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11.閑話 幸せな二人と悲しみに暮れる人々
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「ルーカスぅ、どっちの方が似合うと思いますかぁ?」
「うーん、ジェシカは可愛いからどっちも凄く似合ってる。選ぶとしたら・・そっちの水色の方かな?」
「そうですねー、この色はルーカスの瞳の色だしぃ。でもぉこっちの黄色の方も光の加減で金色に見えて、ルーカスの髪の色みたいじゃないですかぁ?」
「確かにそうだね。ジェシカの好きな方にしたら良いと思うよ。どちらも同じくらい似合ってるから」
「だったらぁ、今度のパーティーではこの水色のドレスにしまーす! で、もう一つの方は次のパーティー用に」
「なんだ? 結局二つとも欲しいんだ。この間もドレスを作ってあげたばっかりだろう?」
「だってぇ・・」
二つのドレスを胸元で握りしめ、ルーカスを見上げるジェシカ。
(試着室に男性連れ込むなー)
(ああ、そんなことしたらドレスが皺に!)
(お子様劇場 いつまで続くの?)
側に控えている店員達がそんな事を考えて耐えているとも知らずに、おバカっプルは二人の世界に浸っていた。
「まぁいいか、これから夜会に参加する機会も増えてくるし。それなりの衣装を揃えておかないと、いざと言う時慌てるのはみっともないからね」
「流石ルーカス様! 侯爵としての自覚を持ってるって感じでカッコいいですぅ。
後はアクセサリーとぉ・・。(ビリっ)あっ、やっぱり黄色のドレスはいらないです」
「お客様。そちらのドレス、確認させて頂けますか? 今おかしな音が聞こえたようですが?」
「何よ! ルーカス行きましょ! この店のドレスなんて品がなさすぎるわ。
こんな店二度と来ないもん」
ルーカスの腕を引っ張り慌てて店を出て行ったジェシカだが。
「店長、あの二人出禁に出来ませんか? 奴らとうとうやりやがりました! 見てください。あの女が持ってたドレス、皺々にしただけでなく一つは破れてます」
「何としてでも侯爵家に弁償してもらうわ。その上で今後のお付き合いは断る。
このドレス一体いくらすると思ってんのよぉ・・」
「店長、泣かないで・・」
王都で有名な店をいくつも周りご機嫌なルーカスとジェシカは、大通りにオープンしたばかりのコーヒーハウスにやって来た。
二人は大通りが見渡せるテラス席に陣取り、お互いのケーキを「あーん」と食べさせあう。
「あっ、ルーカスったらお口の横にクリームが! じっとしてて下さいね(ペロリ)
うふふ、まるでキスしたみたいですぅ」
「コーヒーって、初めて見た時吃驚したんですよぉ。だって真っ黒で匂いも何だか独特で。今でもお砂糖とミルクを沢山入れないとジェシカには無理なんですぅ」
「はは、ジェシカはお子様だね。僕はブラックが好きなんだ」
「凄いです! あんなに苦いのに。あっ、ケーキもう一つ頼んで良いですか?」
「勿論良いよ。ドレスが入らなくならないように気をつけるんだよ?」
「あー、ルーカスったらひど~い。ジェシカはそんなおデブにはなりませんからー。
すみませーん、チョコレートケーキ下さーい」
(周りから丸見えなのに何やってんだ)
(やめろー、店のイメージが)
(デカい声で騒ぐなー)
(足を閉じろ! パ○ツ見えてる!)
全ての行動を監視・記録されている事に気づいていない二人。ルーカスはジェシカの肩に手を回し耳元で囁いた。
「ジェシカ、今日時間あるって言ってたよね。この後いつものとこに行く?」
「うふふ、ルーカスったら昨日も行ったばかりですよぉ? エッチなんだからぁ。
気をつけないと赤ちゃん出来ちゃいますよぉ。その前にお父様に会って婚約しないと」
「うん、今家がゴタゴタしてるから、兄上が出て行って父上の機嫌が直ったら直ぐに連れて行くよ」
「でもぉ、婚約破棄大丈夫なんですかぁ?」
「当然だろ? うちは侯爵家でリリアーナは伯爵家だからね。
爵位が上の者から言われたら拒否なんて出来ないんだ。
ジェシカの為に、うんと派手な婚約破棄をしてやるからね」
「うふっ、楽しみですぅ。リリアーナにはいっぱい虐められたからルーカスに泣いて縋るのが見れたら最高ですぅ。
ついでにマチルダ達にも仕返しできたら良いんだけどなぁ」
「ジェシカが侯爵夫人になったら、奴らはみんな君に媚びてくるからその時やり返せばいいさ」
「うふふ、すっごい楽しみぃ」
(人前で耳舐めんな!)
(女! 股間に手を伸ばすな!見えてんぞ)
(やめろー、店のイメージが)
顔を引き攣らせた店員達がプルプルと震える中、肩を抱き寄せたままルーカス達は悠々と店を出て行った。
出て行った二人の後ろ姿を見送ったお店のオーナー。
「二度と来んな! 誰か塩まけ、塩だ!」
✳︎ この国に塩を撒く風習があったのかどうか???
「うーん、ジェシカは可愛いからどっちも凄く似合ってる。選ぶとしたら・・そっちの水色の方かな?」
「そうですねー、この色はルーカスの瞳の色だしぃ。でもぉこっちの黄色の方も光の加減で金色に見えて、ルーカスの髪の色みたいじゃないですかぁ?」
「確かにそうだね。ジェシカの好きな方にしたら良いと思うよ。どちらも同じくらい似合ってるから」
「だったらぁ、今度のパーティーではこの水色のドレスにしまーす! で、もう一つの方は次のパーティー用に」
「なんだ? 結局二つとも欲しいんだ。この間もドレスを作ってあげたばっかりだろう?」
「だってぇ・・」
二つのドレスを胸元で握りしめ、ルーカスを見上げるジェシカ。
(試着室に男性連れ込むなー)
(ああ、そんなことしたらドレスが皺に!)
(お子様劇場 いつまで続くの?)
側に控えている店員達がそんな事を考えて耐えているとも知らずに、おバカっプルは二人の世界に浸っていた。
「まぁいいか、これから夜会に参加する機会も増えてくるし。それなりの衣装を揃えておかないと、いざと言う時慌てるのはみっともないからね」
「流石ルーカス様! 侯爵としての自覚を持ってるって感じでカッコいいですぅ。
後はアクセサリーとぉ・・。(ビリっ)あっ、やっぱり黄色のドレスはいらないです」
「お客様。そちらのドレス、確認させて頂けますか? 今おかしな音が聞こえたようですが?」
「何よ! ルーカス行きましょ! この店のドレスなんて品がなさすぎるわ。
こんな店二度と来ないもん」
ルーカスの腕を引っ張り慌てて店を出て行ったジェシカだが。
「店長、あの二人出禁に出来ませんか? 奴らとうとうやりやがりました! 見てください。あの女が持ってたドレス、皺々にしただけでなく一つは破れてます」
「何としてでも侯爵家に弁償してもらうわ。その上で今後のお付き合いは断る。
このドレス一体いくらすると思ってんのよぉ・・」
「店長、泣かないで・・」
王都で有名な店をいくつも周りご機嫌なルーカスとジェシカは、大通りにオープンしたばかりのコーヒーハウスにやって来た。
二人は大通りが見渡せるテラス席に陣取り、お互いのケーキを「あーん」と食べさせあう。
「あっ、ルーカスったらお口の横にクリームが! じっとしてて下さいね(ペロリ)
うふふ、まるでキスしたみたいですぅ」
「コーヒーって、初めて見た時吃驚したんですよぉ。だって真っ黒で匂いも何だか独特で。今でもお砂糖とミルクを沢山入れないとジェシカには無理なんですぅ」
「はは、ジェシカはお子様だね。僕はブラックが好きなんだ」
「凄いです! あんなに苦いのに。あっ、ケーキもう一つ頼んで良いですか?」
「勿論良いよ。ドレスが入らなくならないように気をつけるんだよ?」
「あー、ルーカスったらひど~い。ジェシカはそんなおデブにはなりませんからー。
すみませーん、チョコレートケーキ下さーい」
(周りから丸見えなのに何やってんだ)
(やめろー、店のイメージが)
(デカい声で騒ぐなー)
(足を閉じろ! パ○ツ見えてる!)
全ての行動を監視・記録されている事に気づいていない二人。ルーカスはジェシカの肩に手を回し耳元で囁いた。
「ジェシカ、今日時間あるって言ってたよね。この後いつものとこに行く?」
「うふふ、ルーカスったら昨日も行ったばかりですよぉ? エッチなんだからぁ。
気をつけないと赤ちゃん出来ちゃいますよぉ。その前にお父様に会って婚約しないと」
「うん、今家がゴタゴタしてるから、兄上が出て行って父上の機嫌が直ったら直ぐに連れて行くよ」
「でもぉ、婚約破棄大丈夫なんですかぁ?」
「当然だろ? うちは侯爵家でリリアーナは伯爵家だからね。
爵位が上の者から言われたら拒否なんて出来ないんだ。
ジェシカの為に、うんと派手な婚約破棄をしてやるからね」
「うふっ、楽しみですぅ。リリアーナにはいっぱい虐められたからルーカスに泣いて縋るのが見れたら最高ですぅ。
ついでにマチルダ達にも仕返しできたら良いんだけどなぁ」
「ジェシカが侯爵夫人になったら、奴らはみんな君に媚びてくるからその時やり返せばいいさ」
「うふふ、すっごい楽しみぃ」
(人前で耳舐めんな!)
(女! 股間に手を伸ばすな!見えてんぞ)
(やめろー、店のイメージが)
顔を引き攣らせた店員達がプルプルと震える中、肩を抱き寄せたままルーカス達は悠々と店を出て行った。
出て行った二人の後ろ姿を見送ったお店のオーナー。
「二度と来んな! 誰か塩まけ、塩だ!」
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