ。奴はもう死んじまったから」
角の持ち主コナーはギルマスが初めてパーティーを組んだメンバーの一人で、活動方針の違いから別のパーティーへ移ったが交流は続いていた。
「ある時金を貸してくれって。
でかい依頼に失敗して違約金が払えねえって言ってきたんだ。必ず返すからってそん時コイツを預かった。
んで、結局奴のパーティーは全滅した」
「だったらますますいただけません。コナーさんの形見じゃないですか」
「冒険者にはそういう考え方はねえよ。
そんなこと言ってたら冒険者なんかやってけねえ、ちびはやっぱ薬師だって事だな」
しんみりした雰囲気を吹き飛ばすようにドアがバーンと音を立てて開き、意気揚々と大きめの麻の袋を抱えたソフィアが入ってきた。
「ミイちゃんには大きすぎるけどって言ってました」
「何かあったか? えらく鼻息が荒いが」
「失礼な。でも確かにありましたけど」
工房からの帰り道、ソフィアは騎士団に絡まれた。
「おい、なんだそのでかい荷物は? ちょっと見せてみろ」
「何の権限があって仰ってますの? 私はギルドの職員です。見て分かりませんか?」
「だから何が入ってるのか聞い「冒険者に貸し出していた武器が破損したらしいので急遽代替え品を借りて来ただけです。職務の邪魔をするのであれば正式な書類をお持ちですか? 何もないのに邪魔をするならギルドから騎士団に抗議を致します!
それとも何か怪しいところでも?
騎士団は逃亡者を探しておられると聞いております。私が逃亡者に見えますか? この制服に見覚えは?」」
「いっ、いや悪かった。行っていいぞ」
慌てて逃げ出した騎士団を尻目にソフィアはギルドに戻ってきた。
「まあ、そんな感じですかね」
「やっぱりソフィアに頼んで正解だったろ? お前はAランクじゃなくてSランクにするわ」
その後、ギルマスがユニコーンの角を持っていた事を知ったソフィアの新たな攻撃目標が定まったことは言うまでもない。
「そろそろ俺じゃ役に立たなくなって来たな。もっと弓の扱いが詳しい奴じゃねえと」
ガンツに借りたコンポジット・ボウの練習は遅々として進まなくなった。
ギルマスの武器はクレイモアと呼ばれる両手持ちの長剣。
長さ一メートル、鍔は刃に向かってやや傾斜した形で左右に大きく張り出しており、その先端には四葉の形の飾り輪が複数ついているのが特徴。
その他の武器もある程度は使えるが、メインの武器のように精通しているわけではない。
「冒険者には何人かいるっちゃいるが・・うーん、どうしたもんか」
『何故エルフに頼まぬ?』
空にあるアルフヘイムに住む光のエルフは白に近い金髪を長く伸ばし明るい翠眼で色白。
一方、闇のエルフは地下に住み、黒い髪と茶色の目と肌をしている。
魔法に精通したエルフ達は美しくとても長命で、背は人間より少しばかり高いことが多い。
森や谷の豊かさと結びついており、自然崇拝や精霊・死者の魂に対する信仰心に溢れたとても穏やかな気質を持っている。
霧深い朝や夜の草原でエルフたちが踊りを踊った後には円形に踏みならされた草地ができており、フェアリーリングの周りは小さなキノコか鉱床で出来ている。
神聖なフェアリーリングの中を汚すと病気になると言われている。
「エルフ・・」
「ドワーフよりもっと珍しいぜ。どこに行けば会えるのかさっぱり・・ディー、いやドリアードお前もしかして」
「ふふーん、ディーもエルフも森や木をとっても大切にするんだもん。
アルフヘイムにはトレントもいるしねー」
「そうか! エルフか」
「ディー、何か良い方法を知ってたら教えて。お願い」
「人間に紛れて暮らしてるエルフやハーフエルフがいるじゃん」
「「えっ、聞いたことない」」
「人間に見つかると捕まっちゃうから」
ディーは腕を組んでプンプンと怒っている。
「どこにいるのか分かる?」
「勿論、ディーの広場に遊びに来てくれるもん」
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