3 / 41
3.こっそり準備
しおりを挟む
侯爵邸は正面玄関を入った所にあるホールの左手にパーティーで使用する大広間や応接室・図書室・音楽室などが集まり、庭師の手によって美しく整えられた庭園に出られるようにテラスが設えてある。
右手には食堂や厨房・執事や家政婦長の部屋・掃除用具などの為の倉庫・地下に降りる階段などがある。
地下には男の使用人の部屋・倉庫・食品貯蔵庫・ワイン蔵などがあり、屋根裏部屋にメイド達女の使用人の部屋がある。
2階にはチャールズの執務室・家族の私室・客室があり、それぞれの部屋には広大な庭園を望むバルコニーが設置されている。
ロクサーナの部屋は3年前から1階の倉庫脇にある。
元は倉庫として使われていた部屋の為かなり広さはあるものの置かれているのはベッドの他に収納のためのチェストが一つ。
剥き出しの床には色褪せ端がほつれた絨毯が敷かれている。
部屋から出るのを禁止されたロクサーナだが、どうしても今日中に裏庭の奥まで行かなくてはならない理由があった。
(今日の午後仕立て屋さんが来るならその時がチャンスよね)
仕立て屋が来た時に先ずはじめにロクサーナの用事を片付け、メリッサ達は延々と時間をかけて次のドレスの相談や新しい布地の品評会を楽しむはず。
その時間であればメリッサやステラだけでなく彼女達専属のメイド達もその部屋に集まり監視の目がなくなる。
(それ迄に何か入れ物を準備しなくちゃ。蓋がしっかり閉まって、ポケットに入るくらいの小さな物)
もうすぐお昼の食事で厨房もメイド達も慌ただしくなるはず、ロクサーナは小さく開けたドアから聞こえてくる音や話し声に耳を傾けた。
厨房から美味しそうな匂いが漂ってきて料理長の低い罵り声が聞こえてきた。
「トロトロしてんじゃねえ、さっさと持ってけ」
ぶつぶつ文句を言うメイドの声が聞こえたあと、ガチャガチャと食器がぶつかる音がしてメイドが料理を運んで行った気配がした。
(よーし、倉庫の横って超ラッキー)
そっと部屋を抜け出して隣の倉庫に潜り込み、ナイフ・麻の布・蓋の端が欠けた陶器の器を部屋に持ち帰った。
小さく切った麻の布を器の中に敷き準備完了。狙い目の午後のお茶の時間あたりまでは図書室から借りてきていた本でも読もうとしたが・・。
(うっ、お子ちゃま用過ぎて無理)
パタリと本を閉じてベッドに倒れ込んだ。
ロクサーナの精神年齢は赤の間のあの時点の17歳。目の前にあるのは文字より絵の方が多い童話の本。
(そう言えば前回は7歳の時って字が読めなかったのよね)
ロクサーナは殆ど物が置かれていない部屋をぼーっと見ながら20日前の出来事を思い出していた。
温かい春の日差しの中ロクサーナは高い木の上に登っていた。
(ダメだ、見えない)
ロクサーナを可愛がってくれていた馬丁がクビになり裏口から出て行ったのがほんの数分前の事。
泣きながらお別れの挨拶をしたが裏口の扉が閉まった瞬間ロクサーナは駆け出しこの木に登った。
(ここからなら見えるかと思ったのに)
涙で霞む目を擦り下を見ると、随分上まで登っていたと気づきロクサーナは青褪めた。
(どうしよう、また怒られちゃう)
恐る恐る足をかけゆっくりと下に降りていったが、『ずるっ』足が滑り地面に叩きつけられて意識を失った。
右手には食堂や厨房・執事や家政婦長の部屋・掃除用具などの為の倉庫・地下に降りる階段などがある。
地下には男の使用人の部屋・倉庫・食品貯蔵庫・ワイン蔵などがあり、屋根裏部屋にメイド達女の使用人の部屋がある。
2階にはチャールズの執務室・家族の私室・客室があり、それぞれの部屋には広大な庭園を望むバルコニーが設置されている。
ロクサーナの部屋は3年前から1階の倉庫脇にある。
元は倉庫として使われていた部屋の為かなり広さはあるものの置かれているのはベッドの他に収納のためのチェストが一つ。
剥き出しの床には色褪せ端がほつれた絨毯が敷かれている。
部屋から出るのを禁止されたロクサーナだが、どうしても今日中に裏庭の奥まで行かなくてはならない理由があった。
(今日の午後仕立て屋さんが来るならその時がチャンスよね)
仕立て屋が来た時に先ずはじめにロクサーナの用事を片付け、メリッサ達は延々と時間をかけて次のドレスの相談や新しい布地の品評会を楽しむはず。
その時間であればメリッサやステラだけでなく彼女達専属のメイド達もその部屋に集まり監視の目がなくなる。
(それ迄に何か入れ物を準備しなくちゃ。蓋がしっかり閉まって、ポケットに入るくらいの小さな物)
もうすぐお昼の食事で厨房もメイド達も慌ただしくなるはず、ロクサーナは小さく開けたドアから聞こえてくる音や話し声に耳を傾けた。
厨房から美味しそうな匂いが漂ってきて料理長の低い罵り声が聞こえてきた。
「トロトロしてんじゃねえ、さっさと持ってけ」
ぶつぶつ文句を言うメイドの声が聞こえたあと、ガチャガチャと食器がぶつかる音がしてメイドが料理を運んで行った気配がした。
(よーし、倉庫の横って超ラッキー)
そっと部屋を抜け出して隣の倉庫に潜り込み、ナイフ・麻の布・蓋の端が欠けた陶器の器を部屋に持ち帰った。
小さく切った麻の布を器の中に敷き準備完了。狙い目の午後のお茶の時間あたりまでは図書室から借りてきていた本でも読もうとしたが・・。
(うっ、お子ちゃま用過ぎて無理)
パタリと本を閉じてベッドに倒れ込んだ。
ロクサーナの精神年齢は赤の間のあの時点の17歳。目の前にあるのは文字より絵の方が多い童話の本。
(そう言えば前回は7歳の時って字が読めなかったのよね)
ロクサーナは殆ど物が置かれていない部屋をぼーっと見ながら20日前の出来事を思い出していた。
温かい春の日差しの中ロクサーナは高い木の上に登っていた。
(ダメだ、見えない)
ロクサーナを可愛がってくれていた馬丁がクビになり裏口から出て行ったのがほんの数分前の事。
泣きながらお別れの挨拶をしたが裏口の扉が閉まった瞬間ロクサーナは駆け出しこの木に登った。
(ここからなら見えるかと思ったのに)
涙で霞む目を擦り下を見ると、随分上まで登っていたと気づきロクサーナは青褪めた。
(どうしよう、また怒られちゃう)
恐る恐る足をかけゆっくりと下に降りていったが、『ずるっ』足が滑り地面に叩きつけられて意識を失った。
104
あなたにおすすめの小説
【完結】転生の次は召喚ですか? 私は聖女なんかじゃありません。いい加減にして下さい!
金峯蓮華
恋愛
「聖女だ! 聖女様だ!」
「成功だ! 召喚は成功したぞ!」
聖女? 召喚? 何のことだ。私はスーパーで閉店時間の寸前に値引きした食料品を買おうとしていたのよ。
あっ、そうか、あの魔法陣……。
まさか私、召喚されたの?
突然、召喚され、見知らぬ世界に連れて行かれたようだ。
まったく。転生の次は召喚?
私には前世の記憶があった。どこかの国の公爵令嬢だった記憶だ。
また、同じような世界に来たとは。
聖女として召喚されたからには、何か仕事があるのだろう。さっさと済ませ早く元の世界に戻りたい。
こんな理不尽許してなるものか。
私は元の世界に帰るぞ!!
さて、愛梨は元の世界に戻れるのでしょうか?
作者独自のファンタジーの世界が舞台です。
緩いご都合主義なお話です。
誤字脱字多いです。
大きな気持ちで教えてもらえると助かります。
R15は保険です。
学園では婚約者に冷遇されていますが、有能なので全く気になりません。〜学園でお山の大将されてても、王宮では私の方が有能ですから〜
織り子
恋愛
王都カラディナにある国立魔術学園では、満十六歳の生徒たちの社交界デビューを兼ねた盛大なパーティーが開かれていた。
侯爵令嬢タレイア・オルトランは、婚約者である第二王子アスラン・オグセリアの迎えを待つも、結局ひとりで会場へ向かうことになる。
学園では身分の差がないとはいえ、アスランが公然とタレイアを侮辱し続けてきたことで、彼女は生徒たちから冷笑と蔑視の的となっていた。しかしタレイアは、王城で政務を担ってきた聡明さと矜持を失わず、毅然と振る舞う。
婚約破棄ですか???実家からちょうど帰ってこいと言われたので好都合です!!!これからは復讐をします!!!~どこにでもある普通の令嬢物語~
tartan321
恋愛
婚約破棄とはなかなか考えたものでございますね。しかしながら、私はもう帰って来いと言われてしまいました。ですから、帰ることにします。これで、あなた様の口うるさい両親や、その他の家族の皆様とも顔を合わせることがないのですね。ラッキーです!!!
壮大なストーリーで奏でる、感動的なファンタジーアドベンチャーです!!!!!最後の涙の理由とは???
一度完結といたしました。続編は引き続き書きたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
婚約破棄されなかった者たち
ましゅぺちーの
恋愛
とある学園にて、高位貴族の令息五人を虜にした一人の男爵令嬢がいた。
令息たちは全員が男爵令嬢に本気だったが、結局彼女が選んだのはその中で最も地位の高い第一王子だった。
第一王子は許嫁であった公爵令嬢との婚約を破棄し、男爵令嬢と結婚。
公爵令嬢は嫌がらせの罪を追及され修道院送りとなった。
一方、選ばれなかった四人は当然それぞれの婚約者と結婚することとなった。
その中の一人、侯爵令嬢のシェリルは早々に夫であるアーノルドから「愛することは無い」と宣言されてしまい……。
ヒロインがハッピーエンドを迎えたその後の話。
【完結】転生したので悪役令嬢かと思ったらヒロインの妹でした
果実果音
恋愛
まあ、ラノベとかでよくある話、転生ですね。
そういう類のものは結構読んでたから嬉しいなーと思ったけど、
あれあれ??私ってもしかしても物語にあまり関係の無いというか、全くないモブでは??だって、一度もこんな子出てこなかったもの。
じゃあ、気楽にいきますか。
*『小説家になろう』様でも公開を始めましたが、修正してから公開しているため、こちらよりも遅いです。また、こちらでも、『小説家になろう』様の方で完結しましたら修正していこうと考えています。
この度、皆さんの予想通り婚約者候補から外れることになりました。ですが、すぐに結婚することになりました。
鶯埜 餡
恋愛
ある事件のせいでいろいろ言われながらも国王夫妻の働きかけで王太子の婚約者候補となったシャルロッテ。
しかし当の王太子ルドウィックはアリアナという男爵令嬢にべったり。噂好きな貴族たちはシャルロッテに婚約者候補から外れるのではないかと言っていたが
【完結】うちの悪役令嬢はヒロインよりも愛らしい
らんか
恋愛
前世の記憶を思い出した今なら分かる。
ヒロインだからって、簡単に王子様を手に入れていいの?
婚約者である悪役令嬢は、幼い頃から王子妃になる為に、厳しい淑女教育を受けて、頑張ってきたのに。
そりゃ、高圧的な態度を取る悪役令嬢も悪いけど、断罪するほどの事はしていないでしょ。
しかも、孤独な悪役令嬢である彼女を誰も助けようとしない。
だから私は悪役令嬢の味方なると決めた。
ゲームのあらすじ無視ちゃいますが、問題ないよね?
貴族令嬢、転生十秒で家出します。目指せ、おひとり様スローライフ
凜
ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞にて奨励賞を頂きました。ありがとうございます!
貴族令嬢に転生したリルは、前世の記憶に混乱しつつも今世で恵まれていない環境なことに気が付き、突発で家出してしまう。
前世の社畜生活で疲れていたため、山奥で魔法の才能を生かしスローライフを目指すことにした。しかししょっぱなから魔物に襲われ、元王宮魔法士と出会ったり、はては皇子までやってきてと、なんだかスローライフとは違う毎日で……?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる