【完結】やり直しですか? 王子はいらないんで爆走します。忙しすぎて辛い(泣)

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12.11歳になりました。試験です

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 ロクサーナは11歳になり、今日は入学試験の日。

 この国の平民は教区学校で読み書きや計算などを学んだ後、希望者は試験を受けて王立学園に入学する。

 貴族は家庭教師から基礎学習やマナーなどを学び試験を受けて王立学園に入学する。


 王立学園の授業内容は七自由科と呼ばれる三学(文法・修辞学・弁証法)と四科(算術・幾何学・音楽・天文学)で、授業の難易度が一気に上がるため入学試験もそれなりに厳しいものとなっている。

 入学後は試験の成績順にS・A・B・Cと分かれるが、Cクラスは平民のクラスとして有名でここに入った貴族は肩身の狭い思いをするという。


 新旧どちらのロクサーナにも11歳の現在まで家庭教師がいたことは一度もないので、旧ロクサーナは最低クラスのC。
 しかも11歳の試験当日何も知らされないまま試験会場に連れて来られたという経緯があった。


 新ロクサーナも勿論何も知らされないまま馬車に乗せられ試験会場に放り込まれたが、17歳まで勉強と王子妃教育に明け暮れた知識で主席入学の通知が来た。


 一学年上のリチャードは入学当初からSクラスをキープしているが下駄を履かせた 点数を水増しした成績だと新ロクサーナは知っている。

 リチャードと同学年のステラは残念なBクラス継続中。


 ロクサーナの試験結果が届いた時メリッサとステラが大暴れしたのは予想通りだった。



 ロクサーナは今、試験結果を手に持ったチャールズの前に立たされている。

 チャールズの横には扇子をパキパキと鳴らし顔を引き攣らせているメリッサと、腕を組んで真っ赤な顔で睨むステラがいた。


「メリッサの話ではロクサーナは勉強嫌いで逃げ出してばかりだった筈だが?」

「・・」

「まぁいい、お前は主席入学で新入生代表の挨拶をしなくてはならん。
明日学院に出向き担当教諭と面談するように」

「はい」

 そろりそろりと後ろに下がり部屋を逃げ出そうとしたロクサーナにメリッサが扇子を突きつけた。

「あり得ないわ。どうやって試験を誤魔化したのかおっしゃい!」

「そうよ、主席なんてあり得ないわ! お父様騙されないで」

 ステラもメリッサに追従して怒りをぶつけてきた。


「そう言われましても、突然試験会場に放り込まれて気がついたら終わっていたので」

 ロクサーナは肩をすくめ執務机の上のペン立てを凝視していた。


「カンニングね、そうに違いないわ。このまま入学したら侯爵家は恥をかいてしまいますわ、学園に連絡致しましょう」

 顳顬をピクピクさせているメリッサの扇子がパキリと大きな音を立てた。

(あっ、折れた)


「ステラ、この国の主な産業はなんだ?」

「えっ? おっお母様・・」

 突然のチャールズの質問に答えに詰まったステラは思わずメリッサに助けを求めた。


「ロクサーナ、この国最大の輸出先は?」

「現在はメルバーグ王国・・」

 
「その通りだ。どうやら主席入学は間違いではなさそうだな」

「旦那様! その程度のことなら誰でも知っていますわ」


「ならメリッサに聞こう。ロクサーナはと言った。その理由は何だ」

「えっ」

 返事が出来ず黙り込んだメリッサを見ながらチャールズが再び尋ねてきた。

「ロクサーナ答えなさい」

「二年前まではオーランセル帝国だったので」

「その通りだ」


 チャールズは執務机の椅子に腰掛けペンを持った。これは出て行けのサインだと知っているロクサーナは学園から届いた案内書を手に執務室を飛び出した。

 部屋の中からはメリッサとステラの大声が聞こえていた。

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