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15.粘るジェシカ ざまぁ その三
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「茶番はそろそろ終わりに致しましょう。エマーソン様はルーカス様と婚約なさらないと言う事で宜しいでしょうか?」
「リリアーナ、邪魔しないでくれる? ジェシカは今王子様と大事なお話ししてるの!」
「ミリア様、書類をエマーソン様にお渡しして頂けるかしら?」
会場の後方からミリアが分厚い書類の束を持ってきてジェシカに差し出した。
ジェシカは何気にリアムに擦り寄りながらミリアを睨みつけた。
「何なのそれ?」
「正式な慰謝料の請求書です。エマーソン様が在学中に起こした問題について、慰謝料を請求すると希望された方々の物を纏めて持って参りましたの。勿論カートレット伯爵家と我が家からの物も入っております」
「なにそれ、意味わかんない。ジェシカは何にもしてないもん」
「エマーソン様に誹謗中傷された方、エマーソン様のせいで婚約破棄となった方、その他にも突き飛ばされて怪我をした令嬢もおられます。男爵家には既に同様の書類を送らせて頂いております」
「ちょっ、何勝手なことやってんのよ。王子様ぁ、聞きましたぁ? こうやってみんなでジェシカを虐めるんですよぉ。助けて下さい」
目をうるうるとさせて上目遣いで関心を惹こうとしているが、リアムはジェシカを目の端にも入れたくない様で横を向いて一歩後ろに下がってしまった。
「私からも一言宜しいでしょうか?」
マチルダがジュードと共に雛壇前にやってきた。
「突き飛ばされて怪我をしたのは私ですので、私からの書類もその束の中に入っております。
それ以外にも無礼極まりない態度があまりにも多く、傷害の他に名誉毀損でも訴えさせて頂きましたので悪しからず」
「何よ、ガサツで傲慢な暴力女が名誉毀損なんて笑わせないでよ」
「私の婚約者を貶めるのはやめて頂こう」
「・・誰?」
「こちらはマチルダ様の婚約者のランカスター王国第三王子ジュード・ランカスター様でいらっしゃいます」
「えっ? 王子様? かっこいい~。
ジュード様、ジェシカが本当のことを教えてあげます。
マチルダなんかと結婚なんてしたら絶対不幸になっちゃいますよ。
だってマチルダってすっごく意地悪なんです。それに男みたいに剣とか振り回す乱暴者だし。
ジュード様みたいな素敵な王子様には私みたいな可愛い女の子が似合ってます」
「マチルダを呼び捨てにするな。これ以上何か言うのならば、不敬罪で牢に入るか国際問題にするか好きな方を選ぶんだな」
「えーっ。リアム様とジュード様、二人も王子様が居るのにどうしてジェシカの事助けてくれないんですかぁ。みんな嘘ばっかり言ってるのにぃ、酷いですぅ」
うんざりしたリアムが、ジェシカから離れたところから声をかけた。
「エマーソン嬢、王家の影って知ってるかな?」
ジェシカは呑気に話を聞いているが、学園長は真っ青になって頭を抱えて震え始めた。
「終わった。私の人生はもう終わりだ」と呟いている。
「ジェシカ知ってますよ。影ってあれですよね、こっそり守ってくれる護衛」
「まあ、そんなところかな?
で、学園内に何人か影を潜ませていてね。色々情報が届いていたんだ。
彼らの報告でエマーソン嬢のやってきた事は全部調べが付いている」
「うふふ、王子様ってとっくに私の事気にしてたんですね。早く教えてくれたら良かったのに」
再びリアムに近付き、腕に抱きつこうとして強く振り払われたジェシカ。
「いやいや、この流れで良くそんな風に考えられるね。
私が影を潜ませていたのは私の大事な人を守る為。エマーソン嬢が彼女を虐めていたのは分かってるん「あっあの・・エマーソン様、一つお聞きしたいんですが」
リリアーナが突然リアムの話を遮りジェシカに話しかけた。
「何よ!」
「ルーカス様と初めてお会いしたのって何時だったのですか?」
「リリアーナ、邪魔しないでくれる? ジェシカは今王子様と大事なお話ししてるの!」
「ミリア様、書類をエマーソン様にお渡しして頂けるかしら?」
会場の後方からミリアが分厚い書類の束を持ってきてジェシカに差し出した。
ジェシカは何気にリアムに擦り寄りながらミリアを睨みつけた。
「何なのそれ?」
「正式な慰謝料の請求書です。エマーソン様が在学中に起こした問題について、慰謝料を請求すると希望された方々の物を纏めて持って参りましたの。勿論カートレット伯爵家と我が家からの物も入っております」
「なにそれ、意味わかんない。ジェシカは何にもしてないもん」
「エマーソン様に誹謗中傷された方、エマーソン様のせいで婚約破棄となった方、その他にも突き飛ばされて怪我をした令嬢もおられます。男爵家には既に同様の書類を送らせて頂いております」
「ちょっ、何勝手なことやってんのよ。王子様ぁ、聞きましたぁ? こうやってみんなでジェシカを虐めるんですよぉ。助けて下さい」
目をうるうるとさせて上目遣いで関心を惹こうとしているが、リアムはジェシカを目の端にも入れたくない様で横を向いて一歩後ろに下がってしまった。
「私からも一言宜しいでしょうか?」
マチルダがジュードと共に雛壇前にやってきた。
「突き飛ばされて怪我をしたのは私ですので、私からの書類もその束の中に入っております。
それ以外にも無礼極まりない態度があまりにも多く、傷害の他に名誉毀損でも訴えさせて頂きましたので悪しからず」
「何よ、ガサツで傲慢な暴力女が名誉毀損なんて笑わせないでよ」
「私の婚約者を貶めるのはやめて頂こう」
「・・誰?」
「こちらはマチルダ様の婚約者のランカスター王国第三王子ジュード・ランカスター様でいらっしゃいます」
「えっ? 王子様? かっこいい~。
ジュード様、ジェシカが本当のことを教えてあげます。
マチルダなんかと結婚なんてしたら絶対不幸になっちゃいますよ。
だってマチルダってすっごく意地悪なんです。それに男みたいに剣とか振り回す乱暴者だし。
ジュード様みたいな素敵な王子様には私みたいな可愛い女の子が似合ってます」
「マチルダを呼び捨てにするな。これ以上何か言うのならば、不敬罪で牢に入るか国際問題にするか好きな方を選ぶんだな」
「えーっ。リアム様とジュード様、二人も王子様が居るのにどうしてジェシカの事助けてくれないんですかぁ。みんな嘘ばっかり言ってるのにぃ、酷いですぅ」
うんざりしたリアムが、ジェシカから離れたところから声をかけた。
「エマーソン嬢、王家の影って知ってるかな?」
ジェシカは呑気に話を聞いているが、学園長は真っ青になって頭を抱えて震え始めた。
「終わった。私の人生はもう終わりだ」と呟いている。
「ジェシカ知ってますよ。影ってあれですよね、こっそり守ってくれる護衛」
「まあ、そんなところかな?
で、学園内に何人か影を潜ませていてね。色々情報が届いていたんだ。
彼らの報告でエマーソン嬢のやってきた事は全部調べが付いている」
「うふふ、王子様ってとっくに私の事気にしてたんですね。早く教えてくれたら良かったのに」
再びリアムに近付き、腕に抱きつこうとして強く振り払われたジェシカ。
「いやいや、この流れで良くそんな風に考えられるね。
私が影を潜ませていたのは私の大事な人を守る為。エマーソン嬢が彼女を虐めていたのは分かってるん「あっあの・・エマーソン様、一つお聞きしたいんですが」
リリアーナが突然リアムの話を遮りジェシカに話しかけた。
「何よ!」
「ルーカス様と初めてお会いしたのって何時だったのですか?」
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