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アンヴィル
7.ついうっかり
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その後、町は大騒ぎになった。
子供達は一列に並んで井戸へ水を汲みに行き、女達は大量の洗濯物を抱えて川に向かう。
翌日、男達は領主からの話を聞く為に広場に集められた。
壇上に立った領主が頭を下げた。
「こんな事が起こっていたなんて全然気づいてなくて、今まで不便をかけて来た事本当に申し訳ない。
代官はクビにしたんだが、他にも何かやらかしているらしいのでこれから調査する。
みんなも気づいている事があったら教えて欲しい」
「あの、領主様。街道の整備はどうなってるんで?」
領民が顔を見合わせて、うんうんと頷き合っている。
「土埃がすごいし隣町へ行くのにも不便だからって、街道の整備をしてもらえるって話だったと思うんすけど」
「一年も前の話だな、直ぐに手配する。他にもあったら、いつでも領主館に来て欲しい」
その頃リディア達は、話し合いの邪魔にならないよう部屋に篭っていた。
目の前には新しく入れたばかりの紅茶と、宿の亭主達が差し入れてくれたお茶菓子が山のように積まれている。
「セオ、マーサ。もっと頑張って食べて。私はもう無理、晩御飯はいらないわ」
「私もです。明日ドレスが入るか不安になって来ました」
リディアとマーサがセオを見つめると、セオは苦笑いを浮かべた。
「無茶言わないでください。私もとうに限界超えてます」
「皆さんのご好意は有り難いのだけど、食べ切れないわね。どうしよう」
セオに、布に包んだ大量のお茶菓子を持ってもらい宿屋を出ようとした時、領主が馬でやって来た。
「お話ししたくて来たんですが、お出かけですか?」
「ちょっとその辺を散歩しようかなって」
「ご一緒しても良いですか?」
「はい、喜んで」
メイナードとリディア達は、町の中央広場にやってきた。
お昼を少し過ぎた時間だったせいか、子供達が大勢走り回っている。
「あー、領主様だ」
「今日はおめかししてるぅ」
メイナードが顔を赤くして、おでこを叩いている。
「今日は畑に行かないの?」
「えっ、あーうん、後で行くかも。多分ね」
「分かった! デート?」
「ちっ違う、そんなんじゃなくて。その」
本当に農業以外はからっきしのメイナード。子供達に揶揄われて狼狽えている。
「みんな、一緒におやつ食べない?」
リディアが子供達に声をかけた。
「おやつ? 食べたーい」
「じゃあ、一回お家に帰って外でおやつを食べても良いか聞いてきてくれるかな?」
「「「はーい」」」
元気良く走って行く子供達。
「おやつですか?」
メイナードが不思議そうに聞いてきた。
「頂き物なんですが食べきれなくて、みんなにお裾分けしようかと。所でお話って?」
「あっ、はいその。えー」
メイナードがオロオロしているうちに、子供達が帰ってきた。
「食べて良いってー」
セオがベンチの上に布を広げた。
「凄い、いっぱいある。食べて良いの?」
「はい、遠慮なく召し上がれ」
「お姉ちゃん、あたしこれが欲しい」
「良いわよ、はいどうぞ」
「わっ、私も欲しいです」
真剣な顔のメイナード。
「どれでもお好きなのをどうぞ?」
「でっでは、リディア様を!」
大勢の子供の前で、うっかり大告白したメイナードだった。
子供達は一列に並んで井戸へ水を汲みに行き、女達は大量の洗濯物を抱えて川に向かう。
翌日、男達は領主からの話を聞く為に広場に集められた。
壇上に立った領主が頭を下げた。
「こんな事が起こっていたなんて全然気づいてなくて、今まで不便をかけて来た事本当に申し訳ない。
代官はクビにしたんだが、他にも何かやらかしているらしいのでこれから調査する。
みんなも気づいている事があったら教えて欲しい」
「あの、領主様。街道の整備はどうなってるんで?」
領民が顔を見合わせて、うんうんと頷き合っている。
「土埃がすごいし隣町へ行くのにも不便だからって、街道の整備をしてもらえるって話だったと思うんすけど」
「一年も前の話だな、直ぐに手配する。他にもあったら、いつでも領主館に来て欲しい」
その頃リディア達は、話し合いの邪魔にならないよう部屋に篭っていた。
目の前には新しく入れたばかりの紅茶と、宿の亭主達が差し入れてくれたお茶菓子が山のように積まれている。
「セオ、マーサ。もっと頑張って食べて。私はもう無理、晩御飯はいらないわ」
「私もです。明日ドレスが入るか不安になって来ました」
リディアとマーサがセオを見つめると、セオは苦笑いを浮かべた。
「無茶言わないでください。私もとうに限界超えてます」
「皆さんのご好意は有り難いのだけど、食べ切れないわね。どうしよう」
セオに、布に包んだ大量のお茶菓子を持ってもらい宿屋を出ようとした時、領主が馬でやって来た。
「お話ししたくて来たんですが、お出かけですか?」
「ちょっとその辺を散歩しようかなって」
「ご一緒しても良いですか?」
「はい、喜んで」
メイナードとリディア達は、町の中央広場にやってきた。
お昼を少し過ぎた時間だったせいか、子供達が大勢走り回っている。
「あー、領主様だ」
「今日はおめかししてるぅ」
メイナードが顔を赤くして、おでこを叩いている。
「今日は畑に行かないの?」
「えっ、あーうん、後で行くかも。多分ね」
「分かった! デート?」
「ちっ違う、そんなんじゃなくて。その」
本当に農業以外はからっきしのメイナード。子供達に揶揄われて狼狽えている。
「みんな、一緒におやつ食べない?」
リディアが子供達に声をかけた。
「おやつ? 食べたーい」
「じゃあ、一回お家に帰って外でおやつを食べても良いか聞いてきてくれるかな?」
「「「はーい」」」
元気良く走って行く子供達。
「おやつですか?」
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「頂き物なんですが食べきれなくて、みんなにお裾分けしようかと。所でお話って?」
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「凄い、いっぱいある。食べて良いの?」
「はい、遠慮なく召し上がれ」
「お姉ちゃん、あたしこれが欲しい」
「良いわよ、はいどうぞ」
「わっ、私も欲しいです」
真剣な顔のメイナード。
「どれでもお好きなのをどうぞ?」
「でっでは、リディア様を!」
大勢の子供の前で、うっかり大告白したメイナードだった。
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