11 / 41
11.鍵がバレました
しおりを挟む
旧ロクサーナの記憶を探っているが2回目がいつ来るのか思い出せなかった。
(仕方ない、出たとこ勝負かな)
鍵を掛けはじめて1週間経った頃夕食を貰いに厨房へ行くと、メイドや料理人が怪訝な顔をしてチラチラとロクサーナを見ては目を逸らしている。
何があったのか思い当たらないので取り敢えず定位置の調理台の隅、パンとスープが置いてあるところにスツールを持って行ってスプーンを取りに行った。
「なあ、何で部屋に鍵を付けたんだ?」
腕組みをした料理長が問いただしてきた。
「何で・・危険防止?」
ロクサーナの答えを聞いたメイドや料理人達が顔を見合わせて首を傾げている。
「この間ブローチが部屋に歩いて来たみたいだから」
にっこり笑って話を打ち切ったロクサーナは、スプーンを棚から出して椅子に座り晩御飯を食べた。
お皿とスプーンを洗って片付けて、厨房の入り口でペコリと挨拶して部屋に戻った。
その間誰も口を開かなかった。
ロクサーナは部屋に乗り込まれた時製品を見つけられないようにする為の隠し場所を作った。
木箱の側面が開くようにして留金をつけ、壁にする為に積み上げた木箱の一番下の段の隅に配置。部屋を出る時はここに全ての材料を片付けている。
徹底的な家探しをされたら見つかってしまうが、彼らの目的はロクサーナを貶めて虐める事だから多分木箱の中までは確認しない・・と思いたい。
大きな物やすぐには使わない物はコナーの小屋に預けている。
(コナーがいなかったら何にもできなかったなあ)
コナーは先代の侯爵にとても気に入られていた為、先代が亡くなる時かなりの遺産を贈られている。しかも、生涯庭を守るよう遺言に書かれていたので首を切られる心配もない。
メリッサはかなり不満のようだが、侯爵から「クビにはできない」と言われた為コナーをいない者として扱う事で耐えているらしい。
ロクサーナにとってはありがたい話だが、コナーの気持ちはどうなのだろうと時々不安になる。
コナーの口癖、
「嬢ちゃんが気にすることはねえ」
に、甘えさせてもらっているが。
翌日朝食の後チクチクしているとドタドタと大きな足音が近づいて来たので、大急ぎで荷物を片付けた。
ガタガタ、ドンドンと誰かがドアを乱暴にこじ開けようとしている。
「何か御用ですか?」
ロクサーナは声を張り上げた。
「サッサとここを開けなさいよ!」
苛立ったメイドの声がしてドンドンとドアを叩く音がした。
そっと閂を外してチェストの陰に隠した。
ドンドン・・バタン! とドアが開くと般若の形相のメリッサのメイドが入って来た。
「ドアに鍵をつけるなんてどういう事?」
「・・」
部屋の真ん中に立ったロクサーナは何のことだか訳がわからないという風に首を傾げた。
「鍵を寄越しなさい」
「そうだ! お父さまに聞いてきます」
走り出そうとしたロクサーナをメイドがガシッと捕まえた。
「なっ、何で大旦那様が関係あんのよ」
「あなた、この間ブローチを見つけたメイドでしょう? お父さまにここに来て頂いて詳しく調べて頂けば良いなって」
「どっどう言う・・」
「待っててね、直ぐにお願いをし「待って! 分かったから」」
ロクサーナから手を離し部屋を出ようとするメイドに後ろから声をかけた。
「鍵が壊れたりしたらまたブローチが歩き出したってことだと思うから、その時はお父さまにちゃんと調べて貰うから安心してね」
肩を怒らせたメイドが出て行った後、ロクサーナはすかさず閂をかけた。
(侯爵の名前を出して助かるのは悔しいけど、メリッサを黙らせるには仕方ないわよね)
メリッサにとってチャールズにロクサーナの部屋を知られるのはとてつもなく都合が悪いだろうから。
(仕方ない、出たとこ勝負かな)
鍵を掛けはじめて1週間経った頃夕食を貰いに厨房へ行くと、メイドや料理人が怪訝な顔をしてチラチラとロクサーナを見ては目を逸らしている。
何があったのか思い当たらないので取り敢えず定位置の調理台の隅、パンとスープが置いてあるところにスツールを持って行ってスプーンを取りに行った。
「なあ、何で部屋に鍵を付けたんだ?」
腕組みをした料理長が問いただしてきた。
「何で・・危険防止?」
ロクサーナの答えを聞いたメイドや料理人達が顔を見合わせて首を傾げている。
「この間ブローチが部屋に歩いて来たみたいだから」
にっこり笑って話を打ち切ったロクサーナは、スプーンを棚から出して椅子に座り晩御飯を食べた。
お皿とスプーンを洗って片付けて、厨房の入り口でペコリと挨拶して部屋に戻った。
その間誰も口を開かなかった。
ロクサーナは部屋に乗り込まれた時製品を見つけられないようにする為の隠し場所を作った。
木箱の側面が開くようにして留金をつけ、壁にする為に積み上げた木箱の一番下の段の隅に配置。部屋を出る時はここに全ての材料を片付けている。
徹底的な家探しをされたら見つかってしまうが、彼らの目的はロクサーナを貶めて虐める事だから多分木箱の中までは確認しない・・と思いたい。
大きな物やすぐには使わない物はコナーの小屋に預けている。
(コナーがいなかったら何にもできなかったなあ)
コナーは先代の侯爵にとても気に入られていた為、先代が亡くなる時かなりの遺産を贈られている。しかも、生涯庭を守るよう遺言に書かれていたので首を切られる心配もない。
メリッサはかなり不満のようだが、侯爵から「クビにはできない」と言われた為コナーをいない者として扱う事で耐えているらしい。
ロクサーナにとってはありがたい話だが、コナーの気持ちはどうなのだろうと時々不安になる。
コナーの口癖、
「嬢ちゃんが気にすることはねえ」
に、甘えさせてもらっているが。
翌日朝食の後チクチクしているとドタドタと大きな足音が近づいて来たので、大急ぎで荷物を片付けた。
ガタガタ、ドンドンと誰かがドアを乱暴にこじ開けようとしている。
「何か御用ですか?」
ロクサーナは声を張り上げた。
「サッサとここを開けなさいよ!」
苛立ったメイドの声がしてドンドンとドアを叩く音がした。
そっと閂を外してチェストの陰に隠した。
ドンドン・・バタン! とドアが開くと般若の形相のメリッサのメイドが入って来た。
「ドアに鍵をつけるなんてどういう事?」
「・・」
部屋の真ん中に立ったロクサーナは何のことだか訳がわからないという風に首を傾げた。
「鍵を寄越しなさい」
「そうだ! お父さまに聞いてきます」
走り出そうとしたロクサーナをメイドがガシッと捕まえた。
「なっ、何で大旦那様が関係あんのよ」
「あなた、この間ブローチを見つけたメイドでしょう? お父さまにここに来て頂いて詳しく調べて頂けば良いなって」
「どっどう言う・・」
「待っててね、直ぐにお願いをし「待って! 分かったから」」
ロクサーナから手を離し部屋を出ようとするメイドに後ろから声をかけた。
「鍵が壊れたりしたらまたブローチが歩き出したってことだと思うから、その時はお父さまにちゃんと調べて貰うから安心してね」
肩を怒らせたメイドが出て行った後、ロクサーナはすかさず閂をかけた。
(侯爵の名前を出して助かるのは悔しいけど、メリッサを黙らせるには仕方ないわよね)
メリッサにとってチャールズにロクサーナの部屋を知られるのはとてつもなく都合が悪いだろうから。
58
お気に入りに追加
1,746
あなたにおすすめの小説

気弱令息が婚約破棄されていたから結婚してみた。
古森きり
恋愛
「アンタ情けないのよ!」と、目の前で婚約破棄された令息がべそべそ泣きながら震えていたのが超可愛い!と思った私、フォリシアは小動物みたいな彼に手を差し出す。
男兄弟に囲まれて育ったせいなのか、小さくてか弱い彼を自宅に連れて帰って愛でようかと思ったら――え? あなた公爵様なんですか?
カクヨムで読み直しナッシング書き溜め。
アルファポリス、ベリーズカフェ、小説家になろうに掲載しています。

妹に全てを奪われた令嬢は第二の人生を満喫することにしました。
バナナマヨネーズ
恋愛
四大公爵家の一つ。アックァーノ公爵家に生まれたイシュミールは双子の妹であるイシュタルに慕われていたが、何故か両親と使用人たちに冷遇されていた。
瓜二つである妹のイシュタルは、それに比べて大切にされていた。
そんなある日、イシュミールは第三王子との婚約が決まった。
その時から、イシュミールの人生は最高の瞬間を経て、最悪な結末へと緩やかに向かうことになった。
そして……。
本編全79話
番外編全34話
※小説家になろう様、カクヨム様にも掲載しています。

【完結】 悪役令嬢が死ぬまでにしたい10のこと
淡麗 マナ
恋愛
2022/04/07 小説ホットランキング女性向け1位に入ることができました。皆様の応援のおかげです。ありがとうございます。
第3回 一二三書房WEB小説大賞の最終選考作品です。(5,668作品のなかで45作品)
※コメント欄でネタバレしています。私のミスです。ネタバレしたくない方は読み終わったあとにコメントをご覧ください。
原因不明の病により、余命3ヶ月と診断された公爵令嬢のフェイト・アシュフォード。
よりによって今日は、王太子殿下とフェイトの婚約が発表されるパーティの日。
王太子殿下のことを考えれば、わたくしは身を引いたほうが良い。
どうやって婚約をお断りしようかと考えていると、王太子殿下の横には容姿端麗の女性が。逆に婚約破棄されて傷心するフェイト。
家に帰り、一冊の本をとりだす。それはフェイトが敬愛する、悪役令嬢とよばれた公爵令嬢ヴァイオレットが活躍する物語。そのなかに、【死ぬまでにしたい10のこと】を決める描写があり、フェイトはそれを真似してリストを作り、生きる指針とする。
1.余命のことは絶対にだれにも知られないこと。
2.悪役令嬢ヴァイオレットになりきる。あえて人から嫌われることで、自分が死んだ時の悲しみを減らす。(これは実行できなくて、後で変更することになる)
3.必ず病気の原因を突き止め、治療法を見つけだし、他の人が病気にならないようにする。
4.ノブレス・オブリージュ 公爵令嬢としての責務をいつもどおり果たす。
5.お父様と弟の問題を解決する。
それと、目に入れても痛くない、白蛇のイタムの新しい飼い主を探さねばなりませんし、恋……というものもしてみたいし、矛盾していますけれど、友達も欲しい。etc.
リストに従い、持ち前の執務能力、するどい観察眼を持って、人々の問題や悩みを解決していくフェイト。
ただし、悪役令嬢の振りをして、人から嫌われることは上手くいかない。逆に好かれてしまう! では、リストを変更しよう。わたくしの身代わりを立て、遠くに嫁いでもらうのはどうでしょう?
たとえ失敗しても10のリストを修正し、最善を尽くすフェイト。
これはフェイトが、余命3ヶ月で10のしたいことを実行する物語。皆を自らの死によって悲しませない為に足掻き、運命に立ち向かう、逆転劇。
【注意点】
恋愛要素は弱め。
設定はかなりゆるめに作っています。
1人か、2人、苛立つキャラクターが出てくると思いますが、爽快なざまぁはありません。
2章以降だいぶ殺伐として、不穏な感じになりますので、合わないと思ったら辞めることをお勧めします。

【完結済】どうして無能な私を愛してくれるの?~双子の妹に全て劣り、婚約者を奪われた男爵令嬢は、侯爵子息様に溺愛される~
ゆうき
恋愛
優秀な双子の妹の足元にも及ばない男爵令嬢のアメリアは、屋敷ではいない者として扱われ、話しかけてくる数少ない人間である妹には馬鹿にされ、母には早く出て行けと怒鳴られ、学園ではいじめられて生活していた。
長年に渡って酷い仕打ちを受けていたアメリアには、侯爵子息の婚約者がいたが、妹に奪われて婚約破棄をされてしまい、一人ぼっちになってしまっていた。
心が冷え切ったアメリアは、今の生活を受け入れてしまっていた。
そんな彼女には魔法薬師になりたいという目標があり、虐げられながらも勉強を頑張る毎日を送っていた。
そんな彼女のクラスに、一人の侯爵子息が転校してきた。
レオと名乗った男子生徒は、何故かアメリアを気にかけて、アメリアに積極的に話しかけてくるようになった。
毎日のように話しかけられるようになるアメリア。その溺愛っぷりにアメリアは戸惑い、少々困っていたが、段々と自分で気づかないうちに、彼の優しさに惹かれていく。
レオと一緒にいるようになり、次第に打ち解けて心を許すアメリアは、レオと親密な関係になっていくが、アメリアを馬鹿にしている妹と、その友人がそれを許すはずもなく――
これは男爵令嬢であるアメリアが、とある秘密を抱える侯爵子息と幸せになるまでの物語。
※こちらの作品はなろう様にも投稿しております!3/8に女性ホットランキング二位になりました。読んでくださった方々、ありがとうございます!

【完結】女王と婚約破棄して義妹を選んだ公爵には、痛い目を見てもらいます。女王の私は田舎でのんびりするので、よろしくお願いしますね。
五月ふう
恋愛
「シアラ。お前とは婚約破棄させてもらう。」
オークリィ公爵がシアラ女王に婚約破棄を要求したのは、結婚式の一週間前のことだった。
シアラからオークリィを奪ったのは、妹のボニー。彼女はシアラが苦しんでいる姿を見て、楽しそうに笑う。
ここは南の小国ルカドル国。シアラは御年25歳。
彼女には前世の記憶があった。
(どうなってるのよ?!)
ルカドル国は現在、崩壊の危機にある。女王にも関わらず、彼女に使える使用人は二人だけ。賃金が払えないからと、他のものは皆解雇されていた。
(貧乏女王に転生するなんて、、、。)
婚約破棄された女王シアラは、頭を抱えた。前世で散々な目にあった彼女は、今回こそは幸せになりたいと強く望んでいる。
(ひどすぎるよ、、、神様。金髪碧眼の、誰からも愛されるお姫様に転生させてって言ったじゃないですか、、、。)
幸せになれなかった前世の分を取り返すため、女王シアラは全力でのんびりしようと心に決めた。
最低な元婚約者も、継妹も知ったこっちゃない。
(もう婚約破棄なんてされずに、幸せに過ごすんだーー。)

公爵令嬢の辿る道
ヤマナ
恋愛
公爵令嬢エリーナ・ラナ・ユースクリフは、迎えた5度目の生に絶望した。
家族にも、付き合いのあるお友達にも、慕っていた使用人にも、思い人にも、誰からも愛されなかったエリーナは罪を犯して投獄されて凍死した。
それから生を繰り返して、その度に自業自得で凄惨な末路を迎え続けたエリーナは、やがて自分を取り巻いていたもの全てからの愛を諦めた。
これは、愛されず、しかし愛を求めて果てた少女の、その先の話。
※暇な時にちょこちょこ書いている程度なので、内容はともかく出来についてはご了承ください。
追記
六十五話以降、タイトルの頭に『※』が付いているお話は、流血表現やグロ表現がございますので、閲覧の際はお気を付けください。

モブで可哀相? いえ、幸せです!
みけの
ファンタジー
私のお姉さんは“恋愛ゲームのヒロイン”で、私はゲームの中で“モブ”だそうだ。
“あんたはモブで可哀相”。
お姉さんはそう、思ってくれているけど……私、可哀相なの?

平民と恋に落ちたからと婚約破棄を言い渡されました。
なつめ猫
恋愛
聖女としての天啓を受けた公爵家令嬢のクララは、生まれた日に王家に嫁ぐことが決まってしまう。
そして物心がつく5歳になると同時に、両親から引き離され王都で一人、妃教育を受ける事を強要され10年以上の歳月が経過した。
そして美しく成長したクララは16才の誕生日と同時に貴族院を卒業するラインハルト王太子殿下に嫁ぐはずであったが、平民の娘に恋をした婚約者のラインハルト王太子で殿下から一方的に婚約破棄を言い渡されてしまう。
クララは動揺しつつも、婚約者であるラインハルト王太子殿下に、国王陛下が決めた事を覆すのは貴族として間違っていると諭そうとするが、ラインハルト王太子殿下の逆鱗に触れたことで貴族院から追放されてしまうのであった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる