【完結】売られた喧嘩は買わせていただきます。修道院長VS平民の戦い。騎士と王子に助けられました

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23.ジョセフの一撃

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 翌日の朝、ライオネル王子とカリタス修道士が店に着くと入り口には、腕を組んで仁王立ちしたジョセフが眉間に皺を寄せて立っていた。


「悪いが二人とも帰ってもらおう。二度とここには来んでくれ」

 ジョセフのただならぬ様子に王子が、
「何かあったんですか?」

「アイヴィが夜のうちに出て行った。心当たりのある奴は前に出ろ」


 暫くしてカリタス修道士が一歩前に出ると、ジョセフはカリタス修道士を思いっきり殴りつけた。

「お前らが誰だろうが何を考えようが知ったこっちゃねえ。
俺の娘を傷つけてただで済むと思うなよ」


「ジョセフ、アイヴィはどこに行ったんですか?」

「王子様よ、さっさとうちに帰って仕事しな。
そこに座り込んでるお前も、さっさと帰りやがれ!」


 ジョセフはcloseの看板をかけた後、店に入りドアに鍵をかけた。



 宿に戻った二人は荷造りをして村を出発した。ライオネル王子は隣町で護衛と合流し、王都へと向かう事にした。

 隣町への道すがら、
「何があったのか教えてくれないかな?」

「・・」

「もし君が許されざる行為に及んだのならば、私は君に決闘を申し込むつもりだ」


「・・少し揶揄っただけです。殿下が心配されるような事は何も起きていません」


「君が何故アイヴィの所にいたのか聞かせてもらえるかな?」

「彼女が魔女だと」


「馬鹿馬鹿しい。そんな妄言を信じたというのか!」

「いいえ、アイヴィはただの医者です」

「それを言うなら優秀な医者だ。
全く、教会や修道院の心の狭さには反吐が出るよ。
自らより優れた者を排除しなければ気が済まない。神の御心が聞いて呆れるね」


 ライオネル王子は冷ややかな目でカリタス修道士を見ながら、
「それで、任務に失敗した君はこれからどうするんだい?」

「アイヴィを探します。アイヴィが無事だとバレたら命の危険があります」


「しかし、どこを探すと。心当たりでもあるのか?」

「アイヴィは父親ととても仲が良いので、どこに行ったのか知らせているはずです。
様子を伺って家に忍び込みます」

「見つかったらただじゃ済まないだろうね」

「事情が事情ですから、何とかしなくては。
殴られるくらいで居場所が分かるならいくらでも構いません」


「・・私は王宮に戻り、修道院長の動向を探ってみよう。
何か分かれば連絡するが、連絡方法はどうする?」

「アイヴィの行き先が分かったらこちらから連絡を入れます。

・・王子殿下は本気だったのですか?」


「当たり前だろう? 私は公務を放り出してやって来たんだ。遊びでそんな事が出来るはずがない。
君が何を考えていたのかは知らないがね」

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