【第一章完結】相手を間違えたと言われても困りますわ。返品・交換不可とさせて頂きます

との

文字の大きさ
上 下
68 / 95
マッケンジー邸

1.初の家族旅行?

しおりを挟む
「はあ、それでお二人ともそんなに張り切っていらっしゃると。
スペンサー様にお会いになりたいお気持ちはわかりますが。

いつ出発なさいますか?」

 キラキラと目を輝かせた2人が揃って、
「「直ぐでも良いの(か)?」」

「問題ありません。元々リディア様は突拍子もない行動をとられることが多いので、余り先の予定は組まないようにしていますので」

「ディスられてる気がするんだけど」

「お前が突然訳のわからん事を言い出すのは昔からだ。
気にするな」

「お父様もセオも何気に酷くない?
マーサ・・に聞くのは止めとくわ。自分の首を絞めそう」

「懸命な判断ですね、お嬢様」

 3人が揃ってドヤ顔でリディアを見ている。



「リディアとこうして馬車で旅するのは何年振りかな?」

「初めてだと思いますわ」

「そうか、スペンサーが帰ってきたらどこかに旅行でもするか」

「お父様はそろそろ湯治とか?」

「? 私はまだ若いぞ。お前達には負けん」


 2人は緊張と興奮でテンションが上がり気味。

(こういう時は気をつけないとな。似た者親子は何をしでかすか)

 また一歩ロマンスグレーが近づいている気配のセオと、全く動じてない様子のマーサだった。



「それでお二人揃ってパルミナにお越しになられたと。
想像以上の行動力に恐れ入ります」

 イーサンがさりげない嫌味と共に挨拶をした。

 ここはいつもの(?)酒場の2階。イーサンは仕事を抜け出してやってきた。

「その後の様子はどう? ランカスター伯爵は大人しくしてるかしら?」

「奴がスペンサーに迷惑をかけてたらただじゃおかん」

「大丈夫です。伯爵はご機嫌で自分の手柄だと吹聴して回るのに忙しいようなので」

 唯一冷静なセオが、
「イーサン、ランカスター伯爵について調べたがロクな噂を聞かないんだ。
くれぐれも注意して欲しい」

「おう。あいつは虚栄心が強い蛭みたいな奴だから、スペンサーのことがバレないように細心の注意をしてる」

 横目で2人に嫌味を言うが、当人達は全くと言って良いほど気にしていない。

「大丈夫だ。グリューニーの街に入る前からこの通り変装してきた。
乗ってきた馬車も荷馬車だしな」

「で、お嬢もズボンと」

「そうよ、その方が分かりにくいでしょう?」

「セオ、お前・・まあ、この二人じゃ止めても無駄だよな。
ライリーポーレット伯爵様は荷馬車に乗られて大丈夫だったのですか?」

「勿論だとも。貧乏生活が長かったからな、未だに馬車の方が落ち着かんくらいだ」

 おかしな自慢をしたライリーをスルーして、
「では、俺はこれで」

 イーサンが帰ろうとすると、
「宜しく頼む。無理はしなくて良い、いくらでも待つから」

「あまり長居すると、酒場の亭主が悲鳴を上げるかも。
セオ宜しくな」


 その後2人は、部屋の中を彷徨いては窓から外を眺めて溜息をついていた。


「ライリー様、リディア様。夕食の支度が整いました。
1階は一般客が大勢いるので、別室に準備致しましたのでご案内いたします」


 リディア達の部屋とは反対側の部屋に入った。


「お久しぶりです。父上」

しおりを挟む
感想 13

あなたにおすすめの小説

婚約破棄すると言われたので、これ幸いとダッシュで逃げました。殿下、すみませんが追いかけてこないでください。

桜乃
恋愛
ハイネシック王国王太子、セルビオ・エドイン・ハイネシックが舞踏会で高らかに言い放つ。 「ミュリア・メリッジ、お前とは婚約を破棄する!」 「はい、喜んで!」  ……えっ? 喜んじゃうの? ※約8000文字程度の短編です。6/17に完結いたします。 ※1ページの文字数は少な目です。 ☆番外編「出会って10秒でひっぱたかれた王太子のお話」  セルビオとミュリアの出会いの物語。 ※10/1から連載し、10/7に完結します。 ※1日おきの更新です。 ※1ページの文字数は少な目です。 ❇❇❇❇❇❇❇❇❇ 2024年12月追記 お読みいただき、ありがとうございます。 こちらの作品は完結しておりますが、番外編を追加投稿する際に、一旦、表記が連載中になります。ご了承ください。 ※番外編投稿後は完結表記に致します。再び、番外編等を投稿する際には連載表記となりますこと、ご容赦いただけますと幸いです。

離婚したいけれど、政略結婚だから子供を残して実家に戻らないといけない。子供を手放さないようにするなら、どんな手段があるのでしょうか?

克全
恋愛
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。 カーゾン侯爵令嬢のアルフィンは、多くのライバル王女公女を押し退けて、大陸一の貴公子コーンウォリス公爵キャスバルの正室となった。だがそれはキャスバルが身分の低い賢女と愛し合うための偽装結婚だった。アルフィンは離婚を決意するが、子供を残して出ていく気にはならなかった。キャスバルと賢女への嫌がらせに、子供を連れって逃げるつもりだった。だが偽装結婚には隠された理由があったのだ。

【完結】婚約者も両親も家も全部妹に取られましたが、庭師がざまぁ致します。私はどうやら帝国の王妃になるようです?

鏑木 うりこ
恋愛
 父親が一緒だと言う一つ違いの妹は姉の物を何でも欲しがる。とうとう婚約者のアレクシス殿下まで欲しいと言い出た。もうここには居たくない姉のユーティアは指輪を一つだけ持って家を捨てる事を決める。 「なあ、お嬢さん、指輪はあんたを選んだのかい?」  庭師のシューの言葉に頷くと、庭師はにやりと笑ってユーティアの手を取った。  少し前に書いていたものです。ゆるーく見ていただけると助かります(*‘ω‘ *) HOT&人気入りありがとうございます!(*ノωノ)<ウオオオオオオ嬉しいいいいい! 色々立て込んでいるため、感想への返信が遅くなっております、申し訳ございません。でも全部ありがたく読ませていただいております!元気でます~!('ω')完結まで頑張るぞーおー! ★おかげさまで完結致しました!そしてたくさんいただいた感想にやっとお返事が出来ました!本当に本当にありがとうございます、元気で最後まで書けたのは皆さまのお陰です!嬉し~~~~~!  これからも恋愛ジャンルもポチポチと書いて行きたいと思います。また趣味趣向に合うものがありましたら、お読みいただけるととっても嬉しいです!わーいわーい! 【完結】をつけて、完結表記にさせてもらいました!やり遂げた~(*‘ω‘ *)

傍若無人な姉の代わりに働かされていた妹、辺境領地に左遷されたと思ったら待っていたのは王子様でした!? ~無自覚天才錬金術師の辺境街づくり~

日之影ソラ
恋愛
【新作連載スタート!!】 https://ncode.syosetu.com/n1741iq/ https://www.alphapolis.co.jp/novel/516811515/430858199 【小説家になろうで先行公開中】 https://ncode.syosetu.com/n0091ip/ 働かずパーティーに参加したり、男と遊んでばかりいる姉の代わりに宮廷で錬金術師として働き続けていた妹のルミナ。両親も、姉も、婚約者すら頼れない。一人で孤独に耐えながら、日夜働いていた彼女に対して、婚約者から突然の婚約破棄と、辺境への転属を告げられる。 地位も婚約者も失ってさぞ悲しむと期待した彼らが見たのは、あっさりと受け入れて荷造りを始めるルミナの姿で……?

ヴェルセット公爵家令嬢クラリッサはどこへ消えた?

ルーシャオ
恋愛
完璧な令嬢であれとヴェルセット公爵家令嬢クラリッサは期待を一身に受けて育ったが、婚約相手のイアムス王国デルバート王子はそんなクラリッサを嫌っていた。挙げ句の果てに、隣国の皇女を巻き込んで婚約破棄事件まで起こしてしまう。長年の王子からの嫌がらせに、ついにクラリッサは心が折れて行方不明に——そして約十二年後、王城の古井戸でその白骨遺体が発見されたのだった。 一方、隣国の法医学者エルネスト・クロードはロロベスキ侯爵夫人ことマダム・マーガリーの要請でイアムス王国にやってきて、白骨死体のスケッチを見てクラリッサではないと看破する。クラリッサは行方不明になって、どこへ消えた? 今はどこにいる? 本当に死んだのか? イアムス王国の人々が彼女を惜しみ、探そうとしている中、クロードは情報収集を進めていくうちに重要参考人たちと話をして——?

妹に全てを奪われた令嬢は第二の人生を満喫することにしました。

バナナマヨネーズ
恋愛
四大公爵家の一つ。アックァーノ公爵家に生まれたイシュミールは双子の妹であるイシュタルに慕われていたが、何故か両親と使用人たちに冷遇されていた。 瓜二つである妹のイシュタルは、それに比べて大切にされていた。 そんなある日、イシュミールは第三王子との婚約が決まった。 その時から、イシュミールの人生は最高の瞬間を経て、最悪な結末へと緩やかに向かうことになった。 そして……。 本編全79話 番外編全34話 ※小説家になろう様、カクヨム様にも掲載しています。

婚約破棄された公爵令嬢は虐げられた国から出ていくことにしました~国から追い出されたのでよその国で竜騎士を目指します~

ヒンメル
ファンタジー
マグナス王国の公爵令嬢マチルダ・スチュアートは他国出身の母の容姿そっくりなためかこの国でうとまれ一人浮いた存在だった。 そんなマチルダが王家主催の夜会にて婚約者である王太子から婚約破棄を告げられ、国外退去を命じられる。 自分と同じ容姿を持つ者のいるであろう国に行けば、目立つこともなく、穏やかに暮らせるのではないかと思うのだった。 マチルダの母の祖国ドラガニアを目指す旅が今始まる――   ※文章を書く練習をしています。誤字脱字や表現のおかしい所などがあったら優しく教えてやってください。    ※第二章まで完結してます。現在、最終章について考え中です(第二章が考えていた話から離れてしまいました(^_^;))  書くスピードが亀より遅いので、お待たせしてすみませんm(__)m    ※小説家になろう様にも投稿しています。

目覚めたら公爵夫人でしたが夫に冷遇されているようです

MIRICO
恋愛
フィオナは没落寸前のブルイエ家の長女。体調が悪く早めに眠ったら、目が覚めた時、夫のいる公爵夫人セレスティーヌになっていた。 しかし、夫のクラウディオは、妻に冷たく視線を合わせようともしない。 フィオナはセレスティーヌの体を乗っ取ったことをクラウディオに気付かれまいと会う回数を減らし、セレスティーヌの体に入ってしまった原因を探そうとするが、原因が分からぬままセレスティーヌの姉の子がやってきて世話をすることに。 クラウディオはいつもと違う様子のセレスティーヌが気になり始めて……。 ざまあ系ではありません。恋愛中心でもないです。事件中心軽く恋愛くらいです。 番外編は暗い話がありますので、苦手な方はお気を付けください。 ご感想ありがとうございます!! 誤字脱字等もお知らせくださりありがとうございます。順次修正させていただきます。 小説家になろう様に掲載済みです。

処理中です...