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16.罵声を浴びせる
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「秘密なのかなって思ったから誰にも話してないよ」
「ありがとうございます。今後も秘密にして頂ければ助かります。
それから私に婚約者はおりませんが」
ロクサーナが不思議そうに首を傾げるとリアムが本気で吃驚した顔になった。
「ロクサーナ嬢はリチャード王子殿下の婚約者だろう? そう聞いてる」
「はあ? 何かの間違いです!」
あまりの衝撃に思わず地が出てしまったロクサーナだがリアムから更なる衝撃情報がもたらされた。
「だって、今度の休暇から王子妃教育がはじまるってリチャードが話してたけど?」
(あり得ない、何でこうなった?
確か旧ロクサーナの時はとっくに知らされてたよね。だから話は立ち消えになったと思ってたのに。
王妃様からの呼び出しだって今回は一度もないし)
「すみません、急ぎますのでこれで失礼します」
リアムの返事も待たずロクサーナは貴族令嬢らしからぬスピードで脱兎の如く駆け出した。
(侯爵令嬢の走り・・うーん、結構健脚だな)
馬車での打ち合わせを早めに切り上げロクサーナは屋敷に戻ってきた。
チャールズが私室で出かける準備をしていると聞き、ロクサーナは確認も取らずチャールズの部屋のドアをノックした。
部屋に入るとチャールズは従者にクラバットを結ばせている最中だった。
「これから出かける。用事があるならまた今度にしなさい」
「それどころではありません。緊急かつ速やかに教えて頂きたい事があります。
私がリチャード殿下と婚約していると言うデマを聞きました」
ロクサーナが怒りを込めて問いただすと、チャールズは従者を下がらせて結びかけのクラバットを引き抜いた。
「いまさら何を言っている。お前は3年前に殿下と婚約したではないか?」
「聞いておりません。今回は婚約式もやっておりませんし、王妃様からの呼び出しもきていません」
「・・今回は?」
「些事に構うのはやめて下さい!」
ロクサーナは頭に血が上り制服を握りしめた手がプルプルと震えていた。
「メリッサから伝えたはずだ。それにお前は婚約式に出席するのは嫌だと駄々を捏ねて、王妃様からの呼び出しも無視していると聞いている」
「はあ? ざけんじゃないわよ! あのクソババア」
「ロクサーナ・・今何と言った?」
「何でもかんでもメリッサ、メリッサ。
勝手にやってればいいでしょ!
リチャードとの婚約は破棄して頂きます。でなければ私は侯爵家を出て行きますから!」
呆気に取られているチャールズを無視してロクサーナは部屋を飛び出した。
ロクサーナが階段を駆け降りているとチャールズが追いかけて来た。
「ロクサーナ、待ちなさい!」
怒鳴り声に立ち止まったロクサーナは階段の上に仁王立ちしているチャールズを睨みつけた。
「執務室に来なさい」
チャールズはロクサーナの返事を待たず歩き出した。
無視しようかとも思ったが仕方なくチャールズの後について執務室に入ったロクサーナはドアの近くに立ったまま黙りを決め込んだ。
執務机の前に立ったチャールズがロクサーナを睨みつけながら話しはじめた。
「3年前に既に婚約は成立している。何が気に入らないのかは知らんがこれ以上の我儘は許さん」
「・・」
「王妃様からの再三の招待を無視し勝手放題しているが、王子妃教育がはじまる。態度を改めて務めるように」
「・・」
「今日のパーティーを欠席することは許さん。サッサと準備をするんだ」
チャールズは手をさっと振り、要件は済んだとばかりにロクサーナを追い払おうとした。
「まあ、大変ですわ。今日パーティーがあるとは存じませんでした。
私が着るドレスは何処にございますのかお教え頂けますでしょうか?」
「お前の部屋に決まっておろう」
ロクサーナの馬鹿にしたような大袈裟な態度にチャールズの眉間の皺がますます深くなっていった。
「ではご一緒してくださいませ。ドレスのある場所まで案内して頂けますでしょうか?」
「・・どういう意味だ?」
「どこにあるのか存じませんの」
「ありがとうございます。今後も秘密にして頂ければ助かります。
それから私に婚約者はおりませんが」
ロクサーナが不思議そうに首を傾げるとリアムが本気で吃驚した顔になった。
「ロクサーナ嬢はリチャード王子殿下の婚約者だろう? そう聞いてる」
「はあ? 何かの間違いです!」
あまりの衝撃に思わず地が出てしまったロクサーナだがリアムから更なる衝撃情報がもたらされた。
「だって、今度の休暇から王子妃教育がはじまるってリチャードが話してたけど?」
(あり得ない、何でこうなった?
確か旧ロクサーナの時はとっくに知らされてたよね。だから話は立ち消えになったと思ってたのに。
王妃様からの呼び出しだって今回は一度もないし)
「すみません、急ぎますのでこれで失礼します」
リアムの返事も待たずロクサーナは貴族令嬢らしからぬスピードで脱兎の如く駆け出した。
(侯爵令嬢の走り・・うーん、結構健脚だな)
馬車での打ち合わせを早めに切り上げロクサーナは屋敷に戻ってきた。
チャールズが私室で出かける準備をしていると聞き、ロクサーナは確認も取らずチャールズの部屋のドアをノックした。
部屋に入るとチャールズは従者にクラバットを結ばせている最中だった。
「これから出かける。用事があるならまた今度にしなさい」
「それどころではありません。緊急かつ速やかに教えて頂きたい事があります。
私がリチャード殿下と婚約していると言うデマを聞きました」
ロクサーナが怒りを込めて問いただすと、チャールズは従者を下がらせて結びかけのクラバットを引き抜いた。
「いまさら何を言っている。お前は3年前に殿下と婚約したではないか?」
「聞いておりません。今回は婚約式もやっておりませんし、王妃様からの呼び出しもきていません」
「・・今回は?」
「些事に構うのはやめて下さい!」
ロクサーナは頭に血が上り制服を握りしめた手がプルプルと震えていた。
「メリッサから伝えたはずだ。それにお前は婚約式に出席するのは嫌だと駄々を捏ねて、王妃様からの呼び出しも無視していると聞いている」
「はあ? ざけんじゃないわよ! あのクソババア」
「ロクサーナ・・今何と言った?」
「何でもかんでもメリッサ、メリッサ。
勝手にやってればいいでしょ!
リチャードとの婚約は破棄して頂きます。でなければ私は侯爵家を出て行きますから!」
呆気に取られているチャールズを無視してロクサーナは部屋を飛び出した。
ロクサーナが階段を駆け降りているとチャールズが追いかけて来た。
「ロクサーナ、待ちなさい!」
怒鳴り声に立ち止まったロクサーナは階段の上に仁王立ちしているチャールズを睨みつけた。
「執務室に来なさい」
チャールズはロクサーナの返事を待たず歩き出した。
無視しようかとも思ったが仕方なくチャールズの後について執務室に入ったロクサーナはドアの近くに立ったまま黙りを決め込んだ。
執務机の前に立ったチャールズがロクサーナを睨みつけながら話しはじめた。
「3年前に既に婚約は成立している。何が気に入らないのかは知らんがこれ以上の我儘は許さん」
「・・」
「王妃様からの再三の招待を無視し勝手放題しているが、王子妃教育がはじまる。態度を改めて務めるように」
「・・」
「今日のパーティーを欠席することは許さん。サッサと準備をするんだ」
チャールズは手をさっと振り、要件は済んだとばかりにロクサーナを追い払おうとした。
「まあ、大変ですわ。今日パーティーがあるとは存じませんでした。
私が着るドレスは何処にございますのかお教え頂けますでしょうか?」
「お前の部屋に決まっておろう」
ロクサーナの馬鹿にしたような大袈裟な態度にチャールズの眉間の皺がますます深くなっていった。
「ではご一緒してくださいませ。ドレスのある場所まで案内して頂けますでしょうか?」
「・・どういう意味だ?」
「どこにあるのか存じませんの」
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