【完結】期間限定聖女ですから、婚約なんて致しません

との

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00.あの人は今! とうとうざまぁされる

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 この後、レオンのざまぁです。かなりなのか少しなのか⋯⋯グロ~い表現が出ます。

【レオンは家族共々、僕たちがグッロい『ざまぁ』したからね!】

【苦手な子は~、飛ばした方が~、ピッピは良いと思うの~】

【プチホラーにしたモグッ!】

【自分は『善』だと信じて、他者を傷付ける奴が、俺は大っ嫌いなんでね。最大級の苦しみを与えてやらんと気が済まねえ】

 って事で、苦手な方はスキップしていただけると助かります。



























 散々甘えて好き勝手した上に、自分勝手な妄想をロクサーナに押し付けようとしたレオン。

【アイツは徹底的にやってやる!】

【【【賛成!!】】】

【製造元も一緒にシメてやろうぜ】

【臭い匂いは元から立たなきゃ】

リコール自主回収しなさそうだから、送り届けてやろう⋯⋯最愛の息子を恐怖と共に】



 ダンゼリアム王国の卒業パーティーに、国際司法裁判所の裁判官達が雪崩れ込んできた。そのどさくさに紛れ王宮から逃げ出したレオンは、宿に置いていた荷物を纏めて、公国に向かう馬車に乗り込んだ。

『はぁ、ヤバかった~。俺まで巻き込まれそうだったもんな。あんなとこで俺の名前が出たら、パパやママが心配するもんね。
公国で美味しいものでも食べて気分転換しなきゃ。その後は⋯⋯どこに行こうかなぁ。ロクサーナを迎えに行くのは少し時間を空けてからにするとして⋯⋯』

 いまだに現実が理解できていないレオンは、ロクサーナを迎えに行くつもりでいる。

『昔助けてくれた聖女だって、すぐに気付いてあげなかったから拗ねてたのかな?
ママがいつも言ってたもん⋯⋯俺より素敵な男の子はいないから、どんな女の子でも選び放題だって。だから、ちゃんとロクサーナを選んであげたのになぁ』

 公国で妄想を膨らませ⋯⋯ゆっくりと英気を蓄えたレオンは、帝国に向かうことに決めた。

『帝国は武器や弾薬を失って武力が落ちてるから、火魔法が使えるって言えば高待遇で迎えてくれるはず。俺の火魔法で帝国魔法士団を引き上げて⋯⋯その後、ロクサーナを連れていけば⋯⋯』

 レオンの独り言をミュウ達が聞いているとも知らず⋯⋯。

【⋯⋯(こいつが最大の『ざまぁ要員だな)】

【⋯⋯(地獄見せちゃうの~)】



 旅支度を整えて馬を買い、悠々と出発したレオンだったが、公国と帝国の間にある山道を登っている時に、突然目の前が真っ白になって気を失った。



 同じ時⋯⋯レオンの生家、隣国キングスレイ王国のカートレット侯爵の屋敷のあらゆる物が氷で覆われた。天井・壁・床・家具。凍りついた玄関や窓は開かず⋯⋯勿論火が起こせるはずもない。凍りついた魔導具はぴくりとも動かず、魔石は黒く燃え上がりサラサラと乾いた砂に変わった。

『食品庫の食べ物は真面だぞ!』

 歓声を上げて飛びついたパンが手の中で硬い炭に変わり、チーズが腐って悪臭を放ちはじめる。触る前は美味しそうな匂いをさせていた果物が、ネッチョリと糸を垂らし床に転がった。



 慌てふためく家族と使用人が、武器や火かき棒で窓やドアを叩き壊そうとしている騒ぎの中、外出していた者が転移させられた。

『何が起きてるんだ!? 魔法士のしわざか? 一体誰がこんな事を』



 最初の異変から、屋敷を取り囲む塀の中だけが闇に包まれるまでにかかったのは1時間程度だろう。身動きもできない真の暗闇に包まれて、立ち尽くすしかなくなった家族や親族の前に、最後の一人⋯⋯レオンが転移させられた。

 口も顔も動かせないレオンからは、周りの様子が全くわからず悲鳴を上げることもできない。呆然と立ち尽くしていると、人の話し声や微かに動く気配がする。

(ここはどこだ? この音は⋯⋯アンデットか!? 誰が俺にこんな事を⋯⋯アンデットなら逃げなきゃ! 死にたくないよおぉぉ)

【死にはせん。いや、死なせはせんというべきだな。貴様らには、死など手緩すぎる】



 淡い光に照らされているレオンを見つけた家族や親族は『これで助かった!』と思ったのだろう。絶望と恐怖に引き攣っていた顔に笑顔が戻りはじめた。

(レオンなら、この状況をなんとかできるはず⋯⋯レオンの火魔法で氷を溶かせばいいし、闇を照らして逃げ出すぞ!)

 足を踏み出しかけた家族や使用人の前で、レオンの身体に変化が起きた。

(えっ? あ、あれは⋯⋯あの姿はなんだ!? レオンが化け物に⋯⋯)



 全身に黒い刺青が浮かび上がり、眼球を失った目は真っ白に。背中からうねうねと伸びはじめた触手のような蔓の先には、乱杭歯を剥き出した口がついていた。

『夢で見たんだ。だから俺も連れてって』

『ねえお願い、それちょうだい! それくらい別にいいよね』

『俺も欲しい! 連れてって! そのくらいいいじゃん、なんで、なんで、なんで』

 蔓についた口からレオンの声がするたびに、腐った肉の臭いが部屋中に立ち込めた。



『他者を平然と利用する事を教えたのは誰だ!?』

『強欲に育てたのは誰だ!?』

『自分勝手に欲望を押し付け、平然と生きる愚鈍を育てたのは誰だ!?』

『己の都合を優先し、他者を危険に晒す恥知らずを育てたのは誰だ!?』

『高位貴族に産まれた者は、我儘を許され自分勝手でも良いのだと教えたのは誰だ!?』


『パパ、ママ⋯⋯怖いよお、助けて』



【貴様らの息子を返してやろう。欲を掻き、他者の力を利用する事しかできぬ愚かな息子と共に、永遠を生きるがいい】

【餓えに苦しみ、喉の渇きに泣き叫べ。暗闇に怯え、耐え難い凍傷の痛みに慟哭せよ。其方らの最愛で暖をとるか?】

【其方らの育てた大うつけの罪と罰が、光と炎で浄化できるまで⋯⋯どれほどの時が必要か、我ら精霊でさえも予想できぬ】



 レオンの身体から光が消え、青白い炎が燃え上がった。

『ぎゃあ! あつ、熱い! 助けてぇ!』

 転げ回りもがき苦しみはじめたレオンの周りで、呆然と立ち尽くす家族達。

【炎が消えれば暖は取れぬぞ?】

【炎が消えれば氷は溶かせぬぞ?】

【炎が消えれば真の闇に戻るぞ?】



【人を利用し綺麗な上澄だけを貪って生きてきた息子を利用せんのか? そのように育てたのは貴様らであろうに】


(レオンが⋯⋯私達⋯⋯そんなバカな、だって⋯⋯そんな)



【神と精霊は何者にも忖度などせぬ。我らの信ずるままに罰を与えん】

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