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王都
6.交配じゃない
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セシリアの爆弾発言にリディアが呆然としていると、セシリアはそのまま部屋を出て行ってしまった。
部屋に桶と湯が運ばれてきたので、リディア達は慌てて夜の準備をはじめた。
リディアは湯浴みを終えてスツールに腰掛け、髪を解いてくれているマーサに話しかけた。
「マーサ、どう言う意味か分かる?」
「セシリア様のお話が本当なら、セシリア様とレノン様はお付き合いされてたと言う事ですね」
「本当ならって、本当じゃない可能性もあるって事?」
「その辺はご本人同士でなければ分からないですから」
「もし本当なら、レノンはとても酷い人って事だわ。お付き合いしている人がいるのにあんな賭けを私に言ってくるなんて、セシリアが知ったらどんなに悲しむか」
マーサはふとリディアの髪を梳かしていた手を止めて、
「もしネックレスが間に合わなかったら、本当にレノン様とご婚約なさるんですか?」
「セオは絶対に間に合わせてくれるわ。
余程のことがない限り大丈夫だって彼を信じてるの」
「そうですね、念の為にレノン様が仰った賭けの事をセオに連絡しておくと宜しいかと。
そうすればどんなトラブルがあっても絶対に間に合わせてくれますから」
「なんだかセオにプレッシャーをかけるみたいで申し訳ないけど、帰ったら必ず間に合わせて欲しいって連絡を入れておくわ」
「後から知るより先に知らせておいた方が宜しいかと。
セオの様なタイプはキレると面倒ですよ」
「セオはどんなタイプだと思うの?」
「さあ、それはお嬢様がご自身で考えてくださいませ」
リディアはベットに入り溜息をついた。
「ねえ、セシリアの事はどうすれば良いのかしら」
「関わらないのが一番だと思います。リディア様には関係のないお話のはずですから」
「そうよね。セシリアが相談するならジェシカ様が適任だわ。
ねえマーサ、交配ってどんな事をするの?」
「は?」
マーサが絶句した。
「セシリアが妊娠したって事は交配したんでしょう?
私、ライオネル叔父様から交配と出産だけは関わっちゃ駄目だって約束させられたの」
「・・お嬢様、人のそれは交配とは申しません」
「じゃあなんて言うの?」
「それは・・お嬢様が本当にご結婚なさる時が来たらお教えします。
まさかご存知ないとは思いませんでした」
マーサが灯りを落とし、そそくさと隣の部屋に下がって行った。
夜が更けていき雨も次第に小降りになってきた。月明かりもない今夜、時折雷が遠くで光る時以外部屋の中は真っ暗で微かな雨音だけがしている。
音もなくリディアの部屋のドアが開き、部屋の中央に置かれたベットの方に歩いてくる人の気配がした。
開けたままの足元のカーテンの側から上掛けをそっと剥がし、ベッドに上がり込んでくる。
「どなたか存じませんが、部屋をお間違えの様ですわ。怪我をしないうちにご自身のお部屋にお戻りくださいませ」
リディアが上半身を起こし、ナイフを両手で握りしめていた。
部屋に桶と湯が運ばれてきたので、リディア達は慌てて夜の準備をはじめた。
リディアは湯浴みを終えてスツールに腰掛け、髪を解いてくれているマーサに話しかけた。
「マーサ、どう言う意味か分かる?」
「セシリア様のお話が本当なら、セシリア様とレノン様はお付き合いされてたと言う事ですね」
「本当ならって、本当じゃない可能性もあるって事?」
「その辺はご本人同士でなければ分からないですから」
「もし本当なら、レノンはとても酷い人って事だわ。お付き合いしている人がいるのにあんな賭けを私に言ってくるなんて、セシリアが知ったらどんなに悲しむか」
マーサはふとリディアの髪を梳かしていた手を止めて、
「もしネックレスが間に合わなかったら、本当にレノン様とご婚約なさるんですか?」
「セオは絶対に間に合わせてくれるわ。
余程のことがない限り大丈夫だって彼を信じてるの」
「そうですね、念の為にレノン様が仰った賭けの事をセオに連絡しておくと宜しいかと。
そうすればどんなトラブルがあっても絶対に間に合わせてくれますから」
「なんだかセオにプレッシャーをかけるみたいで申し訳ないけど、帰ったら必ず間に合わせて欲しいって連絡を入れておくわ」
「後から知るより先に知らせておいた方が宜しいかと。
セオの様なタイプはキレると面倒ですよ」
「セオはどんなタイプだと思うの?」
「さあ、それはお嬢様がご自身で考えてくださいませ」
リディアはベットに入り溜息をついた。
「ねえ、セシリアの事はどうすれば良いのかしら」
「関わらないのが一番だと思います。リディア様には関係のないお話のはずですから」
「そうよね。セシリアが相談するならジェシカ様が適任だわ。
ねえマーサ、交配ってどんな事をするの?」
「は?」
マーサが絶句した。
「セシリアが妊娠したって事は交配したんでしょう?
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「・・お嬢様、人のそれは交配とは申しません」
「じゃあなんて言うの?」
「それは・・お嬢様が本当にご結婚なさる時が来たらお教えします。
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夜が更けていき雨も次第に小降りになってきた。月明かりもない今夜、時折雷が遠くで光る時以外部屋の中は真っ暗で微かな雨音だけがしている。
音もなくリディアの部屋のドアが開き、部屋の中央に置かれたベットの方に歩いてくる人の気配がした。
開けたままの足元のカーテンの側から上掛けをそっと剥がし、ベッドに上がり込んでくる。
「どなたか存じませんが、部屋をお間違えの様ですわ。怪我をしないうちにご自身のお部屋にお戻りくださいませ」
リディアが上半身を起こし、ナイフを両手で握りしめていた。
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