【第一章完結】相手を間違えたと言われても困りますわ。返品・交換不可とさせて頂きます

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スペンサー商会

3.ジプシー占い

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「四年前に商会を作ったの」

「そうか、じゃあそれの事だね。今でも結構上手く行ってるはず。
んー、でもアンタの周りの人が災難に見舞われてるって出てるから、その商会になんかあるのかも。
大きな運を持ってる人は、それと同じ位の不運にも見舞われるから注意して」

「最近立て続けにゴタゴタがあったんだけど、災難ってその事かしら?」

「それってもう終わったこと?」
「ええ、二つとも解決したと思うわ」

「なら、違う。アンタの現在と近い未来に災難の印が出てるから。
ついでにサービスしといたげる。さっきのにいちゃん、大事にしなよ」

「?」

「アンタの未来にすっごく大きく関わってる」
「確かに、彼は長い間ずっと一緒に仕事をしてきたから」

「これからも長い付き合いになるんじゃないかな?」

「そうあって欲しいわ。ありがとう」

 リディアが代金を支払いテントを出ると、セオとマーサがほっとした顔をする。

「随分長かったので心配していました」
「お嬢様、大丈夫でしたか?」

「ええ、ジプシー占いって凄いのね。セオ、商会に連絡をとって欲しいの。
何か問題が起こってないか問い合わせしてちょうだい」

「何か言われたんですか?」

「うーん、マリさんって凄い占い師かもしれない。ちょっと商会が気になるの」

「では一旦宿に戻りますか? 飛脚を頼みましょう」


 急いで宿に帰り手紙を書きかけたが、
「やっぱり一度エバンズに戻ろうかしら。
飛脚便を使っても、返事が来るまでに4日はかかるでしょう?」

「そんなに気になる事を言われたんですか?」

「商会が揉め事に巻き込まれてるって。
もし違ってても、一度商会の様子を見たら安心できるでしょう?」


 ダーリントン侯爵とニールに手紙を書き、オークリーを出発した。


「お嬢様、商会に何事もないと良いですね」
「ええ、本当に」


 馬車は、馬の休憩以外はひたすらエバンズに向けて直走った。

「商会長、おかえりなさいませ。良かった、連絡がつかなくて困ってたんです」

「何があったの」

「ヴェンナの支店でミリアーナ様とファルマス子爵がやらかしてて、大変な事になってるんです」

「詳しく教えて」

 ポーレット伯爵リディア達の父親との交渉が上手くいかなかったロバートは、ヴェンナの支店に乗り込み実力行使に出たらしい。
 ロバート達は事務所に乗り込み、事務員から仕事を取り上げやりたい放題。
 その上ミリアーナが得意先からの注文品を持ち出そうとして壊してしまった。


 金庫からいくつかの書類を取り出し、直ぐに馬車でヴェンナに向かった。

 馬車の中は重苦しい空気が流れて誰も口を聞かない。


(はぁ、ロバート様とミリアーナの事は終わったって思ってたんだけど)



 
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