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ティルスへ
10.雇い主はお嬢様
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ルーカスがアレクの尻を踏んづけていた。
「そんなにケツを見せびらかしたいか?
どうやら俺の趣味じゃなくて、おまえの性癖らしいな」
「おっさ・・るっルーカスさん、お願い。足、退けてくんない?」
「だったらそのまま出てくるんだな。手に靴を持ってたらお仕置きだな」
アレクは頭を突っ込んだ体勢のまま、
「酷えよ、あんたみたいな奴を雇ってる貴族の顔が見たいぜ」
「なら出ていらっしゃいな。
直ぐに見れるわよ」
「えっ? あんた・・お嬢さんが雇い主?
マジかよ。普通親が雇って子供の護衛とかに付けんじゃないの?」
「とにかく出てこい。
あんなに苦労して湯浴みさせたのに、埃まみれになったらまた湯浴みさせるぞ」
アレクが慌ててベッドの下から這い出し、洋服の埃を叩いた。
「俺の国では湯浴みは犯罪行為と一緒なんだぞ。
水や湯を浴びると病気になるって。
湯浴みのせいで変な病気になったら責任とってくれんのかよ」
マーサが慌てて後ろに下がり、
「どうもお部屋が埃っぽいと思ってたんです。
後でベッドの下を綺麗にします」
「さて、洗いざらい吐いてもらおうか?
何を隠している? 大人を甘く見るなよ」
「ルーカスさんってば、人格変わってるよ?
お嬢様方が怯えてるって教えてあげたじゃん」
「俺をブチギレさせた半分以上はお前の責任だ。
諦めてとっとと吐け」
「せっかく腹一杯になったのに・・わあ、ごっごめんなさい。
申し訳ありません」
相変わらず冗談で誤魔化そうとしたアレクをルーカスが威嚇した。
「こっ怖えよ。ルーカスさん、あの大男のガンズよりよっぽど迫力ある」
「あの時の大男はガンズって言うの?」
「あいつは漁師ギルドの長老の一人で、すっごい嫌われ者なんだ。
だからあん・・お嬢様が投げた財布の事、誰もチクらなかったんだよ。
お陰であいつの馬鹿面が見れたから」
「随分と傲慢な方だったものね。あの方が長老だと漁師ギルドはややこしそうね」
「あいつと金持ちの仲買人のベレルってのが手を組んでる。
この辺りには養魚池が沢山あるんだけど、教会と金持ち達が漁業権で揉めてるのを隠れ蓑にして、奴らは価格をコントロールして漁師から買い叩いたりしてるんだ」
「領主様はご存知ないのかしら?」
「知らないんじゃない? 下々のことなんて気にしてないのかもね。
領主なんてそんなもんだろ?」
「そうでもないわよ。
ここの領主のブルック伯爵はとても聡明な方だし、相談したらきっと力になってくれると思うわ」
アレクが冷たい目でリディアを見て、
「偉そうに言うならやってみろよ。
さっきの警備隊長いただろ?
あいつの親は領主館でランド・スチュワードやってる。
あんたに、この意味わかる?」
「そんなにケツを見せびらかしたいか?
どうやら俺の趣味じゃなくて、おまえの性癖らしいな」
「おっさ・・るっルーカスさん、お願い。足、退けてくんない?」
「だったらそのまま出てくるんだな。手に靴を持ってたらお仕置きだな」
アレクは頭を突っ込んだ体勢のまま、
「酷えよ、あんたみたいな奴を雇ってる貴族の顔が見たいぜ」
「なら出ていらっしゃいな。
直ぐに見れるわよ」
「えっ? あんた・・お嬢さんが雇い主?
マジかよ。普通親が雇って子供の護衛とかに付けんじゃないの?」
「とにかく出てこい。
あんなに苦労して湯浴みさせたのに、埃まみれになったらまた湯浴みさせるぞ」
アレクが慌ててベッドの下から這い出し、洋服の埃を叩いた。
「俺の国では湯浴みは犯罪行為と一緒なんだぞ。
水や湯を浴びると病気になるって。
湯浴みのせいで変な病気になったら責任とってくれんのかよ」
マーサが慌てて後ろに下がり、
「どうもお部屋が埃っぽいと思ってたんです。
後でベッドの下を綺麗にします」
「さて、洗いざらい吐いてもらおうか?
何を隠している? 大人を甘く見るなよ」
「ルーカスさんってば、人格変わってるよ?
お嬢様方が怯えてるって教えてあげたじゃん」
「俺をブチギレさせた半分以上はお前の責任だ。
諦めてとっとと吐け」
「せっかく腹一杯になったのに・・わあ、ごっごめんなさい。
申し訳ありません」
相変わらず冗談で誤魔化そうとしたアレクをルーカスが威嚇した。
「こっ怖えよ。ルーカスさん、あの大男のガンズよりよっぽど迫力ある」
「あの時の大男はガンズって言うの?」
「あいつは漁師ギルドの長老の一人で、すっごい嫌われ者なんだ。
だからあん・・お嬢様が投げた財布の事、誰もチクらなかったんだよ。
お陰であいつの馬鹿面が見れたから」
「随分と傲慢な方だったものね。あの方が長老だと漁師ギルドはややこしそうね」
「あいつと金持ちの仲買人のベレルってのが手を組んでる。
この辺りには養魚池が沢山あるんだけど、教会と金持ち達が漁業権で揉めてるのを隠れ蓑にして、奴らは価格をコントロールして漁師から買い叩いたりしてるんだ」
「領主様はご存知ないのかしら?」
「知らないんじゃない? 下々のことなんて気にしてないのかもね。
領主なんてそんなもんだろ?」
「そうでもないわよ。
ここの領主のブルック伯爵はとても聡明な方だし、相談したらきっと力になってくれると思うわ」
アレクが冷たい目でリディアを見て、
「偉そうに言うならやってみろよ。
さっきの警備隊長いただろ?
あいつの親は領主館でランド・スチュワードやってる。
あんたに、この意味わかる?」
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