【第一章完結】相手を間違えたと言われても困りますわ。返品・交換不可とさせて頂きます

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マッケンジー邸

9.返品・交換不可

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「あの、ひとつだけ聞いて良いでしょうか?」

 ジェシカが返事をした。
「何でも聞いて頂戴」

「アンリはセシリアとお付き合いされていたのに、何故セシリアをレノンと結婚させようとしたのか不思議で」


 殴られたばかりのアンリは不貞腐れた顔で、
「付き合ってた? 馬鹿馬鹿しい、こんなわがまま娘お断りだ。
いずれレノンと結婚するってセシリアから聞いたから、俺のお下がりをあいつに返してやろうと思っただけだし」


「返す・・返す?」


 リディアはアンリのところに歩いて行き、

「人は、返品・交換なんて出来ませんのよ」


 リディアの人生三度目の膝蹴り炸裂。

 アンリは地面に倒れ伏し、くの字になってヒクヒクと痙攣している。


 ライリーは愕然とした顔をしていたが、
「リディア、その。スッキリしたかな?」

「ええ、今回は最大パワーで頑張ってみましたの」

 にっこり満面の笑みを浮かべているリディアを、全員が顔を引き攣らせて見つめていた。

「「アンリ、終わったな」」
 男2人の小さな声が聞こえて来た。



 動けなくなっているアンリは戸板に乗せられて、自室のベッドに運ばれた。
 今はジェシカ・レノン・ライリー・リディア・セシリアの5人がキョシュクガゼボに集まっていた。


 セシリアは泣き続け、ジェシカとレノンは項垂れている。


 先程アンリを恫喝した時とは別人のような穏やかさ全開のライリーが、
「ジェシカ、私達は失礼させて貰って良いかな?
申し訳ないが、こういうのは苦手でね」



 帰りの馬車の中、
「お父様が怒ったところ、初めて見ましたわ」

「娘を傷付ける奴には私だって本気になるさ」

「かっこ良かったですわ」

 リディアの言葉にライリーは、顔を真っ赤にして照れていた。

「アンリやセシリアの事調べたんですの?」

「ああ、アンリが犯人だと思ったから後をつけさせたらセシリアに繋がったんだ。
セシリアがレノンに夢中なのは有名だったからね。
後は私の推理かな?」

 あの短期間に良くそこまで調べたと、父親を見直したリディアだった。


「これからリディアはどうするんだい?」

「それを悩んでいますの。
お兄様が戻られるまでにはもう少し時間がかかりそうですし、河川交易の話をどこまで進めて良いのか」

「スペンサーに商会を任せたいんだね」

「そう出来れば良いなとは思っていますが、押し付けるわけには参りませんでしょう?」

「リディアは商会が重荷なのかな?」

「いいえ、ちっとも。
ただ私が商会長だと、ロバート様の様な考えの方を呼び寄せてしまうのかなぁと思うと憂鬱で」

「なら結婚してしまうとか。
有象無象が押し寄せてくる前に、リディア自身が選んだらどうだい?」

「私がお相手を選ぶのですか?
どうすればいいのか見当もつきませんわ。
それに刺繍や機織り、糸紡ぎも出来ませんのよ」

 リディアは大きな溜息をついた。

「今までに好きだと思った人はいないのかい?」

「それなら沢山いらっしゃいますわ。
頭の良い方や面白い方とか、色々」


「マーサ、これは私が娘を誰にも取られたくないと思ってた弊害かな?」

「他にも要因はありますが、その可能性もございます」



「リディア、例えばセオ達3人のことはどう思ってる?」

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感想 13

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