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3.女だけど
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アイヴィは思わず立ち止まってジョセフを見つめた。
「話の様子じゃ王女は“るいれき” だろうと思うが、発症してから随分時間が経ってる。
しかも、くそ修道士が瀉血やら下剤を多用してるらしい」
「まさか! その修道士馬鹿なの? そんな事したら体力奪われて悪くなる一方だし、今でもそんなやり方をする奴がいるなんて」
話を聞いていたタイラーは首を傾げている。ただの薬剤師だと思っていたのに違うのか? と疑問に思っているようだ。
「アイヴィ、お前が腹を立てる気持ちはわかる。だけどな少し話を聞けよ?」
父の話を聞いた後アイヴィは腕を組みタイラーを睨みつけた、
「私は女ですから、お役に立てないと思いますけど?」
「アイヴィ、まったくお前ちょっと黙ってろ。
タイラー、こいつはな医大を出た医者なんだ」
「ジョセフ冗談を言ってる場合じゃないんだ。女が医大に入れるわけないだろうが」
「冗談じゃねえよ。アイヴィはなサレルノ医学校で博士号をとってる。
ただ、イデウラル国に戻ってきたら女だってだけで医者として認めてもらえなくてな。
仕方なくここで薬剤師をしてるんだ。
女の癖にとか女が? って言われるとブチギレるから気を付けろ」
「仕方なくじゃないわ。とても意義のある仕事をしているつもりよ。
女だけど。それにブチギレたりしないわ。とーっても冷静よ!」
「サレルノか・・あそこなら女性にも門戸を開いていたな」
タイラーが立ち上がり頭を90度近く曲げて、
「申し訳ありませんでした。勝手な思い込みで失礼致しました」
「な? 座ってタイラーの話を聞いてやれ。俺には薬草の知識はあるがそれだけだ。
腕が良くて修道士を黙らせるだけの知識のある奴じゃないと、ケチをつけられた時どうにもならねえ」
「その修道士が抱え込んでるって事? 宮廷医師は一体何してるの? 役立たずすぎでしょ」
「タイラーがお前の言ってる役立たずの宮廷医師の一人だ」
「あっ、あら。ごめんなさい」
「いや、本当に役立たずで申し訳ない。今迄の経緯を聞いてもらえるかな?」
その後タイラーは王女の発症から現在までの経緯を詳しく説明した。
「それだけ時間が経ってると、あちこちに腫瘍が転移してるかも・・」
「“るいれき” には大気、栄養、安静が必要なのはよく知られているんだけど、血を使って身体中に腫瘍が広まるの。
そして、何より大切なのは患者の体力なの」
「つまり瀉血や下剤の使用は・・」
「ええ、逆効果になるわ」
「アイヴィ、さっきは本当にすまなかった。俺と一緒に王宮に来てくれないか?」
「この国は女の医者を認めていないの。私が行くのは時間の無駄だわ」
「陛下はジュリア王女をとても大切にされているんだ。王女を助けられる可能性があるならきっと理解してくださる」
「説得に時間がかかりすぎたらそれだけ王女は衰弱するのよ。
・・父さん、一緒に行きましょう。私の盾になってちょうだい」
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「私は女ですから、お役に立てないと思いますけど?」
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「あっ、あら。ごめんなさい」
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そして、何より大切なのは患者の体力なの」
「つまり瀉血や下剤の使用は・・」
「ええ、逆効果になるわ」
「アイヴィ、さっきは本当にすまなかった。俺と一緒に王宮に来てくれないか?」
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「陛下はジュリア王女をとても大切にされているんだ。王女を助けられる可能性があるならきっと理解してくださる」
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・・父さん、一緒に行きましょう。私の盾になってちょうだい」
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