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20.作戦終了
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「ミリアは結局マシューの事許したんだね」
「うん、今度やったら絶対に許さないけど」
✳︎✳︎ ミリアの回想 ✳︎✳︎
四人組&エリオットが作戦会議をした数日後の夕方、王都に新しく出来たコーヒーハウスにマシューを呼び出したミリア。
奇しくもここは、ほんの少し前にルーカス&ジェシカのバカップルが帰ったばかりの店。
腕を組んで眉間に皺を寄せているミリアの前で、マシューは俯いたままコーヒーを延々とかき混ぜている。
(おい、今度の奴らは何だ?)
(痴話喧嘩か?)
(堪忍してくれ、店のイメージがぁ)
「ジェシカとの事話して」
「・・あれは、その。浮気とかじゃなくて」
「間違いなく浮気よね。学園の誰に聞いてもそう言うと思う」
「ただ、その。・・ミリアの関心が引きたくて」
はじまりはマシューのちょっとした悪戯心だった。
学園中で噂のジェシカが最近しょっちゅう声をかけて来るようになった。『あんまり関わりたくないなぁ』と、適当に話をしていたのだが、
『ミリア、もしかして焼き餅焼いてたりするかな?』
態とジェシカと腕を組んでミリアの前を通り過ぎ横目でミリアの反応を窺ってみると、チラッとこちらを見るミリア。
『やっぱり気にしてる!』
ミリアは自分といるより四人組でいる時の方が楽しそうだと常々不満に思っていたマシューは、それからと言うもの度々ジェシカと一緒に行動するようになった。
『マシュー、いい加減にして!』
やって来たミリアは眉間に皺を寄せてかなり怒っていた。
『やったぁ! ミリアが怒るのは僕に関心があるって事だよな(ふふん)』
ただそれだけの幼稚な自己満足だった。
「ミリアを傷付けるつもりはなかったんだ」
「・・マシューって、想像以上にお馬鹿だったんだ」
「うっ」
「腕を組んだ以上のことしてたら婚約破棄する」
真っ青になって立ち上がるマシュー。椅子がガタンと大きな音を立てて後ろに倒れた。
店中の注目が集まる中マシューが大声で叫んだ。
「何にもしてないよ!・・プレゼントはちょっとしたけど。こっ婚約破棄はやだ」
「ちょっと、落ち着いて。みんなが見てるから座ってちょうだい。で、何をあげたの?」
店員が直してくれた椅子に腰掛け、
「お菓子とか、お昼を奢ったり。色々強請られたけどちゃんと断った。デートだって一回もしなかった。きっキスとか絶対嫌だったし」
(にいちゃん、偉いぞ)
(頑張れ)
(ここが勝負時だぞ、一気に押し倒せ)
(いやいや、それは他所でやってくれ)
いつの間にか店中の人達から応援されはじめたことに気づかないマシュー。
「だって、そう言う事はミリアとだけしたいし・・」
段々と赤くなっていくマシューと、『そう言う事はって』と、ミリアの顔も赤くなっていった。
「だっだったら二度としないでね」
「うん。ルーカス達を見てて分かったんだ、あんな事してミリアの気持ちを試そうとしたのは本当に馬鹿だったって」
✳︎✳︎✳︎✳︎ ✳︎✳︎✳︎✳︎
「マシューは本気で反省してるみたいだし、ジェシカが私にアピールしてたような事はなかったって分かったから。
不思議なのは、話し合いした帰りにお店の人から『サービスです!』ってケーキを貰ったの。
マシューにはサムズアップしてたし」
(((話が丸聞こえだったんだ・・)))
「投資の件は言わなかったんだね」
「悩んだんだけどね。口は出さない事に決めたの」
「リリアーナのお父様が動いてるんだもの。きっと大丈夫よ」
「マチルダ、そこは嘘でもエリオットも頑張ってるって言って」
「シエナ、ごめん」
「何にしろ、この一ヶ月忙しかったよね。三人には調査とか全部丸投げしちゃったから」
作戦会議の翌日から、リリアーナ以外の三人はジェシカの被害にあった生徒への聞き取り調査や書類作成を担当した。
リリアーナは父親に銀の取引相手や投資会社の調査・監視を依頼した代わりにと家の仕事を大量に割り振られていた。
「秘密調査なんて探偵みたいで楽しかったし、法律関係の勉強も出来たし。
マシューこき使ったからお仕置きになったもん」
「被害届出すだけなのにあんなに色々手続きがあるなんて吃驚だったわ」
「私も調査とか手伝えて助かったわ。何も出来ないままだったら、エリオットの心配ばかりして眠れなかったかも」
エリオットはアーロンが学園を卒業するまでに領地経営を安定させ、ドントジー子爵位をアーロンに譲る。
そしてエリオットはシエナの元に婿入りする事になっている。
本人達曰く、『十年待ったのだから後四年位余裕で待てる』とのこと。
「これで一段落。次はマチルダの結婚式に向けて作戦会議ね」
「「「おー!」」」
「うん、今度やったら絶対に許さないけど」
✳︎✳︎ ミリアの回想 ✳︎✳︎
四人組&エリオットが作戦会議をした数日後の夕方、王都に新しく出来たコーヒーハウスにマシューを呼び出したミリア。
奇しくもここは、ほんの少し前にルーカス&ジェシカのバカップルが帰ったばかりの店。
腕を組んで眉間に皺を寄せているミリアの前で、マシューは俯いたままコーヒーを延々とかき混ぜている。
(おい、今度の奴らは何だ?)
(痴話喧嘩か?)
(堪忍してくれ、店のイメージがぁ)
「ジェシカとの事話して」
「・・あれは、その。浮気とかじゃなくて」
「間違いなく浮気よね。学園の誰に聞いてもそう言うと思う」
「ただ、その。・・ミリアの関心が引きたくて」
はじまりはマシューのちょっとした悪戯心だった。
学園中で噂のジェシカが最近しょっちゅう声をかけて来るようになった。『あんまり関わりたくないなぁ』と、適当に話をしていたのだが、
『ミリア、もしかして焼き餅焼いてたりするかな?』
態とジェシカと腕を組んでミリアの前を通り過ぎ横目でミリアの反応を窺ってみると、チラッとこちらを見るミリア。
『やっぱり気にしてる!』
ミリアは自分といるより四人組でいる時の方が楽しそうだと常々不満に思っていたマシューは、それからと言うもの度々ジェシカと一緒に行動するようになった。
『マシュー、いい加減にして!』
やって来たミリアは眉間に皺を寄せてかなり怒っていた。
『やったぁ! ミリアが怒るのは僕に関心があるって事だよな(ふふん)』
ただそれだけの幼稚な自己満足だった。
「ミリアを傷付けるつもりはなかったんだ」
「・・マシューって、想像以上にお馬鹿だったんだ」
「うっ」
「腕を組んだ以上のことしてたら婚約破棄する」
真っ青になって立ち上がるマシュー。椅子がガタンと大きな音を立てて後ろに倒れた。
店中の注目が集まる中マシューが大声で叫んだ。
「何にもしてないよ!・・プレゼントはちょっとしたけど。こっ婚約破棄はやだ」
「ちょっと、落ち着いて。みんなが見てるから座ってちょうだい。で、何をあげたの?」
店員が直してくれた椅子に腰掛け、
「お菓子とか、お昼を奢ったり。色々強請られたけどちゃんと断った。デートだって一回もしなかった。きっキスとか絶対嫌だったし」
(にいちゃん、偉いぞ)
(頑張れ)
(ここが勝負時だぞ、一気に押し倒せ)
(いやいや、それは他所でやってくれ)
いつの間にか店中の人達から応援されはじめたことに気づかないマシュー。
「だって、そう言う事はミリアとだけしたいし・・」
段々と赤くなっていくマシューと、『そう言う事はって』と、ミリアの顔も赤くなっていった。
「だっだったら二度としないでね」
「うん。ルーカス達を見てて分かったんだ、あんな事してミリアの気持ちを試そうとしたのは本当に馬鹿だったって」
✳︎✳︎✳︎✳︎ ✳︎✳︎✳︎✳︎
「マシューは本気で反省してるみたいだし、ジェシカが私にアピールしてたような事はなかったって分かったから。
不思議なのは、話し合いした帰りにお店の人から『サービスです!』ってケーキを貰ったの。
マシューにはサムズアップしてたし」
(((話が丸聞こえだったんだ・・)))
「投資の件は言わなかったんだね」
「悩んだんだけどね。口は出さない事に決めたの」
「リリアーナのお父様が動いてるんだもの。きっと大丈夫よ」
「マチルダ、そこは嘘でもエリオットも頑張ってるって言って」
「シエナ、ごめん」
「何にしろ、この一ヶ月忙しかったよね。三人には調査とか全部丸投げしちゃったから」
作戦会議の翌日から、リリアーナ以外の三人はジェシカの被害にあった生徒への聞き取り調査や書類作成を担当した。
リリアーナは父親に銀の取引相手や投資会社の調査・監視を依頼した代わりにと家の仕事を大量に割り振られていた。
「秘密調査なんて探偵みたいで楽しかったし、法律関係の勉強も出来たし。
マシューこき使ったからお仕置きになったもん」
「被害届出すだけなのにあんなに色々手続きがあるなんて吃驚だったわ」
「私も調査とか手伝えて助かったわ。何も出来ないままだったら、エリオットの心配ばかりして眠れなかったかも」
エリオットはアーロンが学園を卒業するまでに領地経営を安定させ、ドントジー子爵位をアーロンに譲る。
そしてエリオットはシエナの元に婿入りする事になっている。
本人達曰く、『十年待ったのだから後四年位余裕で待てる』とのこと。
「これで一段落。次はマチルダの結婚式に向けて作戦会議ね」
「「「おー!」」」
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