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5.今は何もしない
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『俺の大学の友達? 今でも会ってる奴もいるけど、みんな結構忙しくしてるからなあ』
『結婚式にみなさん招待したらどうかしら? 何か⋯⋯そう、驚くような賭けをするの。ステファンが楽しかったって言うくらいだもの、その時のメンバーなら喜んで賭けに乗るんじゃないかしら?
費用とかは心配しないでね、メンバーが『凄い!』って感心するような賭けを結婚のお祝いにしたら最高だと思うの』
結婚式の後のパーティーは地下一階地上三階建ての元伯爵家の屋敷の一階と庭を使って行うことに決まった。上機嫌で屋敷を歩き回るステファンに前日の夜地下でバチェラーパーティーを開くことを勧めた。
『この地下室なら賭けのことだって秘密にできそうでしょ?』
『凄い屋敷だな、コレって行き遅れの嫁さんの?』
飾られている絵画やタペストリーを吟味していた男が銀縁眼鏡の縁を持ち上げながら聞いた。
『今はその親父の持ち物だけど、手続きが終わったら俺のものになることになってる』
『ひゅ~! 凄えじゃん。玉の輿万歳だな』
ワインを並々と注いだグラスを抱えた小太りの男がラベルを調べながら揶揄った。
『馬鹿言え! 慈善事業と言って貰いたいね。貰い手のない娘を貴族の一員にしてやったんだぞ、この程度当然だろ?』
『たかが法服貴族の男爵家がよく言うよ』
猫背で少し草臥れたコート姿の男が鼻で笑いながらステファンに向けて中指を立てた。
『アイツの親父の商会って思った以上に稼いでてさ、金の力があればこの先出世は思いのまま!』
『確かに、爵位なんていくらでも売ってるからな』
派手な刺繍のウエストコートに指をかけた男が馬鹿にしたような顔で笑うとステファンが大きく頷いた。
『その通り! で、今回賭けをやろうと思うんだが乗る奴は?』
『お! 久しぶりじゃねえか⋯⋯んでも、アイツ抜きで進めても良いのかよ?』
『流石にアイツは呼べんだろ?』
『貧乏男爵の結婚式に来るってなったら大騒ぎになるぜ、賭けより面白かったかもな』
ゲラゲラと下品に笑う男達は浴びるほどワインを飲み並べられた料理をつまみながらカードゲームに大金をかけていた。
『あの頃もアレがなきゃもっと楽しめたんだよな~』
『全くだよ、たかが平民一人ほっときゃ良かったのによう』
小太りが腹立ち紛れにワイングラスを傾けすぎてシャツの胸元を濡らした。
『御者が逃げたのが痛かったな、嫁さん捨てて逃げるとか酷くね? せめて結果を報告して逃げろよな』
ソファにだらしなく寝そべった銀縁眼鏡が『役立たずだったよなぁ』と言いながらシャツの裾がはみ出した横から手を突っ込んで腹をかいた。
『まだ見つかってないんだろ?』
『⋯⋯な、なぁ⋯⋯えーっと、今回の賭けって何をやるんだ? ステファンが親なんだから早く言えよ』
『アイツの親父が廃村付きの無人島を持ってるんだ。船の中継地にするつもりで買ったんだってよ。んで、そこで⋯⋯』
すべての会話が記録されていると知らないメンバーは平然と過去の悪事を話し、他人を陥れたことを自慢げに言いながらゲラゲラと笑っていた。
結婚式の直後⋯⋯。
春の日差しに暖められた庭先で行われた結婚式に続いたパーティーでは、各地から集められた食材を使った料理やワインが並び招待客の目と胃袋を楽しませていた。
「で、どうするつもりだい?」
「愛人の事なら今はどうもしない⋯⋯後はあいつらを破滅させるだけだもの」
つい先程夫(仮)のラブシーンを目撃したとは思えないほど落ち着いた様子のメリッサがにっこりと微笑んだ。
「結婚式に堂々と愛人を呼ぶとかパーティー前にイチャつくとは思ってなかったから少し驚いたけど、今夜いなくなってくれるならラッキーだもの。精々酔っ払ったふりをしてあげるつもり」
目が合った招待客に笑顔で会釈しながらフレッシュジュースを口にしたメリッサの目の端に少し狼狽え気味のステファンが見えた。
「探してたんだよ、見つからなくて慌てたじゃないか!」
「そうなの? ケニス、紹介するわね。彼がステファン・コーク。ステファン、彼はケ⋯⋯」
「商会員とかの紹介は結構だよ、俺は友人と話してくるからね」
そそくさといなくなったステファンから甘い香りが漂っていた。
「移り香はいいけどシャツに口紅をつけるのはやめて欲しかったなぁ。私のせいだと思われたら最悪」
「あれだけ色が違ってるんだから大丈夫だよ。さて、向こうでお袋が睨んでるから機嫌を取ってくるかな」
「マーサおばさまが睨むって、何かしでかしたの?」
「しでかさなかったから怒ってる」
「へ?」
結婚式の翌日、爽やかな朝を迎えたメリッサは朝食のパンを抱えたまま馬車に乗り込んだ。
「おはよう! 寝坊しちゃった~」
裏口から商会の事務所に駆け込むと呆れ顔の父親と笑いを堪えたケニスが出迎えてくれた。
「結婚式当日に夫に裏切られた妻にしては随分と元気だな」
執務机からソファに移動してきた父親がケニスの向かいに座って口元をひくつかせた。
「娘の貞操が守られて嬉しいくせに、なに格好つけてんだか~」
「おじさん、昨日俺の報告を聞いて躍り上がって喜んでたじゃないですか」
「む、踊っとりゃせん! まあ、ほっとしたのは事実だがな」
「で、ちゃんと尾行してる?」
『結婚式にみなさん招待したらどうかしら? 何か⋯⋯そう、驚くような賭けをするの。ステファンが楽しかったって言うくらいだもの、その時のメンバーなら喜んで賭けに乗るんじゃないかしら?
費用とかは心配しないでね、メンバーが『凄い!』って感心するような賭けを結婚のお祝いにしたら最高だと思うの』
結婚式の後のパーティーは地下一階地上三階建ての元伯爵家の屋敷の一階と庭を使って行うことに決まった。上機嫌で屋敷を歩き回るステファンに前日の夜地下でバチェラーパーティーを開くことを勧めた。
『この地下室なら賭けのことだって秘密にできそうでしょ?』
『凄い屋敷だな、コレって行き遅れの嫁さんの?』
飾られている絵画やタペストリーを吟味していた男が銀縁眼鏡の縁を持ち上げながら聞いた。
『今はその親父の持ち物だけど、手続きが終わったら俺のものになることになってる』
『ひゅ~! 凄えじゃん。玉の輿万歳だな』
ワインを並々と注いだグラスを抱えた小太りの男がラベルを調べながら揶揄った。
『馬鹿言え! 慈善事業と言って貰いたいね。貰い手のない娘を貴族の一員にしてやったんだぞ、この程度当然だろ?』
『たかが法服貴族の男爵家がよく言うよ』
猫背で少し草臥れたコート姿の男が鼻で笑いながらステファンに向けて中指を立てた。
『アイツの親父の商会って思った以上に稼いでてさ、金の力があればこの先出世は思いのまま!』
『確かに、爵位なんていくらでも売ってるからな』
派手な刺繍のウエストコートに指をかけた男が馬鹿にしたような顔で笑うとステファンが大きく頷いた。
『その通り! で、今回賭けをやろうと思うんだが乗る奴は?』
『お! 久しぶりじゃねえか⋯⋯んでも、アイツ抜きで進めても良いのかよ?』
『流石にアイツは呼べんだろ?』
『貧乏男爵の結婚式に来るってなったら大騒ぎになるぜ、賭けより面白かったかもな』
ゲラゲラと下品に笑う男達は浴びるほどワインを飲み並べられた料理をつまみながらカードゲームに大金をかけていた。
『あの頃もアレがなきゃもっと楽しめたんだよな~』
『全くだよ、たかが平民一人ほっときゃ良かったのによう』
小太りが腹立ち紛れにワイングラスを傾けすぎてシャツの胸元を濡らした。
『御者が逃げたのが痛かったな、嫁さん捨てて逃げるとか酷くね? せめて結果を報告して逃げろよな』
ソファにだらしなく寝そべった銀縁眼鏡が『役立たずだったよなぁ』と言いながらシャツの裾がはみ出した横から手を突っ込んで腹をかいた。
『まだ見つかってないんだろ?』
『⋯⋯な、なぁ⋯⋯えーっと、今回の賭けって何をやるんだ? ステファンが親なんだから早く言えよ』
『アイツの親父が廃村付きの無人島を持ってるんだ。船の中継地にするつもりで買ったんだってよ。んで、そこで⋯⋯』
すべての会話が記録されていると知らないメンバーは平然と過去の悪事を話し、他人を陥れたことを自慢げに言いながらゲラゲラと笑っていた。
結婚式の直後⋯⋯。
春の日差しに暖められた庭先で行われた結婚式に続いたパーティーでは、各地から集められた食材を使った料理やワインが並び招待客の目と胃袋を楽しませていた。
「で、どうするつもりだい?」
「愛人の事なら今はどうもしない⋯⋯後はあいつらを破滅させるだけだもの」
つい先程夫(仮)のラブシーンを目撃したとは思えないほど落ち着いた様子のメリッサがにっこりと微笑んだ。
「結婚式に堂々と愛人を呼ぶとかパーティー前にイチャつくとは思ってなかったから少し驚いたけど、今夜いなくなってくれるならラッキーだもの。精々酔っ払ったふりをしてあげるつもり」
目が合った招待客に笑顔で会釈しながらフレッシュジュースを口にしたメリッサの目の端に少し狼狽え気味のステファンが見えた。
「探してたんだよ、見つからなくて慌てたじゃないか!」
「そうなの? ケニス、紹介するわね。彼がステファン・コーク。ステファン、彼はケ⋯⋯」
「商会員とかの紹介は結構だよ、俺は友人と話してくるからね」
そそくさといなくなったステファンから甘い香りが漂っていた。
「移り香はいいけどシャツに口紅をつけるのはやめて欲しかったなぁ。私のせいだと思われたら最悪」
「あれだけ色が違ってるんだから大丈夫だよ。さて、向こうでお袋が睨んでるから機嫌を取ってくるかな」
「マーサおばさまが睨むって、何かしでかしたの?」
「しでかさなかったから怒ってる」
「へ?」
結婚式の翌日、爽やかな朝を迎えたメリッサは朝食のパンを抱えたまま馬車に乗り込んだ。
「おはよう! 寝坊しちゃった~」
裏口から商会の事務所に駆け込むと呆れ顔の父親と笑いを堪えたケニスが出迎えてくれた。
「結婚式当日に夫に裏切られた妻にしては随分と元気だな」
執務机からソファに移動してきた父親がケニスの向かいに座って口元をひくつかせた。
「娘の貞操が守られて嬉しいくせに、なに格好つけてんだか~」
「おじさん、昨日俺の報告を聞いて躍り上がって喜んでたじゃないですか」
「む、踊っとりゃせん! まあ、ほっとしたのは事実だがな」
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