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29.奴らが来ました
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「粗悪品が出回らなくなったら嬉しいかなって」
「確かにそうだね、アニーに喜んでもらえるかな」
ニコニコ顔のリアムの横で、ロクサーナは顔を引き攣らせていた。
(誤魔化せて良かったー。口は災いの元、お口チャーック!)
屋敷の前までリアムに送ってもらったロクサーナは屋敷の前に豪華な馬車が停まっていることに気づき溜息をついた。
(来た・・間違いないよね)
リアムを振り返りお礼を言おうとすると、リアムも馬車を睨んでいた。
「あれって多分リチャードだよね」
「かも知れないですね。今日はありがとうございました、楽しかったです」
早々に挨拶をして屋敷に入ろうとすると、リアムがそのままついてくる。
「僕も参加させてもらうよ。王妃様に報告の義務がありそうだ」
コナーとは玄関前で別れ屋敷に入って行った。
新しく雇った執事のローマンが、リチャードと仲良し三人衆が応接室で待っていると伝えてきた。
ドアを開けリアムと二人で応接室に入るとイライラした様子のリチャードがソファから立ち上がった。
「学園を休んでる癖にフラフラと遊び呆けてるなんて呆れ果てたよ。しかも男連れか!」
「僕は授業の様子を知らせに来た。同じクラスなんだからって王妃様から頼まれてるんだ」
「ふん、母上はいつだってお前達に甘いんだ。人を見る目がなってないって父上もいつも仰ってる」
顔色が悪く妙にソワソワしているリチャードは右手をポケットに入れている。
(4人とも何だか気持ち悪い・・)
「今日は如何なされましたか?」
「僕達が来た理由はわかってるはずだ。さっさと訴状を取り消せ」
「ではお父様が帰られたらそのように伝えておきます」
「巫山戯るな、お前の差し金だってわかってるんだからな。
リアム、お前もコイツの味方をするならタダじゃおかないからな」
「隣国の王子にそんな事を言うと国同士の問題になるからやめた方がいいよ」
リアムが冷静に返事をしたことでリチャード達はますます頭に血が上ったようだった。
リチャードは指を3本立てて言い募った。
「3日だ、その間に訴状を取り下げて王宮に謝罪に来い。分かったな」
「リアム殿下は留学取りやめ、王妃様は生家へ里帰りのためにメルバーグ王国へ行かれることが決まられたそうですよ。
これで邪魔者がいなくなりますね」
アーノルドが傲慢な態度で言い放った。
(展開が早すぎる・・王妃様が居なくなるなんて)
「モートン嬢に冤罪を仕掛けたのは何故? 僕はもうメルバーグに帰るのなら教えてくれてもいいと思うけど?」
リアムが冷静にリチャード達を順番に見ていく。
「ステラの為だ。殿下はステラと婚約・結婚するはずだったんだから」
サミュエルは何故かこんな時にさえ大切そうに聖書を抱えている。
「そう、だからコイツが邪魔なんだ」
ロジャーが腰の剣に手をかけると、リアムがロクサーナの前に出て庇った。
「紳士気取りか? はん、まあいい。
婚約破棄だけで済ませてやろうと思ったがこいつが出かけてたおかげで準備も出来たし。
足掻いてももう遅い」
笑いながら4人が出て行った。
「準備?」
リアムが首を傾げた。
「まさか! ローマン・・ローマン!」
ロクサーナは応接室を飛び出し執事を呼んだ。やってきたローマンに、
「殿下が来てからこの部屋に入ったのは誰?」
「私の後でメイドのシエラがお茶をお持ちしました。その後でもう一度、シエラがお茶を入れ直しに行きましたが」
「シエラを連れてきて、私の部屋に!」
ロクサーナは2階に駆け上がって行った。
ロクサーナが私室に飛び込むと鍵をかけてあった引き出しが壊され宝石箱が荒らされていた。
「ない・・まさか、今回だけ違うなんて」
ロクサーナが呆然として座り込んでいるとローマンがやって来てシエラがどこにもいないと言った。
「・・探して。見つかるかどうかわからないけど急いで探してちょうだい。
まだ遠くには行ってないはずだから」
「確かにそうだね、アニーに喜んでもらえるかな」
ニコニコ顔のリアムの横で、ロクサーナは顔を引き攣らせていた。
(誤魔化せて良かったー。口は災いの元、お口チャーック!)
屋敷の前までリアムに送ってもらったロクサーナは屋敷の前に豪華な馬車が停まっていることに気づき溜息をついた。
(来た・・間違いないよね)
リアムを振り返りお礼を言おうとすると、リアムも馬車を睨んでいた。
「あれって多分リチャードだよね」
「かも知れないですね。今日はありがとうございました、楽しかったです」
早々に挨拶をして屋敷に入ろうとすると、リアムがそのままついてくる。
「僕も参加させてもらうよ。王妃様に報告の義務がありそうだ」
コナーとは玄関前で別れ屋敷に入って行った。
新しく雇った執事のローマンが、リチャードと仲良し三人衆が応接室で待っていると伝えてきた。
ドアを開けリアムと二人で応接室に入るとイライラした様子のリチャードがソファから立ち上がった。
「学園を休んでる癖にフラフラと遊び呆けてるなんて呆れ果てたよ。しかも男連れか!」
「僕は授業の様子を知らせに来た。同じクラスなんだからって王妃様から頼まれてるんだ」
「ふん、母上はいつだってお前達に甘いんだ。人を見る目がなってないって父上もいつも仰ってる」
顔色が悪く妙にソワソワしているリチャードは右手をポケットに入れている。
(4人とも何だか気持ち悪い・・)
「今日は如何なされましたか?」
「僕達が来た理由はわかってるはずだ。さっさと訴状を取り消せ」
「ではお父様が帰られたらそのように伝えておきます」
「巫山戯るな、お前の差し金だってわかってるんだからな。
リアム、お前もコイツの味方をするならタダじゃおかないからな」
「隣国の王子にそんな事を言うと国同士の問題になるからやめた方がいいよ」
リアムが冷静に返事をしたことでリチャード達はますます頭に血が上ったようだった。
リチャードは指を3本立てて言い募った。
「3日だ、その間に訴状を取り下げて王宮に謝罪に来い。分かったな」
「リアム殿下は留学取りやめ、王妃様は生家へ里帰りのためにメルバーグ王国へ行かれることが決まられたそうですよ。
これで邪魔者がいなくなりますね」
アーノルドが傲慢な態度で言い放った。
(展開が早すぎる・・王妃様が居なくなるなんて)
「モートン嬢に冤罪を仕掛けたのは何故? 僕はもうメルバーグに帰るのなら教えてくれてもいいと思うけど?」
リアムが冷静にリチャード達を順番に見ていく。
「ステラの為だ。殿下はステラと婚約・結婚するはずだったんだから」
サミュエルは何故かこんな時にさえ大切そうに聖書を抱えている。
「そう、だからコイツが邪魔なんだ」
ロジャーが腰の剣に手をかけると、リアムがロクサーナの前に出て庇った。
「紳士気取りか? はん、まあいい。
婚約破棄だけで済ませてやろうと思ったがこいつが出かけてたおかげで準備も出来たし。
足掻いてももう遅い」
笑いながら4人が出て行った。
「準備?」
リアムが首を傾げた。
「まさか! ローマン・・ローマン!」
ロクサーナは応接室を飛び出し執事を呼んだ。やってきたローマンに、
「殿下が来てからこの部屋に入ったのは誰?」
「私の後でメイドのシエラがお茶をお持ちしました。その後でもう一度、シエラがお茶を入れ直しに行きましたが」
「シエラを連れてきて、私の部屋に!」
ロクサーナは2階に駆け上がって行った。
ロクサーナが私室に飛び込むと鍵をかけてあった引き出しが壊され宝石箱が荒らされていた。
「ない・・まさか、今回だけ違うなんて」
ロクサーナが呆然として座り込んでいるとローマンがやって来てシエラがどこにもいないと言った。
「・・探して。見つかるかどうかわからないけど急いで探してちょうだい。
まだ遠くには行ってないはずだから」
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