【完結】売られた喧嘩は買わせていただきます。修道院長VS平民の戦い。騎士と王子に助けられました

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「オリッシモ枢機卿は今、陛下と緊急の対談をされている事になってるんだ」

 ライオネル王子が説明をはじめた。


「アンドリュー教授がオリッシモ枢機卿に連絡をとってくださったんだが、枢機卿のスケジュールが一杯で身動きが取れなくて」

「いくら私でも、国王陛下からのご指示をはねつけることはできないと言うことで何とか時間を作りました」

 オリッシモ枢機卿はにっこりと笑って話した。

「お陰で教会関係者の不正を正すことができたので、国王陛下にはお礼状を送らねばなりませんね」


「あの、何だかとんでもない事になってしまったようで・・感謝の言葉も見つかりません」


「近年復活して来た魔女狩りについては憂慮しています。無実の者が不当な扱いを受けぬよう心せねばと」


 枢機卿とアンドリュー教授達が帰って行き、アイヴィとライオネル王子、カリタス修道士の三人が部屋に残った。
 王子の護衛達は壁際に整列している。



「ライオネル王子、色々ありがとうございました。
お陰で命拾いしました」

「元はと言えば王家のせいだからね。お礼を言われるとなんだか・・」


「おい、俺には何もないのかよ」


 アイヴィはチラッと横目で見て、
「用足しにいそいそついてくるような変態には何も申し上げる事はございません」

「いそいそじゃねえし。他の奴なら聞かれても良かったって言うのかよ」

「きっ、聞いたとか・・恥を知りなさいよ! 私がどれだけ恥ずかしかったか分かってるの?」

「分かってるよ、だから他の奴には任せなかったんじゃねえか」


「途中知らん振りだったくせに」

「仕方ないだろ、あそこでお前を助け出しても追われるだけで何にも変わんねえだろうが」

「拷問にかけられてたかも・・」
「そんな事させねえよ」

「水審で溺れ死んでたかも・・」
「だから、絶対にないって」

「怖かったんだから・・もしもって」

「悪かったよ、でもなお前が逃げ出さなきゃここまで大変な事にはならなかったんだぞ」


「誰のせいよ。何考えてるのかもわかんないし、気がつくと後ろに潜んでるし」

「次から大きな音立てて歩いてやるよ」

「勝手なことするし」
「未遂だろ」

「・・」


 ライオネル王子が笑い出し、
「さて邪魔者は退散します。落ち着いたら王宮に遊びに来てくれますか?
陛下とジュリアが首を長くして待っていますから」

「はい。あっ、王子殿下にお願いがあります。
最近砦の物資が不足しているそうです。
もし良かったら調べて頂けると嬉しいのですが」

「分かりました、直ぐに人をやって調べさせます。ありがとう」


 立ち上がった王子がカリタス修道士に、
「そうだ、物資と共に砦に医師を派遣します。その方が後々助かるでしょう?」


 ライオネル王子が護衛と共に帰って行った。

「さて、私は砦に帰らなくちゃ」
「さっき王子が言ってたの聞いてなかったのかよ」

「聞いてたわ。医師が三人になればもっと助かるもの」

「俺を押しのけていける自信があるのか?」


「騎士って大変な職業ね。今まで怪我や病気のことしか考えてなかったけど、近くにいていろんなことを考えさせられた。
戦いに戻るんでしょ? 気を付けて」

「・・もう戻らないって決めたんだ。お前の側にいる。俺は有期誓願しか立ててないから簡単に退会できるんだ」

「・・」

「ずっと戦って来たからなあ、今度は助ける側になるのも悪くないと思ってな」


「ずっと纏わりつくつもり?」
「もうちょっと穏やかな言い方で頼むよ」

「・・ずっと側にいてくれるの?」

「ああ、この間の続きが待ってるからな」

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