【第一章完結】相手を間違えたと言われても困りますわ。返品・交換不可とさせて頂きます

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王都

8.ご機嫌なセシリア

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 翌日、身支度を整えてリディア達が食堂に行くとレノンとセシリアが並んで座っていた。

「リディア様おはよう、昨夜はぐっすり眠れたかしら?」

 今朝のセシリアは昨日と打って変わってとても機嫌が良い様で、

「私は雷が怖くて何度も目が覚めてしまったの。
夜遅くに大きな物音がしたみたいだけど何かあったのかしら?」

「蝋燭立てを倒してしまいましたの。驚かせて申し訳ありません」


「リディア、何かあったのかい?」

「いえ、ちょっと寝ぼけていただけで。
ずっとマーサが側にいてくれましたから何も問題はありませんわ」

「そうか、母上はお昼頃まで起きてこないはずだから食事にしよう」


 メイドたちが料理や飲み物を運んで部屋の隅に下がった。

「今日は商会に行って、騾馬の件を相談したいんだが時間はあるかな?」

「レノン! 今日は私とってお願いしたじゃない」

「それはまた今度にしてくれるかな。急ぎの仕事があるのでね」

 レノンはいつ通りの落ち着いた笑みを浮かべているが、セシリアは不機嫌な顔になりリディアを睨みつけた。

「申し訳ありません。
今日はどうしても外せない用があるので、担当者にこちらに伺う様に連絡を入れておきますね」

「そうか、用事があるなら仕方ないな。担当者が来るのを待っているとしよう」


 朝食の後、リディア達は公爵のタウンハウスを出発し支店に直行した。

「おはようございます」

「おはよう、イーサンと連絡はついたかしら?」
「いえ、まだ何も連絡が来ていません」

「ルーカスは?」
「今朝早くヴェンナに向かうと言ってました。報告書を預かっています」

 事務員から書類を受け取りながら、
「ありがとう。
マッケンジー公爵が騾馬を増やしたいって仰ってるから、担当者に早めにタウンハウスへ伺う様にって連絡してくれるかしら。

それと、急ぎの手紙をヴェンナの細工師の所にいるセオに届けて欲しいんだけど早馬の手配をお願い」


 リディアの言葉を聞いて数人の事務員が動き出した。

 マーサが小声で話しかけてきた。

「お嬢様、昨夜のことも書いてくださいね」

「駄目駄目、そんなこと書いたらセオの綺麗な金髪が真っ白になっちゃうわ。
それに、最近のセオって私の顔を見るたびに“駄目ですリディア様” って言ってる気がするのに、余計な事を書いたら大変。
なんにも出来なくなっちゃいそう」


 リディアは手紙を書き上げ、早馬の騎手に手紙を渡した。

「申し訳ないけど出来るだけ急いで欲しいの。割増料金を払うわ」

「この手紙も一緒にセオに渡してくださいな」

 マーサが騎手に手紙を渡し、早馬が出発した。

「マーサ、何を書いたの?」

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