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30.誰が誰をボコしたいのか
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「今後一切、アイヴィ殿への魔女疑惑は受け付けません。二人とも宜しいですね」
オリッシモ枢機卿が宣言した。
「それから二人は公聴会を開き審議させていただきます。
それまで身柄を拘束させて頂こう」
オリッシモ枢機卿が手を挙げると、側に控えていた男達が前に出た。
「くそぉ」
サピエンチア修道院長が男達を薙ぎ倒しアイヴィに殴りかかり、その隙にミューリア司教が逃げ出した。
オリッシモ枢機卿の側に残っていたカリタス修道士が、サピエンチア修道院長に体当たりし取っ組み合いになった。
ミューリア司教は部屋の入り口近くでライオネル王子と男達に拘束された。
体重差はあったが何なく修道院長を叩きのめしたカリタス修道士が立ち上がり、アイヴィを睨みつけた。
「大人しくしてろつっただろうが!」
「来るのが遅すぎるんだもの。でもお陰で言いたい事の殆どを言えたわ。
それにね、喧嘩を売った方が時間稼ぎ出来ると思ったの」
「それにしたって、全く寿命が縮まったぜ。
お前・・助けてくれてありがとうとか、たまには可愛いこと言えないのかよ」
にっこり笑ったアイヴィはくるっと振り返り、
「オリッシモ枢機卿、アンドリュー教授。ありがとうございました」
「「どういたしまして」」
オリッシモ枢機卿とアンドリュー教授は笑いを堪えようとして、プルプル震えていた。
縄で拘束されたサピエンチア修道院長とミューリア司教の二人は、
「騙されんで下さい、その女は魔女です。我らは正義の鉄槌を下そうとしただけです」
「その通り。その魔女がこの部屋の者全てに魔術をかけているのです」
話を聞いていたアイヴィは、
「オリッシモ枢機卿、一つ思い出したことがあるのですが宜しいでしょうか?」
「言ってごらん」
「魔女かどうか判断する方法が一つありますの」
「ほう、どんな方法かな?」
「正しき者には害がなく、魔女には毒となる物だそうです。
そうですよね、サピエンチア修道院長殿?」
「・・まさか」
「カリタス修道士、今日も持っておられますよね」
カリタス修道士がポケットに手を入れると修道院長が暴れ始めた。
「出すな! 出すんじゃない。わしを裏切るつもりか!」
「裏切るも何も、俺はあんたの味方だった事は一度もない」
カリタス修道士は、ポケットから出したガラスの小瓶をオリッシモ枢機卿に手渡した。
「破門だ、破門してやるから覚えてろ!」
「さて、カリタス修道士。これの入手経路を教えてくれるかな?」
「サピエンチア修道院長から直接渡されました。魔女にのみ効果がある聖水で、修道院長の自作だと言われました」
「では、サピエンチア修道院長に試していただきますかな」
オリッシモ枢機卿が宣言した。
「それから二人は公聴会を開き審議させていただきます。
それまで身柄を拘束させて頂こう」
オリッシモ枢機卿が手を挙げると、側に控えていた男達が前に出た。
「くそぉ」
サピエンチア修道院長が男達を薙ぎ倒しアイヴィに殴りかかり、その隙にミューリア司教が逃げ出した。
オリッシモ枢機卿の側に残っていたカリタス修道士が、サピエンチア修道院長に体当たりし取っ組み合いになった。
ミューリア司教は部屋の入り口近くでライオネル王子と男達に拘束された。
体重差はあったが何なく修道院長を叩きのめしたカリタス修道士が立ち上がり、アイヴィを睨みつけた。
「大人しくしてろつっただろうが!」
「来るのが遅すぎるんだもの。でもお陰で言いたい事の殆どを言えたわ。
それにね、喧嘩を売った方が時間稼ぎ出来ると思ったの」
「それにしたって、全く寿命が縮まったぜ。
お前・・助けてくれてありがとうとか、たまには可愛いこと言えないのかよ」
にっこり笑ったアイヴィはくるっと振り返り、
「オリッシモ枢機卿、アンドリュー教授。ありがとうございました」
「「どういたしまして」」
オリッシモ枢機卿とアンドリュー教授は笑いを堪えようとして、プルプル震えていた。
縄で拘束されたサピエンチア修道院長とミューリア司教の二人は、
「騙されんで下さい、その女は魔女です。我らは正義の鉄槌を下そうとしただけです」
「その通り。その魔女がこの部屋の者全てに魔術をかけているのです」
話を聞いていたアイヴィは、
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「言ってごらん」
「魔女かどうか判断する方法が一つありますの」
「ほう、どんな方法かな?」
「正しき者には害がなく、魔女には毒となる物だそうです。
そうですよね、サピエンチア修道院長殿?」
「・・まさか」
「カリタス修道士、今日も持っておられますよね」
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「出すな! 出すんじゃない。わしを裏切るつもりか!」
「裏切るも何も、俺はあんたの味方だった事は一度もない」
カリタス修道士は、ポケットから出したガラスの小瓶をオリッシモ枢機卿に手渡した。
「破門だ、破門してやるから覚えてろ!」
「さて、カリタス修道士。これの入手経路を教えてくれるかな?」
「サピエンチア修道院長から直接渡されました。魔女にのみ効果がある聖水で、修道院長の自作だと言われました」
「では、サピエンチア修道院長に試していただきますかな」
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