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スペンサー商会
10.胡椒と唐辛子
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セオが笑い出したが、傭兵達は訳が分からずキョトンとして顔を見合わせた。
机の上に玉を置き、
「気をつけたほうがいい、コイツにやられたら3日は泣き続ける事になる」
「随分とデカいが中は何だ?」
「石と胡椒と唐辛子だ。こいつが奴らの顔面で炸裂した」
「「げっ」」
セオが笑いながら、
「リー、こんな物よく持ってたな」
「昔の。セオ達用に作ったやつ」
リディアとセオ達が会ったのは7年以上前。当時リディアは8歳で、騾馬の育成をはじめてしばらく経った頃だった。
セオ・イーサン・ルーカスの3人は、リディアの叔父ライオネルに誘われてポーレット伯爵領にやってきた。
3人が産まれたての騾馬を見てまわる間、リディアは側をついて回っていた。
「この子と商売を?」
「提案したのも交配を成功させたのもリディアなんだ。商売にするなら君達の力が必要になる」
三日間、喧々轟々の話し合いを続けたがセオ達は、
「面白そうな話ですが、仕事は大人同士でしか出来ません」
リディアを無視して帰ろうとするセオ達を、リディアが遠くから呼び止め打ち込んできたのがこの“胡椒と唐辛子” の玉だった。
ゲホゲホと咳き込むセオ達を尻目に、
「叔父様、これでもう暫くこの方達は帰れなくなりましたわ。
交渉の時間が伸びましてよ」
これをきっかけに、リディアと3人は事業を拡大し商会を立ち上げていくことになった。
「懐かしいな、二度と見たくなかった」
「セオはコイツを食らったことが?」
「多分俺達が最初の標的だったんじゃないかな。
あの後三日間地獄を見た。涙は止まらないし顔が腫れて二度と目が開かないんじゃないかと震え上がったよ」
傭兵達が玉とリディアを見比べているが、リディアは気付かず俯き加減で果実水を飲んでいた。
「あんたの弟・・相当ヤバいな」
セルハイムの村から琥珀の町ベルンまでは馬で6時間程度。
途中休憩を挟みながら夕方ベルンの町に到着した。
宿を取り傭兵達とは一時解散、リディアとセオは潜りの宝石商カーリムの家を訪ねた。
カーリムの自宅は町の外れの寂れた一角にあった。
夕方のまだ早い時間だというのに、カーリムはかなり酔っ払っていたが、フードを脱いだリディアを見て目を見開いた。
「こいつはたまげた、リディアじゃねえか。
どこの坊やが迷い込んだのかと思ったぜ」
「お久しぶりです。早速だけど琥珀が欲しいの」
「みんなそうさ、俺んとこに来る奴はみんな琥珀を欲しがる。
だがな、そう簡単には出せねえんだな」
「どうすれば見せてくれる?」
「そうさなぁ」
船を漕ぎ始めたカーリムが話始めるのを、リディア達はじっと待っている。
「ストリップ・ゲームでってのはどうだ? あんたが勝ったらどれでも好きなのくれてやるよ」
「それに見合うだけの琥珀を持ってるのかしら」
「リディア様!」
「ああ、持ってるぜ。
いつだったかあんたが手に入れたやつなんかよりよっぽど良いやつをな」
「カーリム、別の方法で頼む。ストリップ・ゲームなんて」
「丁度いい気分で酔いが回ってきたとこだ。さっさと帰んな」
「やるわ。但し納得出来るくらいの物が出てこなかったらタダじゃおかないから」
「ひぇー、リディアは相変わらず怖ぇな。
しかもすっかり勝つ気でいる」
机の上に玉を置き、
「気をつけたほうがいい、コイツにやられたら3日は泣き続ける事になる」
「随分とデカいが中は何だ?」
「石と胡椒と唐辛子だ。こいつが奴らの顔面で炸裂した」
「「げっ」」
セオが笑いながら、
「リー、こんな物よく持ってたな」
「昔の。セオ達用に作ったやつ」
リディアとセオ達が会ったのは7年以上前。当時リディアは8歳で、騾馬の育成をはじめてしばらく経った頃だった。
セオ・イーサン・ルーカスの3人は、リディアの叔父ライオネルに誘われてポーレット伯爵領にやってきた。
3人が産まれたての騾馬を見てまわる間、リディアは側をついて回っていた。
「この子と商売を?」
「提案したのも交配を成功させたのもリディアなんだ。商売にするなら君達の力が必要になる」
三日間、喧々轟々の話し合いを続けたがセオ達は、
「面白そうな話ですが、仕事は大人同士でしか出来ません」
リディアを無視して帰ろうとするセオ達を、リディアが遠くから呼び止め打ち込んできたのがこの“胡椒と唐辛子” の玉だった。
ゲホゲホと咳き込むセオ達を尻目に、
「叔父様、これでもう暫くこの方達は帰れなくなりましたわ。
交渉の時間が伸びましてよ」
これをきっかけに、リディアと3人は事業を拡大し商会を立ち上げていくことになった。
「懐かしいな、二度と見たくなかった」
「セオはコイツを食らったことが?」
「多分俺達が最初の標的だったんじゃないかな。
あの後三日間地獄を見た。涙は止まらないし顔が腫れて二度と目が開かないんじゃないかと震え上がったよ」
傭兵達が玉とリディアを見比べているが、リディアは気付かず俯き加減で果実水を飲んでいた。
「あんたの弟・・相当ヤバいな」
セルハイムの村から琥珀の町ベルンまでは馬で6時間程度。
途中休憩を挟みながら夕方ベルンの町に到着した。
宿を取り傭兵達とは一時解散、リディアとセオは潜りの宝石商カーリムの家を訪ねた。
カーリムの自宅は町の外れの寂れた一角にあった。
夕方のまだ早い時間だというのに、カーリムはかなり酔っ払っていたが、フードを脱いだリディアを見て目を見開いた。
「こいつはたまげた、リディアじゃねえか。
どこの坊やが迷い込んだのかと思ったぜ」
「お久しぶりです。早速だけど琥珀が欲しいの」
「みんなそうさ、俺んとこに来る奴はみんな琥珀を欲しがる。
だがな、そう簡単には出せねえんだな」
「どうすれば見せてくれる?」
「そうさなぁ」
船を漕ぎ始めたカーリムが話始めるのを、リディア達はじっと待っている。
「ストリップ・ゲームでってのはどうだ? あんたが勝ったらどれでも好きなのくれてやるよ」
「それに見合うだけの琥珀を持ってるのかしら」
「リディア様!」
「ああ、持ってるぜ。
いつだったかあんたが手に入れたやつなんかよりよっぽど良いやつをな」
「カーリム、別の方法で頼む。ストリップ・ゲームなんて」
「丁度いい気分で酔いが回ってきたとこだ。さっさと帰んな」
「やるわ。但し納得出来るくらいの物が出てこなかったらタダじゃおかないから」
「ひぇー、リディアは相変わらず怖ぇな。
しかもすっかり勝つ気でいる」
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