12 / 126
12.ガンツは薬草と無駄な知識の師匠
しおりを挟む
「レベッカ、私達は寮に帰るね」
アレコレとうるさい王子と愉快な仲間達や、モブ集団を無視して教室を出たロクサーナ達3人の周りには、トコトコふわふわと3匹の家族兼ペットが飛び回っている。
因みに、他の人達と同様にサブリナとセシルにも見えていないし声も聞こえていない。
「この後ちょっと出かけてくるね」
「食事は? ちゃんと食べないと大きくなんないよ?」
「後で食べる。成長期だもん」
「ロクサーナは昨日もお出かけしてたでしょ? そんなに忙しいのなら、何かお手伝いできないかしら」
「ありがとう、大丈夫だからね」
畑の薬草が気になるから聖王国に帰るとは言えない。
(幻の薬草なんてバレたらセシルが金勘定はじめそうだし、転移が使えるなんて知ったら馬車がわりにされちゃう)
寮の部屋の前でセシル達と別れ、作業用のチュニックに着替えながらウルウルに声をかけた。
(ウルウルは最近何してたの?)
【僕はモグモグにお仕置きしてたんだ~。だってモグモグってばお寝坊さんなんだもん】
土魔法の得意なモグモグは、お気に入りの土を作り終わると潜り込んで寝てしまい、中から出てこなくなる。
世話焼きのウルウルはそれが気になってしょうがないらしい。因みにウルウルはすっごく可愛い僕っ子。
部屋に設置してある監視の為の魔導具を確認して、聖王国の畑にある納屋の中に転移した。
(この匂い⋯⋯はぁ、落ち着く~。おんなじ土や草でも全然違うんだよね。王国って土が痩せてるからか、草や木もカサカサの匂いっていうか)
マイスコップを手に持ち、納屋の扉を開けて先ずは深呼吸。
「お、ロクサーナじゃねえか。ちょうど良かった、ちょいと魔法水作ってくれねえか? それとよお、シルフィウムは問題ねえんだが、コントライェルバがどうも元気がねえ気がするんだよな」
ロクサーナの薬草作りに協力してくれている庭師のガンツがやって来た。
シルフィウムは、暖かい地方の山奥や秘境と呼ばれる辺境地でごくたまに見つかり、高値で取引される事がある。
解熱作用・鎮痛・咳の緩和・消化不良の改善などにも有効なので、是非とも増やしたい。避妊堕胎薬の効果が高いので、医師や薬師の処方は必要だが、多くの生命を救えると思っている。
(温度と湿度に細心の注意を払えば出来なくもないと思うんだけど、避妊堕胎薬になるからって、教会は禁止してる薬草なんだよな~)
コントライェルバは伝説だと言われているくらい珍しい毒消し草。禁書の棚にある最も古い薬草図鑑にしか載っていない、超貴重な薬草。
魔法士が減り続けている状況でコントライェルバの栽培に成功すれば、助かる人は多いだろう。流通している毒消し草は特定の毒にしか効かず、薬効も弱い為本人の体力によるところが大きい。
コントライェルバはあらゆる毒に絶大な効果がある為、乱獲されて絶滅したと言われている薬草。
(実力のある冒険者や辺境地の人達に⋯⋯)
「確かにコンちゃんは元気がないねえ。何が足りないんだろう」
王国に出かける前は元気に育っていたはず。その後に起きたことといえば⋯⋯。
「寂しかったとか?」
「んなわけねえだろ! 毎日声かけて世話してたんだからよ。母ちゃんのケツを追いかけるのを我慢して、せっせと世話してたんだぜ? そのせいで母ちゃんに浮気されたら、ロクサーナのせいにすっからな」
「はいはい、お盛んなことで。苦情はジルベルト司祭におねしゃーす」
ガンツの話にはしょっちゅう下ネタが入るので、ロクサーナのエロ知識の全てはガンツから強制的に入手させられている。
しゃがみ込んでいるロクサーナの横でガンツもしゃがみ溜息をついた。
「う~ん、もしかしたらだけど魔法水を冷やしてみたらどうかなぁ。で、結界張って魔力を充満させる」
目の前で元気なく見えているコントライェルバは、最北端の人が足を踏み入れた事がない地方で発見された。その地域は肺が凍りつくほどの冷気と、息ができなくなるほどの魔力に包まれていた。
「どうやって? ロクサーナみたいに氷魔法使える奴は少ねえし、結界やら魔力充填してくれる奴なんざ、この国にはいねえよ」
「だよね~」
氷魔法は水魔法の上位互換とも言える魔法。水属性持ちが魔法の練度をマックスに上げた時に、稀に出現する貴重なもの。
その為、氷魔法が使える魔法士は他の者達よりもプライドが高い。
「水属性の魔法士さえ、ある程度の実力を身につけたら畑には近寄らねえんだからよ」
『畑の水やりなんかに貴重な魔法を使うなどあり得ん!』
「汎用性が高い分、鼻が高くなっていく水属性魔法士様だもんねえ」
「そういうこと。畑に来る水属性の魔法士は見習いの見習いくらいだぜ」
「納屋にコンちゃん専用魔法水を入れとく保冷庫を設置するしかなさそうだね。
結構大きな物がいりそうだから、場所を作ってもらえる? シルちゃんの魔法水を作ってから、盗難防止でガンツの使用者登録する」
「結界と魔力はどうすんだ?」
「毎朝来る。夜明け前にきて、結界を確認して魔力を充填しとく」
「国二つも離れててよお、結界を張りっぱなしになんか出来んのか?」
「うん、問題ないはず。それで上手くいったら他の薬草にも使えそうだし⋯⋯時間ができたら魔導具作ろうかな」
魔力水を作り保冷庫を設置。薬草畑に認識阻害を掛け直して、雑草取りをしているうちに空が夕暮れに染まりはじめた。
「ヤバい、お昼食べ忘れた! 縮んじゃう」
「それ以上縮んだらポケットに入れて運んでやる。顔は可愛いからロリコン野郎なら喜びそうだけどな」
「げ、ロリコンとショタコンは断る! ボンキュッボンのセクシーレディになって、スローライフするんだもん」
「そこはイケメン捕まえて毎晩ヤリまくるとかじゃねえのかよ」
「滅びろイケメン! 余分なもんがついてる奴なんか、爆裂魔法で木っ端微塵にしてやる」
「なら、百合しかねえな」
「やっだね~! 男も女も人類全て敵だから。ガンツみたいなジジイはちょびっと我慢するけど」
「俺はまだまだバリバリの現役だかんな! 母ちゃんが『もう無理~』とか言うくらい、毎晩元気いっぱいで」
「⋯⋯加齢臭」
「え? マジで⋯⋯消臭と浄化魔法してくれんか?」
「銀貨1枚」
「お前、友達から金とんの?」
「人は悪、金は正義⋯⋯夜が益々楽しくなる薬付きなら、銀貨2枚」
「すぐ財布とってくる、待ってろ! いいか、絶対、ぜーったい帰るなよ! よっしゃあー!」
(薬に頼るようになったら、すでにジジイ⋯⋯毎度あり~)
薬を手にソワソワするガンツに手を振って寮の部屋に転移した。
(お腹すいた。着替えて食堂に行けばちょうど良さそう)
ロクサーナの部屋にはシャワールームやトイレがない為、《クリーン》をかけて着替えを済ませ、魔導具を確認してから部屋を出る。
セシルの部屋のドアをノックすると、青褪めた顔で右手がインクだらけの部屋の主が顔を出した。
「ロクサーナ、助けてぇ」
(そう言えば、セシルって座学苦手だった)
「試験範囲に天文学が入ってるんだよ~、もう無理~」
「んじゃ、夕食の後で勉強会しよう」
サブリナにも声をかけて食堂に向かうと、チラホラと座って食事している寮生達もセシルと同じ青い顔をしている。
「今回の試験範囲、酷すぎませんこと?」
「入学前に聞いていたのと違いすぎですわ!」
「赤点を取ったら補習とかありそう」
「セシル、仲間がたくさんいて良かったね」
アレコレとうるさい王子と愉快な仲間達や、モブ集団を無視して教室を出たロクサーナ達3人の周りには、トコトコふわふわと3匹の家族兼ペットが飛び回っている。
因みに、他の人達と同様にサブリナとセシルにも見えていないし声も聞こえていない。
「この後ちょっと出かけてくるね」
「食事は? ちゃんと食べないと大きくなんないよ?」
「後で食べる。成長期だもん」
「ロクサーナは昨日もお出かけしてたでしょ? そんなに忙しいのなら、何かお手伝いできないかしら」
「ありがとう、大丈夫だからね」
畑の薬草が気になるから聖王国に帰るとは言えない。
(幻の薬草なんてバレたらセシルが金勘定はじめそうだし、転移が使えるなんて知ったら馬車がわりにされちゃう)
寮の部屋の前でセシル達と別れ、作業用のチュニックに着替えながらウルウルに声をかけた。
(ウルウルは最近何してたの?)
【僕はモグモグにお仕置きしてたんだ~。だってモグモグってばお寝坊さんなんだもん】
土魔法の得意なモグモグは、お気に入りの土を作り終わると潜り込んで寝てしまい、中から出てこなくなる。
世話焼きのウルウルはそれが気になってしょうがないらしい。因みにウルウルはすっごく可愛い僕っ子。
部屋に設置してある監視の為の魔導具を確認して、聖王国の畑にある納屋の中に転移した。
(この匂い⋯⋯はぁ、落ち着く~。おんなじ土や草でも全然違うんだよね。王国って土が痩せてるからか、草や木もカサカサの匂いっていうか)
マイスコップを手に持ち、納屋の扉を開けて先ずは深呼吸。
「お、ロクサーナじゃねえか。ちょうど良かった、ちょいと魔法水作ってくれねえか? それとよお、シルフィウムは問題ねえんだが、コントライェルバがどうも元気がねえ気がするんだよな」
ロクサーナの薬草作りに協力してくれている庭師のガンツがやって来た。
シルフィウムは、暖かい地方の山奥や秘境と呼ばれる辺境地でごくたまに見つかり、高値で取引される事がある。
解熱作用・鎮痛・咳の緩和・消化不良の改善などにも有効なので、是非とも増やしたい。避妊堕胎薬の効果が高いので、医師や薬師の処方は必要だが、多くの生命を救えると思っている。
(温度と湿度に細心の注意を払えば出来なくもないと思うんだけど、避妊堕胎薬になるからって、教会は禁止してる薬草なんだよな~)
コントライェルバは伝説だと言われているくらい珍しい毒消し草。禁書の棚にある最も古い薬草図鑑にしか載っていない、超貴重な薬草。
魔法士が減り続けている状況でコントライェルバの栽培に成功すれば、助かる人は多いだろう。流通している毒消し草は特定の毒にしか効かず、薬効も弱い為本人の体力によるところが大きい。
コントライェルバはあらゆる毒に絶大な効果がある為、乱獲されて絶滅したと言われている薬草。
(実力のある冒険者や辺境地の人達に⋯⋯)
「確かにコンちゃんは元気がないねえ。何が足りないんだろう」
王国に出かける前は元気に育っていたはず。その後に起きたことといえば⋯⋯。
「寂しかったとか?」
「んなわけねえだろ! 毎日声かけて世話してたんだからよ。母ちゃんのケツを追いかけるのを我慢して、せっせと世話してたんだぜ? そのせいで母ちゃんに浮気されたら、ロクサーナのせいにすっからな」
「はいはい、お盛んなことで。苦情はジルベルト司祭におねしゃーす」
ガンツの話にはしょっちゅう下ネタが入るので、ロクサーナのエロ知識の全てはガンツから強制的に入手させられている。
しゃがみ込んでいるロクサーナの横でガンツもしゃがみ溜息をついた。
「う~ん、もしかしたらだけど魔法水を冷やしてみたらどうかなぁ。で、結界張って魔力を充満させる」
目の前で元気なく見えているコントライェルバは、最北端の人が足を踏み入れた事がない地方で発見された。その地域は肺が凍りつくほどの冷気と、息ができなくなるほどの魔力に包まれていた。
「どうやって? ロクサーナみたいに氷魔法使える奴は少ねえし、結界やら魔力充填してくれる奴なんざ、この国にはいねえよ」
「だよね~」
氷魔法は水魔法の上位互換とも言える魔法。水属性持ちが魔法の練度をマックスに上げた時に、稀に出現する貴重なもの。
その為、氷魔法が使える魔法士は他の者達よりもプライドが高い。
「水属性の魔法士さえ、ある程度の実力を身につけたら畑には近寄らねえんだからよ」
『畑の水やりなんかに貴重な魔法を使うなどあり得ん!』
「汎用性が高い分、鼻が高くなっていく水属性魔法士様だもんねえ」
「そういうこと。畑に来る水属性の魔法士は見習いの見習いくらいだぜ」
「納屋にコンちゃん専用魔法水を入れとく保冷庫を設置するしかなさそうだね。
結構大きな物がいりそうだから、場所を作ってもらえる? シルちゃんの魔法水を作ってから、盗難防止でガンツの使用者登録する」
「結界と魔力はどうすんだ?」
「毎朝来る。夜明け前にきて、結界を確認して魔力を充填しとく」
「国二つも離れててよお、結界を張りっぱなしになんか出来んのか?」
「うん、問題ないはず。それで上手くいったら他の薬草にも使えそうだし⋯⋯時間ができたら魔導具作ろうかな」
魔力水を作り保冷庫を設置。薬草畑に認識阻害を掛け直して、雑草取りをしているうちに空が夕暮れに染まりはじめた。
「ヤバい、お昼食べ忘れた! 縮んじゃう」
「それ以上縮んだらポケットに入れて運んでやる。顔は可愛いからロリコン野郎なら喜びそうだけどな」
「げ、ロリコンとショタコンは断る! ボンキュッボンのセクシーレディになって、スローライフするんだもん」
「そこはイケメン捕まえて毎晩ヤリまくるとかじゃねえのかよ」
「滅びろイケメン! 余分なもんがついてる奴なんか、爆裂魔法で木っ端微塵にしてやる」
「なら、百合しかねえな」
「やっだね~! 男も女も人類全て敵だから。ガンツみたいなジジイはちょびっと我慢するけど」
「俺はまだまだバリバリの現役だかんな! 母ちゃんが『もう無理~』とか言うくらい、毎晩元気いっぱいで」
「⋯⋯加齢臭」
「え? マジで⋯⋯消臭と浄化魔法してくれんか?」
「銀貨1枚」
「お前、友達から金とんの?」
「人は悪、金は正義⋯⋯夜が益々楽しくなる薬付きなら、銀貨2枚」
「すぐ財布とってくる、待ってろ! いいか、絶対、ぜーったい帰るなよ! よっしゃあー!」
(薬に頼るようになったら、すでにジジイ⋯⋯毎度あり~)
薬を手にソワソワするガンツに手を振って寮の部屋に転移した。
(お腹すいた。着替えて食堂に行けばちょうど良さそう)
ロクサーナの部屋にはシャワールームやトイレがない為、《クリーン》をかけて着替えを済ませ、魔導具を確認してから部屋を出る。
セシルの部屋のドアをノックすると、青褪めた顔で右手がインクだらけの部屋の主が顔を出した。
「ロクサーナ、助けてぇ」
(そう言えば、セシルって座学苦手だった)
「試験範囲に天文学が入ってるんだよ~、もう無理~」
「んじゃ、夕食の後で勉強会しよう」
サブリナにも声をかけて食堂に向かうと、チラホラと座って食事している寮生達もセシルと同じ青い顔をしている。
「今回の試験範囲、酷すぎませんこと?」
「入学前に聞いていたのと違いすぎですわ!」
「赤点を取ったら補習とかありそう」
「セシル、仲間がたくさんいて良かったね」
31
お気に入りに追加
2,488
あなたにおすすめの小説
聖女であることを隠す公爵令嬢は国外で幸せになりたい
カレイ
恋愛
公爵令嬢オデットはある日、浮気というありもしない罪で国外追放を受けた。それは王太子妃として王族に嫁いだ姉が仕組んだことで。
聖女の力で虐待を受ける弟ルイスを護っていたオデットは、やっと巡ってきたチャンスだとばかりにルイスを連れ、その日のうちに国を出ることに。しかしそれも一筋縄ではいかず敵が塞がるばかり。
その度に助けてくれるのは、侍女のティアナと、何故か浮気相手と疑われた副騎士団長のサイアス。謎にスキルの高い二人と行動を共にしながら、オデットはルイスを救うため奮闘する。
※胸糞悪いシーンがいくつかあります。苦手な方はお気をつけください。
《勘違い》で婚約破棄された令嬢は失意のうちに自殺しました。
友坂 悠
ファンタジー
「婚約を考え直そう」
貴族院の卒業パーティーの会場で、婚約者フリードよりそう告げられたエルザ。
「それは、婚約を破棄されるとそういうことなのでしょうか?」
耳を疑いそう聞き返すも、
「君も、その方が良いのだろう?」
苦虫を噛み潰すように、そう吐き出すフリードに。
全てに絶望し、失意のうちに自死を選ぶエルザ。
絶景と評判の観光地でありながら、自殺の名所としても知られる断崖絶壁から飛び降りた彼女。
だったのですが。
「聖女はもう用済み」と言って私を追放した国は、今や崩壊寸前です。私が戻れば危機を救えるようですが、私はもう、二度と国には戻りません【完結】
小平ニコ
ファンタジー
聖女として、ずっと国の平和を守ってきたラスティーナ。だがある日、婚約者であるウルナイト王子に、「聖女とか、そういうのもういいんで、国から出てってもらえます?」と言われ、国を追放される。
これからは、ウルナイト王子が召喚術で呼び出した『魔獣』が国の守護をするので、ラスティーナはもう用済みとのことらしい。王も、重臣たちも、国民すらも、嘲りの笑みを浮かべるばかりで、誰もラスティーナを庇ってはくれなかった。
失意の中、ラスティーナは国を去り、隣国に移り住む。
無慈悲に追放されたことで、しばらくは人間不信気味だったラスティーナだが、優しい人たちと出会い、現在は、平凡ながらも幸せな日々を過ごしていた。
そんなある日のこと。
ラスティーナは新聞の記事で、自分を追放した国が崩壊寸前であることを知る。
『自分が戻れば国を救えるかもしれない』と思うラスティーナだったが、新聞に書いてあった『ある情報』を読んだことで、国を救いたいという気持ちは、一気に無くなってしまう。
そしてラスティーナは、決別の言葉を、ハッキリと口にするのだった……
私は王子の婚約者にはなりたくありません。
黒蜜きな粉
恋愛
公爵令嬢との婚約を破棄し、異世界からやってきた聖女と結ばれた王子。
愛を誓い合い仲睦まじく過ごす二人。しかし、そのままハッピーエンドとはならなかった。
いつからか二人はすれ違い、愛はすっかり冷めてしまった。
そんな中、主人公のメリッサは留学先の学校の長期休暇で帰国。
父と共に招かれた夜会に顔を出すと、そこでなぜか王子に見染められてしまった。
しかも、公衆の面前で王子にキスをされ逃げられない状況になってしまう。
なんとしてもメリッサを新たな婚約者にしたい王子。
さっさと留学先に戻りたいメリッサ。
そこへ聖女があらわれて――
婚約破棄のその後に起きる物語
婚約破棄されたので、聖女になりました。けど、こんな国の為には働けません。自分の王国を建設します。
ぽっちゃりおっさん
恋愛
公爵であるアルフォンス家一人息子ボクリアと婚約していた貴族の娘サラ。
しかし公爵から一方的に婚約破棄を告げられる。
屈辱の日々を送っていたサラは、15歳の洗礼を受ける日に【聖女】としての啓示を受けた。
【聖女】としてのスタートを切るが、幸運を祈る相手が、あの憎っくきアルフォンス家であった。
差別主義者のアルフォンス家の為には、祈る気にはなれず、サラは国を飛び出してしまう。
そこでサラが取った決断は?
妹が真の聖女だったので、偽りの聖女である私は追放されました。でも、聖女の役目はものすごく退屈だったので、最高に嬉しいです【完結】
小平ニコ
ファンタジー
「お姉様、よくも私から夢を奪ってくれたわね。絶対に許さない」
私の妹――シャノーラはそう言うと、計略を巡らし、私から聖女の座を奪った。……でも、私は最高に良い気分だった。だって私、もともと聖女なんかになりたくなかったから。
退職金を貰い、大喜びで国を出た私は、『真の聖女』として国を守る立場になったシャノーラのことを思った。……あの子、聖女になって、一日の休みもなく国を守るのがどれだけ大変なことか、ちゃんと分かってるのかしら?
案の定、シャノーラはよく理解していなかった。
聖女として役目を果たしていくのが、とてつもなく困難な道であることを……
妾の子と蔑まれていた公爵令嬢は、聖女の才能を持つ存在でした。今更態度を改められても、許すことはできません。
木山楽斗
恋愛
私の名前は、ナルネア・クーテイン。エルビネア王国に暮らす公爵令嬢である。
といっても、私を公爵令嬢といっていいのかどうかはわからない。なぜなら、私は現当主と浮気相手との間にできた子供であるからだ。
公爵家の人々は、私のことを妾の子と言って罵倒してくる。その辛い言葉にも、いつしかなれるようになっていた。
屋敷の屋根裏部屋に閉じ込められながら、私は窮屈な生活を続けていた。このまま、公爵家の人々に蔑まれながら生きていくしかないと諦めていたのだ。
ある日、家に第三王子であるフリムド様が訪ねて来た。
そこで起こった出来事をきっかけに、私は自身に聖女の才能があることを知るのだった。
その才能を見込まれて、フリムド様は私を気にかけるようになっていた。私が、聖女になることを期待してくれるようになったのである。
そんな私に対して、公爵家の人々は態度を少し変えていた。
どうやら、私が聖女の才能があるから、媚を売ってきているようだ。
しかし、今更そんなことをされてもいい気分にはならない。今までの罵倒を許すことなどできないのである。
※下記の関連作品を読むと、より楽しめると思います。
【4話完結】聖女に陥れられ婚約破棄・国外追放となりましたので出て行きます~そして私はほくそ笑む
リオール
恋愛
言いがかりともとれる事で王太子から婚約破棄・国外追放を言い渡された公爵令嬢。
悔しさを胸に立ち去ろうとした令嬢に聖女が言葉をかけるのだった。
そのとんでもない発言に、ショックを受ける公爵令嬢。
果たして最後にほくそ笑むのは誰なのか──
※全4話
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる