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王都
3.代替え案は
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「困った事に母の一番の願いは私が結婚する事でね、パーティーで婚約発表するのが一番喜びそうなんだ」
「ですがその」
「私との結婚は嫌かな? ロバート・ファルマス子爵よりは優良物件だと思うが?」
「あの、その様な聞き方をされますと、凄くお返事がしにくいです」
正直に言うリディアに、
「私は愚かな借金はしていないし、商会に口を出すつもりもない。
何より、婚約者の妹と間違って結婚する予定もない」
レノンは口元に笑いを浮かべている。
「ご存知なのですか?」
「中々面白い話だった。母が聞いたら大喜びして益々リディアのファンになりそうだ」
リディアは真っ赤になり俯いてしまった。
その時、ドアがバタン大きな音を立てて開き若い女性が駆け込んできた。
「レノン! 今度の遠乗りを断るってどういう事なの?」
「セシリア、急用ができたと言っただろう?」
セシリアと呼ばれた女性の後から、レノンの母レディ・マッケンジーが入ってきた。
「レノン、執務室でお話しするだなんてリディアに対して失礼ですよ。
令嬢のもてなし方も忘れてしまったのかしら?」
「お久しぶりです。ジェシカ様」
「リディア、本当に久しぶりね。
お話が終わっているなら一緒に応接室へ行きましょう。
こんな所にいては身体中にカビが生えてしまうわ」
レノンが笑っている。
「私は毎日ここで仕事をしてるのに、随分な言い方だ」
「レノンが毎日籠っている場所だから良くないのよ。
この人は良い歳をして、婚約者の一人見つけられない哀れな独身なの。
そういう人の所にはカビが生えるそうだから気をつけて」
「リディア、先程の件宜しく。楽しみにしているからね。母上達が丁度いいタイミングで来てくれたので感謝しなくては」
「どうせまた、お仕事の話でしょう? 何もリディアとでなくとも、商会には他に殿方が一杯いらっしゃるのに」
「すずの採掘が順調なので騾馬を増やしたいと思いまして」
「はいはい、レノンはそこで書類に埋もれていて頂戴。
リディア、食事の準備が出来るまで一緒にお茶しましょう。
珍しいワインが手に入ったから、食前酒っていうのも良いわね」
リディアは何も返事できないまま応接室へ連れて行かれ、セシリアはそのまま執務室に残った。
ジェシカはメイドにワインと甘い菓子や香辛料入りの糖菓を持ってこさせた。
「今度のパーティー用に、レノンがミュスカとボーヌの甘口ワインを準備したの。
今日は折角リディアに会えたのだから、二つを飲み比べしてみましょう」
「パーティー用なのに宜しいのですか?」
「ええ、勿論。レノンにはもうバレてるから気にしないでね」
ジェシカは、悪戯が成功した子供のように嬉しそうに笑った。
地中海産のミュスカとフランス産のボーヌのワインは共に殆ど市場には出回らない希少で高価なワイン。
お客様にお出しする前のテイスティング・・と言いつつ、ジェシカは美味しそうにワインを飲んでいる。
最新の社交会の話題以外にも、宗教劇と世俗劇についてなどジェシカは豊富な話題でリディアを楽しませてくれた。
柔かに話していたジェシカが、
「レノンは最近仕事ばかりで、夜会にもあまり顔を出さなくなったの。
これでは結婚がどんどん遠くなってしまうから心配してるのよ」
「ねえリディア、ファルマス子爵と破談になったのならレノンなんてどうかしら?」
「ですがその」
「私との結婚は嫌かな? ロバート・ファルマス子爵よりは優良物件だと思うが?」
「あの、その様な聞き方をされますと、凄くお返事がしにくいです」
正直に言うリディアに、
「私は愚かな借金はしていないし、商会に口を出すつもりもない。
何より、婚約者の妹と間違って結婚する予定もない」
レノンは口元に笑いを浮かべている。
「ご存知なのですか?」
「中々面白い話だった。母が聞いたら大喜びして益々リディアのファンになりそうだ」
リディアは真っ赤になり俯いてしまった。
その時、ドアがバタン大きな音を立てて開き若い女性が駆け込んできた。
「レノン! 今度の遠乗りを断るってどういう事なの?」
「セシリア、急用ができたと言っただろう?」
セシリアと呼ばれた女性の後から、レノンの母レディ・マッケンジーが入ってきた。
「レノン、執務室でお話しするだなんてリディアに対して失礼ですよ。
令嬢のもてなし方も忘れてしまったのかしら?」
「お久しぶりです。ジェシカ様」
「リディア、本当に久しぶりね。
お話が終わっているなら一緒に応接室へ行きましょう。
こんな所にいては身体中にカビが生えてしまうわ」
レノンが笑っている。
「私は毎日ここで仕事をしてるのに、随分な言い方だ」
「レノンが毎日籠っている場所だから良くないのよ。
この人は良い歳をして、婚約者の一人見つけられない哀れな独身なの。
そういう人の所にはカビが生えるそうだから気をつけて」
「リディア、先程の件宜しく。楽しみにしているからね。母上達が丁度いいタイミングで来てくれたので感謝しなくては」
「どうせまた、お仕事の話でしょう? 何もリディアとでなくとも、商会には他に殿方が一杯いらっしゃるのに」
「すずの採掘が順調なので騾馬を増やしたいと思いまして」
「はいはい、レノンはそこで書類に埋もれていて頂戴。
リディア、食事の準備が出来るまで一緒にお茶しましょう。
珍しいワインが手に入ったから、食前酒っていうのも良いわね」
リディアは何も返事できないまま応接室へ連れて行かれ、セシリアはそのまま執務室に残った。
ジェシカはメイドにワインと甘い菓子や香辛料入りの糖菓を持ってこさせた。
「今度のパーティー用に、レノンがミュスカとボーヌの甘口ワインを準備したの。
今日は折角リディアに会えたのだから、二つを飲み比べしてみましょう」
「パーティー用なのに宜しいのですか?」
「ええ、勿論。レノンにはもうバレてるから気にしないでね」
ジェシカは、悪戯が成功した子供のように嬉しそうに笑った。
地中海産のミュスカとフランス産のボーヌのワインは共に殆ど市場には出回らない希少で高価なワイン。
お客様にお出しする前のテイスティング・・と言いつつ、ジェシカは美味しそうにワインを飲んでいる。
最新の社交会の話題以外にも、宗教劇と世俗劇についてなどジェシカは豊富な話題でリディアを楽しませてくれた。
柔かに話していたジェシカが、
「レノンは最近仕事ばかりで、夜会にもあまり顔を出さなくなったの。
これでは結婚がどんどん遠くなってしまうから心配してるのよ」
「ねえリディア、ファルマス子爵と破談になったのならレノンなんてどうかしら?」
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