10 / 21
10.作戦会議 ③
しおりを挟む
「あの・・一つ疑問なんだけど、何故おじ様だったのかしら?」
「「「「?」」」」
「投資会社からしたら、資金順調な人を直接狙った方が手っ取り早いのにって。
銀鉱山で資金順調に見えてて声を掛けたとしても、資金不足なのが分かった後も話を進めたのは何故なのかなって」
「ごめんリリアーナ、意味が分からない。もう少し詳しく頼む」
「投資とかの世界はよく分からないけど、真面な会社は相手がちゃんと取引出来るか調べて契約をするでしょう?
でも、悪質な会社だったら逆にリスクがあっても話に乗ってくるとか、乗らざるを得ない人を選ぶんじゃないかしら」
「リスクがあっても乗らざるを得ない状況・・確かにその通りだ」
「おじ様には人脈も信用もあるでしょう? 裕福な人との商売には・・信用貸しって言葉もある位だもの。
おじ様の社交界での評価は仕事をする上で凄く価値のあるものだわ。
だとしたらおじ様の今の状況を調べたのか、誰かから聞いたのか」
「くそ!」
「類は友を呼ぶって言うし、悪人繋がりで情報が広がるとしたら銀の闇取引の相手なんて最適かも。
可能性の一つくらいには覚えておいた方が良いのかなって」
「そうなると、問題を一つずつ片付けるやり方をすると不味いって事か。
参ったな、俺の様な若造には問題がデカすぎて何から手をつけたらいいのか分からなくなってきた」
エリオットは頭を抱えて黙り込んでしまった。暫く悩んでいたが溜息を吐いた後、
「マーシャル公爵閣下に連絡がつくまでに、出来る限り不正取引の資料を準備する。その時に投資会社の件を相談するしかないな」
「銀の取引相手のリストを貰える? お父様に頼んで調べてもらうわ。
もし何かしらの繋がりが出てきたらラッキーだし。あっ、投資を決めた人のリストもお願い。
それと引き続き投資会社の張り込みと調査は継続して貰っとく」
「ありがとう。リリアーナ、本当に助かる。いつか必ず礼をするから言ってくれ」
「ふふ。実はね、おねだりの内容はもう考えてあるの」
「何? なんでも言ってくれ。俺に出来る事なら何でも」
リリアーナは膝に手を置き前のめりになった後、シエナとエリオットを交互に見てにっこりと笑った。
「シエナの赤ちゃんが産まれたら、三人の中で一番に抱っこさせて貰う権利をぜひ!」
「「ええ! リリアーナそれは狡いわ」」
「あっ赤ちゃんって」
「二人目の時と三人目の時は諦めるから」
「なら・・うん、許す」
「シエナ、三人以上産まなかったらお仕置きだからね」
「でも、考えてみたら一番働くのはおじ様よね」
「いや、あの。カートレット伯爵にその権利を譲るのは、俺としては絶対に断りたいと言うか・・女の子だったら・・ああ、そんな」
「ふふ、大丈夫。お父様との交換条件は決まってるの。今回手伝って欲しいことがあった時には、その分領地の仕事を余分に請け負うって事になってる」
「あの、あまり役に立てそうにはないんだけど、私達に出来る事ない?」
恐る恐るリリアーナの顔を覗き込んだマチルダは、満面の笑顔を見つけて思わずのけぞった。
「しっかり計画は立ててあるの。
これから暫く二人は滅茶苦茶忙しくなると思うから安心してね」
「「何だか寒気が」」
「最後にミリアに話があるんだ。さっき話に出た投資を決めた人のリストにバーリー伯爵の名前がある」
ミリアが呆然としてエリオットを見つめた。
「マシューとの婚約を続けるなら、バーリー伯爵だけは先に手を打とうかと思って」
「・・教えてくれてありがとう。吃驚し過ぎて頭が働かないから、ちょっと考えてみる」
「謝るのは俺の方だから。いつでも言って欲しい」
「ルーカスが婚約破棄を言い出すまでに、最低でもマーシャル公爵閣下との会合までは漕ぎ着けなくちゃね」
「カートレット伯爵家とドントジー侯爵家の仲が拗れてるって、周りに思われる前に下準備は済ませないとって事ね」
「ルーカス達は一ヶ月後の卒業パーティーを狙ってくると思うからまだ余裕があるはずよ」
「なんでそこを狙ってくると思うの?」
「だってジェシカから押し付けられた本はどれも、卒業パーティーで婚約破棄してたもの。
内容は真面に読んでないから分かんないけど、あらすじを読んだら必要な事は全部書いてあったわ」
「「「「?」」」」
「投資会社からしたら、資金順調な人を直接狙った方が手っ取り早いのにって。
銀鉱山で資金順調に見えてて声を掛けたとしても、資金不足なのが分かった後も話を進めたのは何故なのかなって」
「ごめんリリアーナ、意味が分からない。もう少し詳しく頼む」
「投資とかの世界はよく分からないけど、真面な会社は相手がちゃんと取引出来るか調べて契約をするでしょう?
でも、悪質な会社だったら逆にリスクがあっても話に乗ってくるとか、乗らざるを得ない人を選ぶんじゃないかしら」
「リスクがあっても乗らざるを得ない状況・・確かにその通りだ」
「おじ様には人脈も信用もあるでしょう? 裕福な人との商売には・・信用貸しって言葉もある位だもの。
おじ様の社交界での評価は仕事をする上で凄く価値のあるものだわ。
だとしたらおじ様の今の状況を調べたのか、誰かから聞いたのか」
「くそ!」
「類は友を呼ぶって言うし、悪人繋がりで情報が広がるとしたら銀の闇取引の相手なんて最適かも。
可能性の一つくらいには覚えておいた方が良いのかなって」
「そうなると、問題を一つずつ片付けるやり方をすると不味いって事か。
参ったな、俺の様な若造には問題がデカすぎて何から手をつけたらいいのか分からなくなってきた」
エリオットは頭を抱えて黙り込んでしまった。暫く悩んでいたが溜息を吐いた後、
「マーシャル公爵閣下に連絡がつくまでに、出来る限り不正取引の資料を準備する。その時に投資会社の件を相談するしかないな」
「銀の取引相手のリストを貰える? お父様に頼んで調べてもらうわ。
もし何かしらの繋がりが出てきたらラッキーだし。あっ、投資を決めた人のリストもお願い。
それと引き続き投資会社の張り込みと調査は継続して貰っとく」
「ありがとう。リリアーナ、本当に助かる。いつか必ず礼をするから言ってくれ」
「ふふ。実はね、おねだりの内容はもう考えてあるの」
「何? なんでも言ってくれ。俺に出来る事なら何でも」
リリアーナは膝に手を置き前のめりになった後、シエナとエリオットを交互に見てにっこりと笑った。
「シエナの赤ちゃんが産まれたら、三人の中で一番に抱っこさせて貰う権利をぜひ!」
「「ええ! リリアーナそれは狡いわ」」
「あっ赤ちゃんって」
「二人目の時と三人目の時は諦めるから」
「なら・・うん、許す」
「シエナ、三人以上産まなかったらお仕置きだからね」
「でも、考えてみたら一番働くのはおじ様よね」
「いや、あの。カートレット伯爵にその権利を譲るのは、俺としては絶対に断りたいと言うか・・女の子だったら・・ああ、そんな」
「ふふ、大丈夫。お父様との交換条件は決まってるの。今回手伝って欲しいことがあった時には、その分領地の仕事を余分に請け負うって事になってる」
「あの、あまり役に立てそうにはないんだけど、私達に出来る事ない?」
恐る恐るリリアーナの顔を覗き込んだマチルダは、満面の笑顔を見つけて思わずのけぞった。
「しっかり計画は立ててあるの。
これから暫く二人は滅茶苦茶忙しくなると思うから安心してね」
「「何だか寒気が」」
「最後にミリアに話があるんだ。さっき話に出た投資を決めた人のリストにバーリー伯爵の名前がある」
ミリアが呆然としてエリオットを見つめた。
「マシューとの婚約を続けるなら、バーリー伯爵だけは先に手を打とうかと思って」
「・・教えてくれてありがとう。吃驚し過ぎて頭が働かないから、ちょっと考えてみる」
「謝るのは俺の方だから。いつでも言って欲しい」
「ルーカスが婚約破棄を言い出すまでに、最低でもマーシャル公爵閣下との会合までは漕ぎ着けなくちゃね」
「カートレット伯爵家とドントジー侯爵家の仲が拗れてるって、周りに思われる前に下準備は済ませないとって事ね」
「ルーカス達は一ヶ月後の卒業パーティーを狙ってくると思うからまだ余裕があるはずよ」
「なんでそこを狙ってくると思うの?」
「だってジェシカから押し付けられた本はどれも、卒業パーティーで婚約破棄してたもの。
内容は真面に読んでないから分かんないけど、あらすじを読んだら必要な事は全部書いてあったわ」
42
お気に入りに追加
1,367
あなたにおすすめの小説
卒業記念パーティーに参加していた伯爵家の嫡男です。
剣伎 竜星
恋愛
「私、ルカス・アバロンはソフィア・アルビオン公爵令嬢との婚約を破棄するとともに、このカレン・バーバリアス男爵令嬢を新たな婚約者とすることをここに宣言する!」
本日はアバロン王立学園の卒業式で、式はつつがなく終了し、今は式後の記念パーティーが開催されていた。しかし、突然、学園で評判の悪いルカス第一王子とその取り巻き、そして男爵令嬢が乱入。第一王子が前述の婚約破棄宣言を行った。
※投稿リハビリ作品です。
※R15は保険です。
※本編は前編中編後編の3部構成予定で、後編は後日談です。
さようならお姉様、辺境伯サマはいただきます
夜桜
恋愛
令嬢アリスとアイリスは双子の姉妹。
アリスは辺境伯エルヴィスと婚約を結んでいた。けれど、姉であるアイリスが仕組み、婚約を破棄させる。エルヴィスをモノにしたアイリスは、妹のアリスを氷の大地に捨てた。死んだと思われたアリスだったが……。
(完結)私は一切悪くないけど、婚約破棄を受け入れます。もうあなたとは一緒に歩んでいけないと分かりましたから。
しまうま弁当
恋愛
ルーテシアは婚約者のゼスタから突然婚約破棄を突きつけられたのでした。
さらにオーランド男爵家令嬢のリアナが現れてゼスタと婚約するとルーテシアに宣言するのでした。
しかもゼスタはルーテシアが困っている人達を助けたからという理由で婚約破棄したとルーテシアに言い放ちました。
あまりにふざけた理由で婚約破棄されたルーテシアはゼスタの考えにはついていけないと考えて、そのまま婚約破棄を受け入れたのでした。
そしてルーテシアは実家の伯爵家に戻るために水上バスの停留所へと向かうのでした。
ルーテシアは幼馴染のロベルトとそこで再会するのでした。
目を覚ました気弱な彼女は腹黒令嬢になり復讐する
音爽(ネソウ)
恋愛
家族と婚約者に虐げられてきた伯爵令嬢ジーン・ベンスは日々のストレスが重なり、高熱を出して寝込んだ。彼女は悪夢にうなされ続けた、夢の中でまで冷遇される理不尽さに激怒する。そして、目覚めた時彼女は気弱な自分を払拭して復讐に燃えるのだった。
妹に一度殺された。明日結婚するはずの死に戻り公爵令嬢は、もう二度と死にたくない。
たかたちひろ【令嬢節約ごはん23日発売】
恋愛
婚約者アルフレッドとの結婚を明日に控えた、公爵令嬢のバレッタ。
しかしその夜、無惨にも殺害されてしまう。
それを指示したのは、妹であるエライザであった。
姉が幸せになることを憎んだのだ。
容姿が整っていることから皆や父に気に入られてきた妹と、
顔が醜いことから蔑まされてきた自分。
やっとそのしがらみから逃れられる、そう思った矢先の突然の死だった。
しかし、バレッタは甦る。死に戻りにより、殺される数時間前へと時間を遡ったのだ。
幸せな結婚式を迎えるため、己のこれまでを精算するため、バレッタは妹、協力者である父を捕まえ処罰するべく動き出す。
もう二度と死なない。
そう、心に決めて。
わがまま妹、自爆する
四季
恋愛
資産を有する家に長女として生まれたニナは、五つ年下の妹レーナが生まれてからというもの、ずっと明らかな差別を受けてきた。父親はレーナにばかり手をかけ可愛がり、ニナにはほとんど見向きもしない。それでも、いつかは元に戻るかもしれないと信じて、ニナは慎ましく生き続けてきた。
そんなある日のこと、レーナに婚約の話が舞い込んできたのだが……?
婚約破棄直前に倒れた悪役令嬢は、愛を抱いたまま退場したい
矢口愛留
恋愛
【全11話】
学園の卒業パーティーで、公爵令嬢クロエは、第一王子スティーブに婚約破棄をされそうになっていた。
しかし、婚約破棄を宣言される前に、クロエは倒れてしまう。
クロエの余命があと一年ということがわかり、スティーブは、自身の感じていた違和感の元を探り始める。
スティーブは真実にたどり着き、クロエに一つの約束を残して、ある選択をするのだった。
※一話あたり短めです。
※ベリーズカフェにも投稿しております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる