【第一章完結】相手を間違えたと言われても困りますわ。返品・交換不可とさせて頂きます

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4.スリの少年

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 リディア達がびっくりして振り返ると、大柄な男が10歳くらいの子供の胸ぐらを掴み上げていた。

「てめぇ、ふざけた真似すんじゃねえ。
俺様が誰なのか分かってやってんのか、ああ?」

 どうやら子供は、大男の財布を掏ろうとして捕まったらしい。

 大男が、捕まえた子供を殴りつけようとした。

 リディアが走って行き大男から無理矢理子供を引き剥がした。
「子供相手になんて事を」

 リディアは大男を睨みつけた後持っていた串焼きを子供に見せて、
「お腹が空いていたの? これ食べる?」


「「お嬢様!」」

 マーサとルーカスが駆け寄りリディアと子供を後ろに庇った。


「何だてめえら、邪魔すんじゃねえ」

 リディアが子供を抱えたまま、
「子供相手に暴力だなんて、恥ずかしくありませんの?」

「ああ? そいつはな、スリの常習犯なんだ。女の癖に出しゃばってくんじゃねえ」

「暴力と暴言は愚かな男の専売特許ですわね」

 リディアの言葉を聞いて、大男は顔を赤くして顳顬に青筋を立てている。


「リディア様、それ以上あの男を煽るのはおやめください」



「どけどけ!」


 大勢の野次馬をかき分けて警備隊がやってきた。警備隊長らしき男が数人の隊員を引き連れている。

「何の騒ぎだ?」

「隊長、いいところに来てくだすった。
スリの常習犯を捕まえたんで懲らしめてやろうとしたら、あの女が邪魔しやがって」

 警備隊長は大男に指差されたリディア達を見て、
「おい女、その小僧をこっちへ寄越せ」

 少年がリディアにしがみついてきたので、リディアは安心させる様に背中をトントンと叩いた。

「お断りしますわ。そこの大男はこの子を叩こうとしていましたの」

 大男は益々顔を赤くし、
「スリの常習犯を捕まえたんだ。犯罪者が罰を受けるのは当然だろうが!」

「あなたのやろうとした事は単なる暴力ですわ。ところで何を掏られましたの?」

「金の入った巾着だよ。さっさと返しやがれ」

「あなたの後ろに落ちているそれではなくて?」

 大男が振り返ると、大男の後ろの方に派手な飾り紐のついた巾着が落ちていた。

「!」

「どうやら問題解決の様ですわね。警備隊の方も宜しいかしら? さぁ行きましょう」


 リディア達が立ち去ろうとすると、
「覚えてやがれ! 今度会ったらただじゃおかねえからな」

「多分忘れていると思いますわ」

 ルーカスは態々大男を煽るリディアに慌てて、
「リディア様、おやめください。
一旦馬車に戻りましょう」

 ルーカスはリディア達を追い立てる様にして、早足で馬車まで戻ってきた。


 馬車に乗り込んだ後ルーカスが眼鏡を直しながら、
「リディア様、何故態々あの男に喧嘩を売る様な真似をなさるのですか?」

「だって子供に手を上げようとするから、腹が立ったんだもの」

「はぁ、リディア様がトラブルに巻き込まれる理由が分かった気がします。
しかし、上手に投げられましたね」


「気付いてたの?」

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感想 13

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