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6.吸入麻酔作ります
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アイヴィは王女が不安にならないよう声をかけながら全身を丁寧に診察していった。
「もう少しお茶を飲みませんか?」
診察の後アイヴィが声をかけると、王女は少しお茶を飲み直ぐに眠りに落ちていった。
アイヴィ達は隣の部屋に移動して話し始めた。全員がドアの近くでベッドの見える位置にいる。
「喉の腫れが酷いから、切開する必要があります。その他に転移と見られる箇所が二箇所。
問題は体力が落ち過ぎてることですね」
「では、体力が戻るのを待ちますか?」
「・・いいえ、待っていたら膿がいつ破裂するか」
「そんなに危険な状態なのですか?」
「あれでは何も食べられないからどんどん体力が落ちていく一方です。
この病気は体力が最大の薬だから、切開して膿を出して少しずつでも栄養を取れるようにしなきゃ」
「では、床屋外科医を呼びましょう」
「いいえ、私がやります。道具は持ってきているし経験もあるから。
吸入麻酔の準備ができたら始めるので、それ迄に部屋の掃除を徹底して下さい。
不潔な空気の中じゃ手術跡が化膿してしまうから」
タイラーが急いでメイドに声をかけに行った。
「吸入麻酔の準備手伝わせて頂いても宜しいですか? 話には聞いた事があるのですが見たことがなくて。
お恥ずかしい限りです」
「構いません。リアム殿に手伝って頂けると助かります」
その後、王女の側にジョセフが残り、アイヴィとリアムは麻酔薬の調合を行った。
「材料はアヘン・イヌホオズキの汁・ヒヨス・マンダラゲ・キズタ・ドクニンジンの汁。
これを海綿に浸して使います」
「これを手術の度に作るのですか?」
「いいえ、海綿を天日干ししてその都度熱湯で戻せばいつでも使えますから、前もって作っておくと便利ですよ。
今回は時間がなかったので作ってないのですが」
「良いことを知りました。騎士達は痛みに強いとは言え、あの悲鳴を聞くのは結構キツイですから・・」
「その気持ち分かります。する側もされる側も辛いですよね。
以前はアヘンとマンダラゲの麻酔海綿を使っていたそうですが、あれだと効果がイマイチですし」
「もしかしてルツギエロの医学テキストですか?」
「はい、とても勉強になりました」
アイヴィとリアムが会話しながら吸入麻酔を作っていると、後ろから声がかかった。
「もし良ければ私にも作り方をお教え頂けますか?」
二人が振り向くと直ぐ後ろにカリタス修道士が立っていたので、アイヴィは吃驚してしまった。
「いついらっしゃったのか気付かなくて」
「失礼しました。大変興味深い話をされていたので、つい持ち場を離れてしまいました」
「騎士修道会の方なら麻酔薬は気になりますよね。
良かったらご一緒にどうぞ」
「もう少しお茶を飲みませんか?」
診察の後アイヴィが声をかけると、王女は少しお茶を飲み直ぐに眠りに落ちていった。
アイヴィ達は隣の部屋に移動して話し始めた。全員がドアの近くでベッドの見える位置にいる。
「喉の腫れが酷いから、切開する必要があります。その他に転移と見られる箇所が二箇所。
問題は体力が落ち過ぎてることですね」
「では、体力が戻るのを待ちますか?」
「・・いいえ、待っていたら膿がいつ破裂するか」
「そんなに危険な状態なのですか?」
「あれでは何も食べられないからどんどん体力が落ちていく一方です。
この病気は体力が最大の薬だから、切開して膿を出して少しずつでも栄養を取れるようにしなきゃ」
「では、床屋外科医を呼びましょう」
「いいえ、私がやります。道具は持ってきているし経験もあるから。
吸入麻酔の準備ができたら始めるので、それ迄に部屋の掃除を徹底して下さい。
不潔な空気の中じゃ手術跡が化膿してしまうから」
タイラーが急いでメイドに声をかけに行った。
「吸入麻酔の準備手伝わせて頂いても宜しいですか? 話には聞いた事があるのですが見たことがなくて。
お恥ずかしい限りです」
「構いません。リアム殿に手伝って頂けると助かります」
その後、王女の側にジョセフが残り、アイヴィとリアムは麻酔薬の調合を行った。
「材料はアヘン・イヌホオズキの汁・ヒヨス・マンダラゲ・キズタ・ドクニンジンの汁。
これを海綿に浸して使います」
「これを手術の度に作るのですか?」
「いいえ、海綿を天日干ししてその都度熱湯で戻せばいつでも使えますから、前もって作っておくと便利ですよ。
今回は時間がなかったので作ってないのですが」
「良いことを知りました。騎士達は痛みに強いとは言え、あの悲鳴を聞くのは結構キツイですから・・」
「その気持ち分かります。する側もされる側も辛いですよね。
以前はアヘンとマンダラゲの麻酔海綿を使っていたそうですが、あれだと効果がイマイチですし」
「もしかしてルツギエロの医学テキストですか?」
「はい、とても勉強になりました」
アイヴィとリアムが会話しながら吸入麻酔を作っていると、後ろから声がかかった。
「もし良ければ私にも作り方をお教え頂けますか?」
二人が振り向くと直ぐ後ろにカリタス修道士が立っていたので、アイヴィは吃驚してしまった。
「いついらっしゃったのか気付かなくて」
「失礼しました。大変興味深い話をされていたので、つい持ち場を離れてしまいました」
「騎士修道会の方なら麻酔薬は気になりますよね。
良かったらご一緒にどうぞ」
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