【第一章完結】相手を間違えたと言われても困りますわ。返品・交換不可とさせて頂きます

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イーサンを探せ

1.長老ウォルフ

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「イーサンの居場所をご存知なのですか?」

「おおよそは」

「スペンサー商会の情報と引き換えという事ですの?」

「それ程難しい話ではありません。
新しい分野に手をお出しになるなら、我々がお手伝いできるかと」

「つまり利権狙いと言う事ですのね」


「船乗り達は気の荒い奴ばかりです。
商会長の様なお嬢様には荷が重すぎるのではないかと。
我々なら港湾局にも船長達にも顔が効きますので、手を結ぶにはお勧めだと思いますが?」

「仰っている事は分かりました。
ですがスペンサー商会からお願いする事は、今の所何もないと思いますの。
それでは失礼します」

「本当に良いんですか? グリューニーの港を利用不可にしても良いのですよ」

「覚えておきますわ。
何かと言うと利権を狙って姑息な手段を取る方が多くてうんざりします」

「イーサン殿が危険な状態だったとしても?」

「もしそれを参審員がご存知で、交換条件にしたとわかればスペンサー商会はグリューニーの都市からはいっさい手を引くだけです。
私達は何よりも仲間を大切にしていますの」

「だったら尚更「ギルドの利益の為に一個人を利用する方を信用する気にはなれません。それでは失礼します」」

 リディアは立ち上がり部屋を後にした。


 商人ギルドを出ようとすると、別の部屋から白髪の男が飛び出してきた。

「お待ち下さい商会長! 私は当ギルドの長老をしておりますウォルフ・マンクと申します。どうかこちらへいらして下さい」

 ウォルフの後について行くとそこは、書類が溢れそうになっている机と壁一面が本棚になっている部屋だった。

「先程は参審員のチャールズが失礼いたしました。
イーサン殿ですが、五日前にパルミラの街に入られたのを確認しております」

「パルミラはヘイデンとは全く違う方向だと思いますが?」

「スペンサー商会の動向は、全ての商会やギルドが注目している事はご承知のことと思います。
それで今回、イーサン殿の跡をつけたものがおりまして」

「・・その情報の対価は?」

「特には。出来るならば今まで通りのお付き合いをいただければと思っております。
今商人ギルドは厳しい状況に立たされつつあります。
そのせいで参審員が先走った真似をした事どうかお許し頂きたい」

 
「情報をありがとうございます。
知らずにいればこのままヘイデンに向かうところでした」

「こちらこそ不快な対応を致しまして大変申し訳ありませんでした」

 ウォルフが深々と頭を下げた。

「パルミラに向かうのであればどうかお気をつけ下さい。
パルミラは今、民が領主に対し農奴一揆を起こしている可能性があります」

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