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スペンサー商会
13.最後の夜
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「何でもない、気にしないでくれ」
「気にするなって言ってもその顔・・セオ、頑張れよ。気合と忍耐だ」
「それも言われたことがある。二番煎じだ」
今日も日の出と共に出発した。
今回は山賊が出ることもなく、無事にソーテールの町に辿り着くことが出来た。
ソーテールで遅めの昼食を取り、一路サライへ向かう。
宿で部屋に入る直前ヒューがセオの背中を叩き、
「セオ、今晩を乗り切れたらぐっすり眠れる。頑張れよ」
今夜もリディアはぐっすりと眠っている。
(はぁ、俺と同室で不安とかってないんだろうか)
信用されて喜ぶべきか、意識されてなくて落ち込むべきか一晩中悩んでいたセオは、明け方からほんの少しうとうとすることができた。
「セオ、おはよう」
リディアがセオの肩を叩いた。
「セーオー、朝ですよー」
セオがぼやっと目を開けると、目の前にリディアの顔があった。
「うっうわあー」バタバタ、どすん。
セオはびっくりしてベッドから転げ落ち、
「なっなっ」
真っ赤な顔になっている。
「いつもセオに起こされてばかりだから、今朝は頑張ってみたの。
セオの寝顔、可愛かったわよ」
腕を組み得意満面で笑うリディアと、いつも後ろで一つに結んでいる長髪が乱れ、首まで真っ赤にして床に座り込んだままのセオ。
セオの忍耐の時間が終わりを告げた。
エバンズのメインゲートを入り、ヒュー達に護衛代金を支払った。
「お嬢さん、今回は楽しかったぜ。
また護衛が必要になったら是非とも声をかけてくれ。
いの一番に駆けつけるからな」
ヒューがニヤニヤしながら、苦虫を噛み潰したような顔のセオを見ている。
「急な依頼を受けてくださって助かりました。また何かあったら宜しくお願いしますわ」
帰って行くヒュー達の後ろ姿を見ながら、
「気付いてたなんてびっくりだわ」
セオは心の中で、
(色々気付かれてて次から頼みにくいな)
リディアが借りている部屋に戻ると、マーサが飛び出してきた。リディアを上から下まで見ながら、
「お嬢様、おかえりなさいませ。ご無事で何よりです。
セオ、ありがとう。
以前通りのお嬢様のままでお帰りになられてるみたいで安心したわ。
セオの良識と自制心に感謝します」
「マーサ?」
リディアは意味が分からないが、セオは居心地が悪そうにしている。
「さあ、セオはお家に帰ってしっかり休んでちょうだい。ヴェンナに琥珀を届けるのは明日にするから。
三日間ほとんど寝てないでしょう? ごめんなさいね」
「いえ、リディア様のせいでは」
「いいえ、私全然知らなくて本当に申し訳ないことをしたわ。
マーサはいつも何も言わずに我慢してくれてたのね」
「「?」」
「私、いびきをかくんでしょう?」
「はっ? いえ、そんな事はありません」
セオが慌てて返事をした。
「なんて事! なら歯軋りするのね!」
「気にするなって言ってもその顔・・セオ、頑張れよ。気合と忍耐だ」
「それも言われたことがある。二番煎じだ」
今日も日の出と共に出発した。
今回は山賊が出ることもなく、無事にソーテールの町に辿り着くことが出来た。
ソーテールで遅めの昼食を取り、一路サライへ向かう。
宿で部屋に入る直前ヒューがセオの背中を叩き、
「セオ、今晩を乗り切れたらぐっすり眠れる。頑張れよ」
今夜もリディアはぐっすりと眠っている。
(はぁ、俺と同室で不安とかってないんだろうか)
信用されて喜ぶべきか、意識されてなくて落ち込むべきか一晩中悩んでいたセオは、明け方からほんの少しうとうとすることができた。
「セオ、おはよう」
リディアがセオの肩を叩いた。
「セーオー、朝ですよー」
セオがぼやっと目を開けると、目の前にリディアの顔があった。
「うっうわあー」バタバタ、どすん。
セオはびっくりしてベッドから転げ落ち、
「なっなっ」
真っ赤な顔になっている。
「いつもセオに起こされてばかりだから、今朝は頑張ってみたの。
セオの寝顔、可愛かったわよ」
腕を組み得意満面で笑うリディアと、いつも後ろで一つに結んでいる長髪が乱れ、首まで真っ赤にして床に座り込んだままのセオ。
セオの忍耐の時間が終わりを告げた。
エバンズのメインゲートを入り、ヒュー達に護衛代金を支払った。
「お嬢さん、今回は楽しかったぜ。
また護衛が必要になったら是非とも声をかけてくれ。
いの一番に駆けつけるからな」
ヒューがニヤニヤしながら、苦虫を噛み潰したような顔のセオを見ている。
「急な依頼を受けてくださって助かりました。また何かあったら宜しくお願いしますわ」
帰って行くヒュー達の後ろ姿を見ながら、
「気付いてたなんてびっくりだわ」
セオは心の中で、
(色々気付かれてて次から頼みにくいな)
リディアが借りている部屋に戻ると、マーサが飛び出してきた。リディアを上から下まで見ながら、
「お嬢様、おかえりなさいませ。ご無事で何よりです。
セオ、ありがとう。
以前通りのお嬢様のままでお帰りになられてるみたいで安心したわ。
セオの良識と自制心に感謝します」
「マーサ?」
リディアは意味が分からないが、セオは居心地が悪そうにしている。
「さあ、セオはお家に帰ってしっかり休んでちょうだい。ヴェンナに琥珀を届けるのは明日にするから。
三日間ほとんど寝てないでしょう? ごめんなさいね」
「いえ、リディア様のせいでは」
「いいえ、私全然知らなくて本当に申し訳ないことをしたわ。
マーサはいつも何も言わずに我慢してくれてたのね」
「「?」」
「私、いびきをかくんでしょう?」
「はっ? いえ、そんな事はありません」
セオが慌てて返事をした。
「なんて事! なら歯軋りするのね!」
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