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7.誰ですか?
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「シエナ、眼鏡外したのね!」
月曜日、リリアーナが教室に着いた時ミリアの明るい声が聞こえてきた。
「ええ、眼鏡がない方が良いと言って下さった方がいらして・・。
無くても特に不便はないので外してみたのですが、いっ如何でしょうか?」
「すごく素敵。やっぱりシエナはお母様に似てるわ。お茶会や夜会に参加したら大変な事になりそう」
ほんのりと頬を染めたシエナを見た周りの生徒が固まった。令息達は頬を染め、令嬢達は驚きで目を丸くしている。
「はぁ、超可愛い・・」
「天使降臨」
「あんな彼女・・いや、妹でもいい」
呆然として呟く男子生徒達を横目に、
「全く、本物の天使をやっと理解したみたいね」
と、何故かドヤ顔のマチルダがいた。
ーーーーーー
午前中の授業が終わり、マチルダの提案で裏庭のテーブル席にお弁当を持って集まった四人組。
「ここならあまり人が来ないからお話ししても大丈夫よね? シエナ、昨日はどうだったの?」
「ええ、とても楽しい時間を過ごせました。リリアーナにはとても感謝していますわ。また・・お時間を作って頂けると仰って下さいましたの」
「十年振りにお会いした感想は? って聞かなくても良さそうね」
「エリオット様ってどんな方?」
「想像と違っていたので凄く吃驚して、失礼な態度をとってしまったんです」
ーーーーーー
お茶会の翌日
応接室に案内されたシエナはソファから立ち上がった人を見て、
「あっあの、お部屋を間違ってしまったようです、失礼しました。家人に声をかけてまいりますので」
慌てて部屋を出ようとしたシエナに、
「待って! 久しぶりだね、シエナ」
「えっエリオット様ですか? 私・・あの」
「ごめん。こんな格好だから分からなかったかな? 家の者に内緒で出てきたんだ。最近はいつもこんな格好をしてて・・こんな大事な時にきちんとした格好ができなくて申し訳ない」
深々と頭を下げるエリオット。
「いえ、あの違うんです。服装ではなくて・・ルーカス様と全然似てらっしゃらないので。失礼な態度をとってしまってこちらこそ申し訳ありませんでした」
父親似のエリオットと母親似のルーカスは全くと言って良いほど似ていない。二人とも身長は高い方だがエリオットはより背が高く線の細い文官タイプで、ルーカスは筋肉質な騎士タイプ。
しかも今日のエリオットの服装は、白いシャツとトラウザーズの平民スタイル。
エリオットに促され正面に座ったシエナは真っ赤な顔をしたまま黙り込んでしまった。
しんと静まった部屋の中、メイドがお茶の準備を済ませドアを半分くらい開けた状態で退出した。
「十年前はとても可愛い女の子だったけど、今は凄く綺麗だ。絵姿もとても綺麗だったけどシエナの美しさは描ききれてなかったんだね」
「えっ絵姿ですか?」
「二年前の誕生日にリリアーナがシエナの絵姿をプレゼントしてくれたんだ。
手紙のやりとりの事は話してなかったんだけど、バレてたみたいで」
「そう言えば一年生の時、リリアーナから突然絵姿が欲しいと言われた覚えがありますわ。絵姿のサイズとかドレスの色とか指示が凄く細かくて不思議でしたの。
あれがエリオット様の元にあるなんて恥ずかしいです」
「金色のリボンと緑のドレスは私の色だからね。
絵姿のサイズは『ルーカスに見つからない様隠して置ける位の大きさにしました!』 って凄い自慢げな顔で渡してくれたんだ。
私の一番の宝物だよ」
「リリアーナのそんな態度・・全然想像がつきませんわ。リリアーナはいつも穏やかでニコニコしてるから」
戸惑いを見せるシエナにエリオットはニヤリと笑って、
「リリアーナは・・・・」
ーーーーーー
「つまり二人仲良くリリアーナの話をして来たの?」
シエナの甘い恋バナを期待していたらしいマチルダが大きな溜息をついた。
「いえ、みんなにお願いがあるの。私達二人に力を貸して下さい」
三人はにっこりと頷いた。
「「「はい、お願いされます」」」
月曜日、リリアーナが教室に着いた時ミリアの明るい声が聞こえてきた。
「ええ、眼鏡がない方が良いと言って下さった方がいらして・・。
無くても特に不便はないので外してみたのですが、いっ如何でしょうか?」
「すごく素敵。やっぱりシエナはお母様に似てるわ。お茶会や夜会に参加したら大変な事になりそう」
ほんのりと頬を染めたシエナを見た周りの生徒が固まった。令息達は頬を染め、令嬢達は驚きで目を丸くしている。
「はぁ、超可愛い・・」
「天使降臨」
「あんな彼女・・いや、妹でもいい」
呆然として呟く男子生徒達を横目に、
「全く、本物の天使をやっと理解したみたいね」
と、何故かドヤ顔のマチルダがいた。
ーーーーーー
午前中の授業が終わり、マチルダの提案で裏庭のテーブル席にお弁当を持って集まった四人組。
「ここならあまり人が来ないからお話ししても大丈夫よね? シエナ、昨日はどうだったの?」
「ええ、とても楽しい時間を過ごせました。リリアーナにはとても感謝していますわ。また・・お時間を作って頂けると仰って下さいましたの」
「十年振りにお会いした感想は? って聞かなくても良さそうね」
「エリオット様ってどんな方?」
「想像と違っていたので凄く吃驚して、失礼な態度をとってしまったんです」
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お茶会の翌日
応接室に案内されたシエナはソファから立ち上がった人を見て、
「あっあの、お部屋を間違ってしまったようです、失礼しました。家人に声をかけてまいりますので」
慌てて部屋を出ようとしたシエナに、
「待って! 久しぶりだね、シエナ」
「えっエリオット様ですか? 私・・あの」
「ごめん。こんな格好だから分からなかったかな? 家の者に内緒で出てきたんだ。最近はいつもこんな格好をしてて・・こんな大事な時にきちんとした格好ができなくて申し訳ない」
深々と頭を下げるエリオット。
「いえ、あの違うんです。服装ではなくて・・ルーカス様と全然似てらっしゃらないので。失礼な態度をとってしまってこちらこそ申し訳ありませんでした」
父親似のエリオットと母親似のルーカスは全くと言って良いほど似ていない。二人とも身長は高い方だがエリオットはより背が高く線の細い文官タイプで、ルーカスは筋肉質な騎士タイプ。
しかも今日のエリオットの服装は、白いシャツとトラウザーズの平民スタイル。
エリオットに促され正面に座ったシエナは真っ赤な顔をしたまま黙り込んでしまった。
しんと静まった部屋の中、メイドがお茶の準備を済ませドアを半分くらい開けた状態で退出した。
「十年前はとても可愛い女の子だったけど、今は凄く綺麗だ。絵姿もとても綺麗だったけどシエナの美しさは描ききれてなかったんだね」
「えっ絵姿ですか?」
「二年前の誕生日にリリアーナがシエナの絵姿をプレゼントしてくれたんだ。
手紙のやりとりの事は話してなかったんだけど、バレてたみたいで」
「そう言えば一年生の時、リリアーナから突然絵姿が欲しいと言われた覚えがありますわ。絵姿のサイズとかドレスの色とか指示が凄く細かくて不思議でしたの。
あれがエリオット様の元にあるなんて恥ずかしいです」
「金色のリボンと緑のドレスは私の色だからね。
絵姿のサイズは『ルーカスに見つからない様隠して置ける位の大きさにしました!』 って凄い自慢げな顔で渡してくれたんだ。
私の一番の宝物だよ」
「リリアーナのそんな態度・・全然想像がつきませんわ。リリアーナはいつも穏やかでニコニコしてるから」
戸惑いを見せるシエナにエリオットはニヤリと笑って、
「リリアーナは・・・・」
ーーーーーー
「つまり二人仲良くリリアーナの話をして来たの?」
シエナの甘い恋バナを期待していたらしいマチルダが大きな溜息をついた。
「いえ、みんなにお願いがあるの。私達二人に力を貸して下さい」
三人はにっこりと頷いた。
「「「はい、お願いされます」」」
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