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41.中盤戦 お馬鹿ファミリー
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「まあ、王太子様ですって? どこの国の方かしら?」
マイラが表情を押し殺した顔で口を挟んできたが目がキラキラと輝いている。
「それはまだ言えんがどこかで我が家の評判を聞き及んだらしくて是非にと仰ってな」
自信満々に鼻を膨らますサイラスとニコニコ顔のエドナ。
「エリーは我が家の恥だが良い縁談を準備してやったのだからありがたく思いなさい。このままではお前はミリーの縁談の邪魔になるばかりだ。これ以上家族に迷惑をかけるのはやめないとな」
サイラスは昔ながらの自己中な考えで悦にいっている。
「今日はもうお帰りなさい。話にならないわ」
呆れ顔のアリシアが扇子で口元を隠したのは溜息を吐きかけたのを誤魔化すためかもしれない。
「どうしても婚約破棄させたいなら援助金と慰謝料を払って貰います。そしてエリーは二度と我々の前に顔を出させない」
「こちらから出向く事はないと約束しましょう。但し慰謝料や子爵から貰った援助金についてはわたくし達には関係ありません」
聞く耳を持たないアリシアに腹を立てたサイラスはまた来ると言い放ち不満を露わにしたままドスドスと足音を立てて帰っていった。
「予想通りですね。しかも王太子ですって」
本当に情けないと言いながらマイラが肩をすくめた。
「元々恋人同士だったのだからミリーを子爵令息と結婚させれば済む話。いずれにせよ数日中に戻ってくるでしょうからそれまでに身体を休めておきましょう」
アリシアの宣言通り1週間も経たずサイラスが家族総出でやってきた。
「お祖母様お久しぶりです。ミリーはお祖母様にずーっと会いたいなって思っててお父様にお願いしてやって来ました。漸くお会いできてミリーとっても嬉しいです」
満面の笑顔でアリシアの側に駆け寄ったミリーだが、ミリーに飛びつかれる寸前にアリシアは一歩後ろに下がった。
「もう、お祖母様ったら」
めげないミリーはアリシアの前でニコニコしている。
「お祖母様お久しぶりです。学園を卒業したのでこれからはお祖母様の元で働く予定です。宜しくお願いしますね」
アリシアの元で働くことが確定しているつもりのフレディは胸を張り自信満々に挨拶をした。
「いつもマイラ叔母さんと一緒におられるけど僕の方が役に立つから安心して任せてください。これからは楽隠居していいですよ」
フレディは堂々とマイラを役立たず呼ばわりしアリシアを年寄り扱いした。アリシアの顔が無表情から冷たい能面のようになっていった。
「お祖母様のお側にいるのはエリーより私の方が適任だけどもうすぐ王子様と結婚しなくちゃいけないの。しょっちゅう遊びにきてあげますから寂しがらないで下さいね」
「ミリーは王子様と結婚するの?」
「叔母様ったらそんなに羨ましがらないで。ミリーの王子様は次の王様になる王太子様なの。ふふっ」
「わたくしは一体なんの茶番を見せられているのかしら」
アリシアがサイラスを睨みつけると薄ら笑いを浮かべたサイラスが肩をすくめた。
「世代交代って奴です。エリーが子爵家に嫁いだ後ミリーは王太子に嫁ぐ。フレディは私と一緒に母上の仕事を引き継ぐ」
以上終わりとでも言いたげなサイラスが両手を広げてドヤ顔で言い放つとアリシアが扇子をピシリとフレディに突きつけた。
「まず第一にフレディ、あなたやサイラスをわたくしの仕事の後継者にはしませんし仕事に関わらせるつもりもありません。そして、マイラに対する無礼な態度を謝罪なさい」
「えっ、なんで?」
フレディは本気で戸惑っている。
「マイラはあなた達と違いとても優秀です。謝罪も出来ないのならさっさと屋敷を出ておいきなさい。二度と顔を出さないで」
フレディは不満げな顔をしてマイラを睨んでいたが不承不承マイラに小声で謝罪した。
「ごめんなさい」
「お兄様ったら、相手に合わせた説明の仕方を考えてあげなくちゃ駄目よ。そうでしょうお父様?」
「フレディの仕事に関しては改めて母上に説明して差し上げよう」
「ねえ、ミリーが結婚するつもりなのは皇太子様ではないの?」
「皇太子? 王太子様って教えてあげたでしょ?」
ミリーは情けない人ねと言わんばかりにマイラを横目で睨みふんっと鼻を鳴らした。
「サイラス、あなたの意見は?」
アリシアが不審げな顔で聞くとサイラスが堂々と答えた。
「ミリーの言う通り次の王様になる人は王太子ですよ。皇太子なんて聞いたこともない。母上の事が心配になってきた。やっぱり早く私とフレディが仕事を引き継いであげなくては」
チラリとエドナを見るとうんうんと頷いている。
(もしかして家族揃って皇太子と王太子の違いがわかってないのかしら?)
サイラス達が滅茶苦茶な理論を展開していると、執事が新たな来客を知らせた。
マイラが表情を押し殺した顔で口を挟んできたが目がキラキラと輝いている。
「それはまだ言えんがどこかで我が家の評判を聞き及んだらしくて是非にと仰ってな」
自信満々に鼻を膨らますサイラスとニコニコ顔のエドナ。
「エリーは我が家の恥だが良い縁談を準備してやったのだからありがたく思いなさい。このままではお前はミリーの縁談の邪魔になるばかりだ。これ以上家族に迷惑をかけるのはやめないとな」
サイラスは昔ながらの自己中な考えで悦にいっている。
「今日はもうお帰りなさい。話にならないわ」
呆れ顔のアリシアが扇子で口元を隠したのは溜息を吐きかけたのを誤魔化すためかもしれない。
「どうしても婚約破棄させたいなら援助金と慰謝料を払って貰います。そしてエリーは二度と我々の前に顔を出させない」
「こちらから出向く事はないと約束しましょう。但し慰謝料や子爵から貰った援助金についてはわたくし達には関係ありません」
聞く耳を持たないアリシアに腹を立てたサイラスはまた来ると言い放ち不満を露わにしたままドスドスと足音を立てて帰っていった。
「予想通りですね。しかも王太子ですって」
本当に情けないと言いながらマイラが肩をすくめた。
「元々恋人同士だったのだからミリーを子爵令息と結婚させれば済む話。いずれにせよ数日中に戻ってくるでしょうからそれまでに身体を休めておきましょう」
アリシアの宣言通り1週間も経たずサイラスが家族総出でやってきた。
「お祖母様お久しぶりです。ミリーはお祖母様にずーっと会いたいなって思っててお父様にお願いしてやって来ました。漸くお会いできてミリーとっても嬉しいです」
満面の笑顔でアリシアの側に駆け寄ったミリーだが、ミリーに飛びつかれる寸前にアリシアは一歩後ろに下がった。
「もう、お祖母様ったら」
めげないミリーはアリシアの前でニコニコしている。
「お祖母様お久しぶりです。学園を卒業したのでこれからはお祖母様の元で働く予定です。宜しくお願いしますね」
アリシアの元で働くことが確定しているつもりのフレディは胸を張り自信満々に挨拶をした。
「いつもマイラ叔母さんと一緒におられるけど僕の方が役に立つから安心して任せてください。これからは楽隠居していいですよ」
フレディは堂々とマイラを役立たず呼ばわりしアリシアを年寄り扱いした。アリシアの顔が無表情から冷たい能面のようになっていった。
「お祖母様のお側にいるのはエリーより私の方が適任だけどもうすぐ王子様と結婚しなくちゃいけないの。しょっちゅう遊びにきてあげますから寂しがらないで下さいね」
「ミリーは王子様と結婚するの?」
「叔母様ったらそんなに羨ましがらないで。ミリーの王子様は次の王様になる王太子様なの。ふふっ」
「わたくしは一体なんの茶番を見せられているのかしら」
アリシアがサイラスを睨みつけると薄ら笑いを浮かべたサイラスが肩をすくめた。
「世代交代って奴です。エリーが子爵家に嫁いだ後ミリーは王太子に嫁ぐ。フレディは私と一緒に母上の仕事を引き継ぐ」
以上終わりとでも言いたげなサイラスが両手を広げてドヤ顔で言い放つとアリシアが扇子をピシリとフレディに突きつけた。
「まず第一にフレディ、あなたやサイラスをわたくしの仕事の後継者にはしませんし仕事に関わらせるつもりもありません。そして、マイラに対する無礼な態度を謝罪なさい」
「えっ、なんで?」
フレディは本気で戸惑っている。
「マイラはあなた達と違いとても優秀です。謝罪も出来ないのならさっさと屋敷を出ておいきなさい。二度と顔を出さないで」
フレディは不満げな顔をしてマイラを睨んでいたが不承不承マイラに小声で謝罪した。
「ごめんなさい」
「お兄様ったら、相手に合わせた説明の仕方を考えてあげなくちゃ駄目よ。そうでしょうお父様?」
「フレディの仕事に関しては改めて母上に説明して差し上げよう」
「ねえ、ミリーが結婚するつもりなのは皇太子様ではないの?」
「皇太子? 王太子様って教えてあげたでしょ?」
ミリーは情けない人ねと言わんばかりにマイラを横目で睨みふんっと鼻を鳴らした。
「サイラス、あなたの意見は?」
アリシアが不審げな顔で聞くとサイラスが堂々と答えた。
「ミリーの言う通り次の王様になる人は王太子ですよ。皇太子なんて聞いたこともない。母上の事が心配になってきた。やっぱり早く私とフレディが仕事を引き継いであげなくては」
チラリとエドナを見るとうんうんと頷いている。
(もしかして家族揃って皇太子と王太子の違いがわかってないのかしら?)
サイラス達が滅茶苦茶な理論を展開していると、執事が新たな来客を知らせた。
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