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ワイバーンと白銀の狼
閑話 アバディーン侯爵 ①
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「第一体育館を壊したのは、ミリアだと? 何で早く言わんのだ」
「だって、おかしいでしょう? あのメイドですよ。誰かと間違ってるんだと思いました。でもグレースの話からすると、あいつで間違いないみたいだから」
「アバディーン侯爵家には、稀に優秀な魔法使いが生まれるんだ。ミリアがそうなのかもしれん。アカデミーに行ってくる」
アバディーン侯爵は、急ぎ馬車で出掛けた。
「学長、うちのミリアで間違いないのですね」
「はい。確かに第一体育館を壊したのはミリア嬢で間違いありません」
「ミリアをここに呼んでください」
「ミリア嬢は、アカデミーを退学しました」
「は? うちには帰ってきていませんが?」
「2日前の事です」
「どこに行ったんですか?」
「その後は連絡がありませんから、私どもには分かりかねます」
「無責任すぎませんか? 貴族の子女を預かっておきながら、知らないで済まされると?」
「必要があれば、責任を取ります」
「宰相の娘が行方不明なんですぞ。首を洗って待っていてもらいましょう」
「それよりも、グレース嬢はどうなりましたか?」
「は? グレースが何か?」
「グレース嬢は、アカデミー内で魅了の魔道具を使用し、逮捕されました。これも2日前ですね」
「嘘だ、そんな事で誤魔化せると思ってるのか!」
激怒するアバディーン侯爵に、
「では帰って、ご確認ください。
グレース嬢が、学園中の多くの人を魅了魔法で混乱させ、ミリア嬢は被害を受けていました。
今、アカデミーの生徒と職員全員に、魔法の解除と聞き取り調査を行っているところです」
アバディーン侯爵は、学長室を飛び出し急いで家に帰った。
「メリッサ! グレースはどこだ」
青い顔のメリッサがやってきた。
「だっ旦那様、どうされましたか?」
「グレースはどこだと聞いている」
アバディーン侯爵が睨みつけた。
「あの子は、ちょっとお友達の所に」
「・・牢屋ではなく? 魅了を使ったそうだな」
「どこでそれを?」
「アカデミーの学長からだ。私が自宅待機を命じられたのは、グレースのせいか?」
「申し訳ありません。グレースがあんな事をするなんて。きっとあれに唆されたんですわ」
「そのミリアだが、どこにいる?」
「あれはアカデミーの寮ですわ」
「グレースが逮捕された日に、ミリアは退学している」
「やっぱり、逃げ出したんだわ。早く捕まえて下さいませ」
アバディーン侯爵は、自室の金庫を開けて中を確認した。
(魔道具が一つない、グレースめ!)
「だって、おかしいでしょう? あのメイドですよ。誰かと間違ってるんだと思いました。でもグレースの話からすると、あいつで間違いないみたいだから」
「アバディーン侯爵家には、稀に優秀な魔法使いが生まれるんだ。ミリアがそうなのかもしれん。アカデミーに行ってくる」
アバディーン侯爵は、急ぎ馬車で出掛けた。
「学長、うちのミリアで間違いないのですね」
「はい。確かに第一体育館を壊したのはミリア嬢で間違いありません」
「ミリアをここに呼んでください」
「ミリア嬢は、アカデミーを退学しました」
「は? うちには帰ってきていませんが?」
「2日前の事です」
「どこに行ったんですか?」
「その後は連絡がありませんから、私どもには分かりかねます」
「無責任すぎませんか? 貴族の子女を預かっておきながら、知らないで済まされると?」
「必要があれば、責任を取ります」
「宰相の娘が行方不明なんですぞ。首を洗って待っていてもらいましょう」
「それよりも、グレース嬢はどうなりましたか?」
「は? グレースが何か?」
「グレース嬢は、アカデミー内で魅了の魔道具を使用し、逮捕されました。これも2日前ですね」
「嘘だ、そんな事で誤魔化せると思ってるのか!」
激怒するアバディーン侯爵に、
「では帰って、ご確認ください。
グレース嬢が、学園中の多くの人を魅了魔法で混乱させ、ミリア嬢は被害を受けていました。
今、アカデミーの生徒と職員全員に、魔法の解除と聞き取り調査を行っているところです」
アバディーン侯爵は、学長室を飛び出し急いで家に帰った。
「メリッサ! グレースはどこだ」
青い顔のメリッサがやってきた。
「だっ旦那様、どうされましたか?」
「グレースはどこだと聞いている」
アバディーン侯爵が睨みつけた。
「あの子は、ちょっとお友達の所に」
「・・牢屋ではなく? 魅了を使ったそうだな」
「どこでそれを?」
「アカデミーの学長からだ。私が自宅待機を命じられたのは、グレースのせいか?」
「申し訳ありません。グレースがあんな事をするなんて。きっとあれに唆されたんですわ」
「そのミリアだが、どこにいる?」
「あれはアカデミーの寮ですわ」
「グレースが逮捕された日に、ミリアは退学している」
「やっぱり、逃げ出したんだわ。早く捕まえて下さいませ」
アバディーン侯爵は、自室の金庫を開けて中を確認した。
(魔道具が一つない、グレースめ!)
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