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イーサンを探せ
8.本人に聞いて
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振り返ったリディアは、イーサンの隣に立っている男を見て絶句した。
リディアと同じハニーブロンドは短く刈り込まれ、少しサイズの小さいシャツと丈の短いズボン姿のスペンサーが立っていた。
突然リディアがベッド脇に置かれた鞄に駆け寄って、
「これ、ずっと預かったままだったから返すわ」
リディアが持ってきたのは、イーサン達を足止めして山賊をやり込めたスリングショット。
「玉は少し使っちゃったから減ってるけど、スリングショットと玉も十分使えたわ」
スペンサーが手渡されたスリングショットを見つめている。
「まだ持ってたんだ」
「ずっと持ってたわ。いつ会えるかわからないんだもの」
「玉使ったって、まさか」
「威力は申し分なしよ。良かったらイーサンに聞いてみて」
スペンサーとリディアがイーサンを見ると、
「なんだそれ?」
「あの時の胡椒と唐辛子玉」
「げっ、あれってスペンサーが作ったのかよ。あん時死ぬかと思ったぞ」
「お嬢様はこの間、それを使って山賊をやり込めたそうです」
「リディア、人に向けて打っちゃ駄目だって約束したよね。
これは熊や狼の撃退用だって」
「うーん、そうだったかしら?」
「マジかよ、俺達熊扱いだったわけ?」
「イーサンの様子からすると、他にも色々やらかしてそうだね。話を聞くのが楽しみだよ」
「スペンサーだってワット=タイラーだなんてって、
えっ? これからも会ってくれるの?」
「なんだ、もう会わないつもりだったんだ」
リディアが泣き出した。
「すっスペンサーの馬鹿間抜け、ちび」
「リディアの方がちびじゃん。
リディア、ありがとう」
「みっ見つけたのはイーサンだもの」
「スペンサー商会の名前は知ってた。俺の名前だとは思わなかったけど。
イーサンに会った時、スペンサー商会の者だって言ってくれて初めて2つが繋がった」
「スペンサーの商会だもの。騾馬って凄いねって言ったのはスペンサーだもん」
「そんなこと言ったっけ?」
リディアは頷いて、
「忘れるなんて酷い。お陰で淑女が交配なんてって一杯言われたんだよ」
「いいじゃん。淑女って言うより、未だにおてんば娘みたいだし」
「「ぷっ」」
「マーサもイーサンもそこ笑わない。そんなことないですって言うとこよ」
「スペンサー、そんな事・・あっあります。ぷはっははっ」
マーサとスペンサーは笑いが止まらない。
「リディア、領主達には内緒でこれからも時々会いにきてくれるかな?」
「うん、お父様今でもスペンサーの夢を見るって」
「リディアみたいな人だったら変装して会いにきそうで怖いな」
全員で大爆笑した。
「やりそう(だな)」
「ぼちぼち帰るよ。やらなきゃいけない事もあるし、仲間も待ってるし」
「お嬢様も片付けなきゃいけない事件がありますし」
「マーサ! 言わないで」
「お嬢、今度は何やらかした?」
「先日、夜這いをかけられてナイフで撃退したんですよね」
「「なんだって!」」
「マーサ、酷いってか夜這いって何?」
リディアと同じハニーブロンドは短く刈り込まれ、少しサイズの小さいシャツと丈の短いズボン姿のスペンサーが立っていた。
突然リディアがベッド脇に置かれた鞄に駆け寄って、
「これ、ずっと預かったままだったから返すわ」
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「玉は少し使っちゃったから減ってるけど、スリングショットと玉も十分使えたわ」
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「まだ持ってたんだ」
「ずっと持ってたわ。いつ会えるかわからないんだもの」
「玉使ったって、まさか」
「威力は申し分なしよ。良かったらイーサンに聞いてみて」
スペンサーとリディアがイーサンを見ると、
「なんだそれ?」
「あの時の胡椒と唐辛子玉」
「げっ、あれってスペンサーが作ったのかよ。あん時死ぬかと思ったぞ」
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「リディア、人に向けて打っちゃ駄目だって約束したよね。
これは熊や狼の撃退用だって」
「うーん、そうだったかしら?」
「マジかよ、俺達熊扱いだったわけ?」
「イーサンの様子からすると、他にも色々やらかしてそうだね。話を聞くのが楽しみだよ」
「スペンサーだってワット=タイラーだなんてって、
えっ? これからも会ってくれるの?」
「なんだ、もう会わないつもりだったんだ」
リディアが泣き出した。
「すっスペンサーの馬鹿間抜け、ちび」
「リディアの方がちびじゃん。
リディア、ありがとう」
「みっ見つけたのはイーサンだもの」
「スペンサー商会の名前は知ってた。俺の名前だとは思わなかったけど。
イーサンに会った時、スペンサー商会の者だって言ってくれて初めて2つが繋がった」
「スペンサーの商会だもの。騾馬って凄いねって言ったのはスペンサーだもん」
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リディアは頷いて、
「忘れるなんて酷い。お陰で淑女が交配なんてって一杯言われたんだよ」
「いいじゃん。淑女って言うより、未だにおてんば娘みたいだし」
「「ぷっ」」
「マーサもイーサンもそこ笑わない。そんなことないですって言うとこよ」
「スペンサー、そんな事・・あっあります。ぷはっははっ」
マーサとスペンサーは笑いが止まらない。
「リディア、領主達には内緒でこれからも時々会いにきてくれるかな?」
「うん、お父様今でもスペンサーの夢を見るって」
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「やりそう(だな)」
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「マーサ! 言わないで」
「お嬢、今度は何やらかした?」
「先日、夜這いをかけられてナイフで撃退したんですよね」
「「なんだって!」」
「マーサ、酷いってか夜這いって何?」
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