【第一章完結】相手を間違えたと言われても困りますわ。返品・交換不可とさせて頂きます

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7.フラタニティ

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「“兄弟団や信心会” に似ているんだけど、元々はキリスト教的な考えがメインの団体だったみたい。

同職ギルドと似た部分もあるし、慈善活動や社会事業も行う面白い団体の事なのよ」


「まさかとは思いますが、リディア様はフラタニティ 旧チャリティ組織の一つの団体を作るおつもりではないでしょうね。

河川交易をはじめようとしている今、慈善団体を立ち上げるのは無謀というしかありません」


「分かってる、勿論並行してやるつもりはないのよ。
でも次のステップとして頭に入れとくくらいは構わないでしょう?

施療院に入らざるを得ない様な子供に、最低限の教育が出来れば。
色々な同職ギルドと協力すれば、将来ちゃんとした職業にもつけるし、同職ギルドだって有能な弟子を手に入れやすくなるのよ」


 ルーカスは眼鏡を触り、
「仰っていることは分かりました。
ですが、その話とアレクを連れて帰る事とは同列に話すべきではないと思います」


「アレクを見ていて思いついたんだもの。
アレクに責任をとってもらわなきゃ」

「「?」」

 意味が分からなかったルーカスとマーサが、キョトンとしてリディアを見ている。

「つまりね、アレクで実験?
彼に教育の機会を与えてその後を見るの。
アレクなら大丈夫って自信はあるけど、団体を立ち上げる前に成功例を作るの」


 ルーカスがしきりに眼鏡を触っている。


「つまり、リディア様はフラタニティの団体を作ることをたった今思いついたと言うことですか?」

「そうよ、どうかしら? すごくいい案だと思うんだけど」


 ドヤ顔のリディアに対し、ルーカスとマーサは開いた口が塞がらない。


「りっリディア様、それはあまりに刹那的と言うか短絡的な思考ではないでしょうか?」

「今までもこんな感じでやってきたんだけど、そんなにおかしなことかしら」


「騾馬の交配からはじまって商会の立ち上げ、今回の河川交易に至るまでの全てですか?」


「そうよ、元々スペンサーを見つける方法がないかなぁって考えてただけなの。
マーサ、このやり方ってそんなに変かしら?」

「お嬢様らしいと言いますか、もしかしたらそうなのではないかと思ってはいましたが」


 リディアは呆れ顔のマーサを放置して、ルーカスの説得を再開した。


「修道院併設の孤児院は許容量を超えてきてるし、色々問題が出てきてるでしょう?
どこも人手不足は深刻だし。
このままじゃ良くないんじゃないかなとは思っていたのよ」


 ルーカスが小声でぶつぶつ言っている。

「あり得ない・・信じられん。そんな、計画もなく思い付きで突っ走った結果が今だと?
成功の秘訣は、綿密な計画と調査と根回しと・・」



 ルーカス崩壊の予感?

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