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マッケンジー邸
7.二回目の?
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「何があったのか教えてくれるかしら」
ライリーはいつもと変わらない表情で、
「ジェシカには申し訳ないが、本人に直接話したいのでね」
アンリが青い顔でやって来たが、リディアを見た途端立ち止まった。
ライリーが立ち上がりアンリの元に向かい、
「君が例の麝香の男だね?」
「・・」
アンリは俯いて何も答えない。
「答えがないのは認めたと言うことだね」
「そっそれは」
「ではこの屋敷内に麝香の香油を使っている者が他にもいるのかね?」
「・・」
ライリーが手袋を脱ぎ始めたので、リディアは必死で駆け寄った。
「お父様、駄目。やめて!」
ライリーが手袋をアンリに投げつける寸前にリディアが飛びついて、ライリーの手を握りしめた。
「お願い、お父様」
「リディア、これはとても大事なことなんだ。手を離してくれ」
騒ぎを聞きつけて、レノンとセシリアがやって来た。
呆然としていたジェシカが我に返り、
「アンリ、あなた一体何をしたの? まさか」
「いいえ、何も起こってませんの。本当ですわ」
「何もなかったからそれで良いとは言えんのだよ」
レノンが走って来て、アンリの胸ぐらを掴み殴りつけた。
アンリに馬乗りになり殴りつけるレノンを見たセシリアが、
「レノン、やめて。アンリが怪我を」
「リディアに何をした? 何をしようとしたんだ」
「アンリは何もしてないわ。何もしないで逃げ出して来たんだもの!」
レノンが振り返り、
「セシリア、なぜ君が知っている?」
セシリアは自分の失言に気付き、口を押さえ真っ青になった。
ライリーが手袋を直しながら、
「これで役者が全員舞台に上がった様だね。話してもらおうか?」
ジェシカが周りのメイド達を下がらせ、冷たい声で話し出した。
「さて、誰から話してくれるのかしら?」
「叔母さま、私は何も知らなかったんです。
アンリから話を聞いただけで、なんの関係もありませんの」
「で? どんな話を聞いたのかしら?」
「りっリディアの部屋に行こうとしたけど行けなかったって」
「レノンの従僕が、何故リディアの部屋に?」
「知らない。きっとリディアがアンリを誘惑しようとしたんだわ。そうでしょう?」
「リディアはそんな馬鹿な真似はせん。
セシリア、下町のユーリーンと言ったら誰か分かるかな?」
セシリアが目を見開きライリーを見つめた。
「しっ知らないわ。下町なんて行くわけないじゃない」
「ほう、それならヘントの宿屋は?」
「・・」
「アンリ、お前は知っているな」
アンリは立ち上がり殴られた時に乱れた服装を直しながら、
「あーあ、クソ面白くもない。俺はうちに帰らせてもらう! こんな所これ以上いられるか」
「アンリ、あなたに帰る家はありません。私があなたの家に連絡しますからね」
「なっ、そんな」
「まずは全てを話すこと。出来ますね?」
「セシリアをレノンと結婚させる為にリディアに夜這いをかけようとしたんだが、ナイフで反撃されて諦めた。
急がないとセシリアの腹がデカくなってバレちまうから、手っ取り早い方法でリディアを傷物にしようとした。
これで全部喋った。帰って良いですかね」
ライリーはいつもと変わらない表情で、
「ジェシカには申し訳ないが、本人に直接話したいのでね」
アンリが青い顔でやって来たが、リディアを見た途端立ち止まった。
ライリーが立ち上がりアンリの元に向かい、
「君が例の麝香の男だね?」
「・・」
アンリは俯いて何も答えない。
「答えがないのは認めたと言うことだね」
「そっそれは」
「ではこの屋敷内に麝香の香油を使っている者が他にもいるのかね?」
「・・」
ライリーが手袋を脱ぎ始めたので、リディアは必死で駆け寄った。
「お父様、駄目。やめて!」
ライリーが手袋をアンリに投げつける寸前にリディアが飛びついて、ライリーの手を握りしめた。
「お願い、お父様」
「リディア、これはとても大事なことなんだ。手を離してくれ」
騒ぎを聞きつけて、レノンとセシリアがやって来た。
呆然としていたジェシカが我に返り、
「アンリ、あなた一体何をしたの? まさか」
「いいえ、何も起こってませんの。本当ですわ」
「何もなかったからそれで良いとは言えんのだよ」
レノンが走って来て、アンリの胸ぐらを掴み殴りつけた。
アンリに馬乗りになり殴りつけるレノンを見たセシリアが、
「レノン、やめて。アンリが怪我を」
「リディアに何をした? 何をしようとしたんだ」
「アンリは何もしてないわ。何もしないで逃げ出して来たんだもの!」
レノンが振り返り、
「セシリア、なぜ君が知っている?」
セシリアは自分の失言に気付き、口を押さえ真っ青になった。
ライリーが手袋を直しながら、
「これで役者が全員舞台に上がった様だね。話してもらおうか?」
ジェシカが周りのメイド達を下がらせ、冷たい声で話し出した。
「さて、誰から話してくれるのかしら?」
「叔母さま、私は何も知らなかったんです。
アンリから話を聞いただけで、なんの関係もありませんの」
「で? どんな話を聞いたのかしら?」
「りっリディアの部屋に行こうとしたけど行けなかったって」
「レノンの従僕が、何故リディアの部屋に?」
「知らない。きっとリディアがアンリを誘惑しようとしたんだわ。そうでしょう?」
「リディアはそんな馬鹿な真似はせん。
セシリア、下町のユーリーンと言ったら誰か分かるかな?」
セシリアが目を見開きライリーを見つめた。
「しっ知らないわ。下町なんて行くわけないじゃない」
「ほう、それならヘントの宿屋は?」
「・・」
「アンリ、お前は知っているな」
アンリは立ち上がり殴られた時に乱れた服装を直しながら、
「あーあ、クソ面白くもない。俺はうちに帰らせてもらう! こんな所これ以上いられるか」
「アンリ、あなたに帰る家はありません。私があなたの家に連絡しますからね」
「なっ、そんな」
「まずは全てを話すこと。出来ますね?」
「セシリアをレノンと結婚させる為にリディアに夜這いをかけようとしたんだが、ナイフで反撃されて諦めた。
急がないとセシリアの腹がデカくなってバレちまうから、手っ取り早い方法でリディアを傷物にしようとした。
これで全部喋った。帰って良いですかね」
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