4 / 126
4.子供だからって舐めてるよね
しおりを挟む
衛兵が立つ両開きの重い扉が開き、赤い絨毯が玉座まで真っ直ぐに敷かれている。
高い天井には大小のシャンデリアがキラキラと輝き、ピカピカに磨かれた大理石の床に影を落としている。
壁を背に一列に並んでいるのは大臣や貴族だろう、それぞれが意匠を凝らした流行のジュストコールを身につけている。
袖口が折り返された丈の長いコートとウエストコート、膝丈のブリーチズ。袖口にはレースをあしらい、凝った結び方のクラバットには大粒の宝石が輝き、精密な模様の刺繍は創意工夫に溢れている。
当然ながら、玉座の国王は彼等以上の豪華さ。大量の宝石で飾られたマントだけでなく、先の尖った靴にも宝石がキラキラと輝いていた。
(魔法士の派遣費用が払えない国なのに随分と豪奢な。よく見ると建物の内装も新しいし、絨毯やカーテンもかなり新しそう。
ジルベルト司祭やアリエス様から聞いてた話と随分違ってる。な~んか、違和感バリバリ)
「楽にするがよい。国王のシュルツ・ダンゼリアムだ。隣におるは王妃のエスメラルダとアーノルド第二王子。遠い聖王国からよく来てくれた」
「勇猛なる獅子ダンゼリアム国王陛下にご挨拶申し上げます。
聖王国より参りましたロクサーナ・バーラムと申します。左からサブリナ・セルバン、セシル・ファーラム、レベッカ・マックバーン。いずれも教会に所属しております。
ダンゼリアム王国の王立学園へ、留学生として迎え入れていただきました事、心よりお礼申し上げます」
「ふむ、其方達は15歳の若さで治癒魔法が使えると言うことか? 普段アリエス達と交流しておったので、どうも頼りなげに見えてしまうのじゃが」
国王の不安は当然だろう。ロクサーナ達の年齢はアリエス達の半分に近く、経験年数で言えば格段の差がある。
「それぞれ得意属性は異なりますが、それなりに」
4人の中で治癒魔法が使える順番で言えば、ロクサーナ、セシル、サブリナ、レベッカの順になる。
(嘘は言ってない! うん、大丈夫。レベッカがいる以上使えると言い切る事は出来ないけど、嘘は言ってない。サブリナとレベッカは水属性)
水属性を持つ魔法士には中級魔法で、傷口の殺菌消毒と再生の促進を促す効果がある『ヒールミスト』がある。
どの魔法でもそうだが魔力操作や魔法の練度によって効果は大きく変わる。
ジルベルト司祭のせいで、国王の質問に肯定も否定もできないと言う、非常に危険な立場に追いやられたロクサーナ。
「どの国も年々魔法士が減っていると言うのに、さすが聖王国ねえ。これから学園に入る子供が既に魔法士として名乗りを上げることができるなんて⋯⋯一つの国がその力を抱え込むなんて、随分と傲慢じゃないかしら」
エスメラルダ王妃の声には明らかな苛立ちが浮かんでいる。
(聖王国だって問題抱えてるんだよ~、みんな知らないから、勝手なこと言うけどさ)
「聖王国では魔法士や聖女を自国のみに抱え込むことなく、依頼を受けた国に派遣しております。国の方針は私どもには分かりかねますが⋯⋯災害への救援など、できる限り迅速に対応するよう努めております」
「このような幼い子供達には国の思惑など理解できまい。いずれは、聖王国から魔法士が自発的に移住するやも知れん」
(それはないんじゃないかなあ。聖王国より給与がいいのは帝国くらいだけど、待遇は奴隷並みだって言うし)
「陛下、発言のご許可をいただきたく」
「ヒッコリー内務大臣か、申してみよ」
「魔法士の取り扱いについて一つお願いがございます。平日は学園があるとしても、週末は魔法士として活動すると聞いております。スケジュールは立てておりますが、4人の能力の確認時間を早急にいただきたいと存じます」
「そうよの、ぶらぶらさせていては勿体ない。それなりに⋯⋯より有効に働いてもらわねばな」
ピシピシピシッとロクサーナの仮面に大量の罅が入り、眉間の皺が見えそうになる。
(ヤバいヤバいヤバい! 能面、無表情キープ⋯⋯)
「恐れながら申し上げます。仕事につきましては、聖王国を通していただくよう申しつかっております。私達は聖王国の教会に所属しておりますので、上司の許可なく仕事を受ける事は禁じられております」
「なんと! 我が国に世話になっておきながら協力はしたくないだと!?」
「我が国の金で遊び呆けるつもりか!」
「たかが魔法士、しかも役に立つかどうかも分からん子供のくせに!」
歓迎ムードはどこかへ消え失せ、あちこちから非難の声が上がりはじめた。
(こう言うのってよくあるんだよね~。腹立つけど。ついでにこれもやっておけとか、これもできるだろうとかって無料の奉仕活動を押し付けてくるやつ。子供だと思って舐めてるよね)
「融通が利かぬのは子供の特権やもしれぬが⋯⋯」
国王がロクサーナを睨みつけているが、所詮人の子の魔力がのっていないただの威圧。ロクサーナには蚊に刺されほどの衝撃もない。
「後からわけのわからぬ難癖をつけられても国の体面に関わりますし、私の方で聖王国に確認をとりましょう。許可が下り次第仕事をしていただきます。よろしいですね!」
学費も寮費も、その他にかかる費用も全て聖王国持ちだと聞いているロクサーナのテンションは、最低ラインを突破してもまだ下がり続けている。
(なんか聞いてた話と違いすぎて⋯⋯このまま帰ろうかなぁって思うんだけど)
チラッと横を見るとセアラとサブリナも同じことを考えているように見えた。
(レベッカはよく分かんないけど、『帰りたい人だけ帰る』で良いんじゃないかな。これ、絶対揉め事が起きるよね)
「王太子のグレイソンは他国へ遊学に行っておるが、第二王子のアーノルドは其方達と共に学園に通うことが決まっておる」
「アーノルドです。同級生となるので楽しみにしてるよ」
顔付きも体型も国王によく似たアーノルド第二王子は、ダークブロンドと濃茶の瞳。肩幅が広くがっしりとした体型は剣士タイプだろう。
「寮暮らしは大変だと思うから、困ったことがあればいつでも声をかけていいからね。私の側近候補にも会っておけば良いかも。明日の朝連絡を入れてあげるから、楽しみにしていて」
「お心遣い痛み入ります」
ようやく終わるかと期待したが、4人の得意魔法やこれまでの実績を聞きたがる人に囲まれて、延々と説明させられる事態になった。
彼等が特に聞きたがったのは⋯⋯。
「上位魔法が使える魔法士がどれくらいいるのかな?」
「神級魔法を使える魔法士はいるのかい?」
「移住した魔法士はいるんだろう?」
「帝国とは特別な契約をしてるんじゃないか?」
「聖王国には精霊や妖精がいるのかい?」
「精霊でも妖精でも構わないから、分けてくれないか?」
「加護をもらう方法を教えてくれ」
ダラダラと無駄に時間をかけた謁見が終わった時には、セシルとサブリナは青褪め、ロクサーナはブチギレそうになっていた。
レベッカ? 楽しそうにしてました、はい。
(もう嫌ぁぁぁ~!!)
【プチってする? エリアはどこまでにする?】
(⋯⋯それもなんか嫌だから。取り敢えず寮に行って、ジルベルト司祭をネチネチ虐めて遊ぼう! よし!)
高い天井には大小のシャンデリアがキラキラと輝き、ピカピカに磨かれた大理石の床に影を落としている。
壁を背に一列に並んでいるのは大臣や貴族だろう、それぞれが意匠を凝らした流行のジュストコールを身につけている。
袖口が折り返された丈の長いコートとウエストコート、膝丈のブリーチズ。袖口にはレースをあしらい、凝った結び方のクラバットには大粒の宝石が輝き、精密な模様の刺繍は創意工夫に溢れている。
当然ながら、玉座の国王は彼等以上の豪華さ。大量の宝石で飾られたマントだけでなく、先の尖った靴にも宝石がキラキラと輝いていた。
(魔法士の派遣費用が払えない国なのに随分と豪奢な。よく見ると建物の内装も新しいし、絨毯やカーテンもかなり新しそう。
ジルベルト司祭やアリエス様から聞いてた話と随分違ってる。な~んか、違和感バリバリ)
「楽にするがよい。国王のシュルツ・ダンゼリアムだ。隣におるは王妃のエスメラルダとアーノルド第二王子。遠い聖王国からよく来てくれた」
「勇猛なる獅子ダンゼリアム国王陛下にご挨拶申し上げます。
聖王国より参りましたロクサーナ・バーラムと申します。左からサブリナ・セルバン、セシル・ファーラム、レベッカ・マックバーン。いずれも教会に所属しております。
ダンゼリアム王国の王立学園へ、留学生として迎え入れていただきました事、心よりお礼申し上げます」
「ふむ、其方達は15歳の若さで治癒魔法が使えると言うことか? 普段アリエス達と交流しておったので、どうも頼りなげに見えてしまうのじゃが」
国王の不安は当然だろう。ロクサーナ達の年齢はアリエス達の半分に近く、経験年数で言えば格段の差がある。
「それぞれ得意属性は異なりますが、それなりに」
4人の中で治癒魔法が使える順番で言えば、ロクサーナ、セシル、サブリナ、レベッカの順になる。
(嘘は言ってない! うん、大丈夫。レベッカがいる以上使えると言い切る事は出来ないけど、嘘は言ってない。サブリナとレベッカは水属性)
水属性を持つ魔法士には中級魔法で、傷口の殺菌消毒と再生の促進を促す効果がある『ヒールミスト』がある。
どの魔法でもそうだが魔力操作や魔法の練度によって効果は大きく変わる。
ジルベルト司祭のせいで、国王の質問に肯定も否定もできないと言う、非常に危険な立場に追いやられたロクサーナ。
「どの国も年々魔法士が減っていると言うのに、さすが聖王国ねえ。これから学園に入る子供が既に魔法士として名乗りを上げることができるなんて⋯⋯一つの国がその力を抱え込むなんて、随分と傲慢じゃないかしら」
エスメラルダ王妃の声には明らかな苛立ちが浮かんでいる。
(聖王国だって問題抱えてるんだよ~、みんな知らないから、勝手なこと言うけどさ)
「聖王国では魔法士や聖女を自国のみに抱え込むことなく、依頼を受けた国に派遣しております。国の方針は私どもには分かりかねますが⋯⋯災害への救援など、できる限り迅速に対応するよう努めております」
「このような幼い子供達には国の思惑など理解できまい。いずれは、聖王国から魔法士が自発的に移住するやも知れん」
(それはないんじゃないかなあ。聖王国より給与がいいのは帝国くらいだけど、待遇は奴隷並みだって言うし)
「陛下、発言のご許可をいただきたく」
「ヒッコリー内務大臣か、申してみよ」
「魔法士の取り扱いについて一つお願いがございます。平日は学園があるとしても、週末は魔法士として活動すると聞いております。スケジュールは立てておりますが、4人の能力の確認時間を早急にいただきたいと存じます」
「そうよの、ぶらぶらさせていては勿体ない。それなりに⋯⋯より有効に働いてもらわねばな」
ピシピシピシッとロクサーナの仮面に大量の罅が入り、眉間の皺が見えそうになる。
(ヤバいヤバいヤバい! 能面、無表情キープ⋯⋯)
「恐れながら申し上げます。仕事につきましては、聖王国を通していただくよう申しつかっております。私達は聖王国の教会に所属しておりますので、上司の許可なく仕事を受ける事は禁じられております」
「なんと! 我が国に世話になっておきながら協力はしたくないだと!?」
「我が国の金で遊び呆けるつもりか!」
「たかが魔法士、しかも役に立つかどうかも分からん子供のくせに!」
歓迎ムードはどこかへ消え失せ、あちこちから非難の声が上がりはじめた。
(こう言うのってよくあるんだよね~。腹立つけど。ついでにこれもやっておけとか、これもできるだろうとかって無料の奉仕活動を押し付けてくるやつ。子供だと思って舐めてるよね)
「融通が利かぬのは子供の特権やもしれぬが⋯⋯」
国王がロクサーナを睨みつけているが、所詮人の子の魔力がのっていないただの威圧。ロクサーナには蚊に刺されほどの衝撃もない。
「後からわけのわからぬ難癖をつけられても国の体面に関わりますし、私の方で聖王国に確認をとりましょう。許可が下り次第仕事をしていただきます。よろしいですね!」
学費も寮費も、その他にかかる費用も全て聖王国持ちだと聞いているロクサーナのテンションは、最低ラインを突破してもまだ下がり続けている。
(なんか聞いてた話と違いすぎて⋯⋯このまま帰ろうかなぁって思うんだけど)
チラッと横を見るとセアラとサブリナも同じことを考えているように見えた。
(レベッカはよく分かんないけど、『帰りたい人だけ帰る』で良いんじゃないかな。これ、絶対揉め事が起きるよね)
「王太子のグレイソンは他国へ遊学に行っておるが、第二王子のアーノルドは其方達と共に学園に通うことが決まっておる」
「アーノルドです。同級生となるので楽しみにしてるよ」
顔付きも体型も国王によく似たアーノルド第二王子は、ダークブロンドと濃茶の瞳。肩幅が広くがっしりとした体型は剣士タイプだろう。
「寮暮らしは大変だと思うから、困ったことがあればいつでも声をかけていいからね。私の側近候補にも会っておけば良いかも。明日の朝連絡を入れてあげるから、楽しみにしていて」
「お心遣い痛み入ります」
ようやく終わるかと期待したが、4人の得意魔法やこれまでの実績を聞きたがる人に囲まれて、延々と説明させられる事態になった。
彼等が特に聞きたがったのは⋯⋯。
「上位魔法が使える魔法士がどれくらいいるのかな?」
「神級魔法を使える魔法士はいるのかい?」
「移住した魔法士はいるんだろう?」
「帝国とは特別な契約をしてるんじゃないか?」
「聖王国には精霊や妖精がいるのかい?」
「精霊でも妖精でも構わないから、分けてくれないか?」
「加護をもらう方法を教えてくれ」
ダラダラと無駄に時間をかけた謁見が終わった時には、セシルとサブリナは青褪め、ロクサーナはブチギレそうになっていた。
レベッカ? 楽しそうにしてました、はい。
(もう嫌ぁぁぁ~!!)
【プチってする? エリアはどこまでにする?】
(⋯⋯それもなんか嫌だから。取り敢えず寮に行って、ジルベルト司祭をネチネチ虐めて遊ぼう! よし!)
41
お気に入りに追加
2,488
あなたにおすすめの小説
聖女であることを隠す公爵令嬢は国外で幸せになりたい
カレイ
恋愛
公爵令嬢オデットはある日、浮気というありもしない罪で国外追放を受けた。それは王太子妃として王族に嫁いだ姉が仕組んだことで。
聖女の力で虐待を受ける弟ルイスを護っていたオデットは、やっと巡ってきたチャンスだとばかりにルイスを連れ、その日のうちに国を出ることに。しかしそれも一筋縄ではいかず敵が塞がるばかり。
その度に助けてくれるのは、侍女のティアナと、何故か浮気相手と疑われた副騎士団長のサイアス。謎にスキルの高い二人と行動を共にしながら、オデットはルイスを救うため奮闘する。
※胸糞悪いシーンがいくつかあります。苦手な方はお気をつけください。
《勘違い》で婚約破棄された令嬢は失意のうちに自殺しました。
友坂 悠
ファンタジー
「婚約を考え直そう」
貴族院の卒業パーティーの会場で、婚約者フリードよりそう告げられたエルザ。
「それは、婚約を破棄されるとそういうことなのでしょうか?」
耳を疑いそう聞き返すも、
「君も、その方が良いのだろう?」
苦虫を噛み潰すように、そう吐き出すフリードに。
全てに絶望し、失意のうちに自死を選ぶエルザ。
絶景と評判の観光地でありながら、自殺の名所としても知られる断崖絶壁から飛び降りた彼女。
だったのですが。
「聖女はもう用済み」と言って私を追放した国は、今や崩壊寸前です。私が戻れば危機を救えるようですが、私はもう、二度と国には戻りません【完結】
小平ニコ
ファンタジー
聖女として、ずっと国の平和を守ってきたラスティーナ。だがある日、婚約者であるウルナイト王子に、「聖女とか、そういうのもういいんで、国から出てってもらえます?」と言われ、国を追放される。
これからは、ウルナイト王子が召喚術で呼び出した『魔獣』が国の守護をするので、ラスティーナはもう用済みとのことらしい。王も、重臣たちも、国民すらも、嘲りの笑みを浮かべるばかりで、誰もラスティーナを庇ってはくれなかった。
失意の中、ラスティーナは国を去り、隣国に移り住む。
無慈悲に追放されたことで、しばらくは人間不信気味だったラスティーナだが、優しい人たちと出会い、現在は、平凡ながらも幸せな日々を過ごしていた。
そんなある日のこと。
ラスティーナは新聞の記事で、自分を追放した国が崩壊寸前であることを知る。
『自分が戻れば国を救えるかもしれない』と思うラスティーナだったが、新聞に書いてあった『ある情報』を読んだことで、国を救いたいという気持ちは、一気に無くなってしまう。
そしてラスティーナは、決別の言葉を、ハッキリと口にするのだった……
私は王子の婚約者にはなりたくありません。
黒蜜きな粉
恋愛
公爵令嬢との婚約を破棄し、異世界からやってきた聖女と結ばれた王子。
愛を誓い合い仲睦まじく過ごす二人。しかし、そのままハッピーエンドとはならなかった。
いつからか二人はすれ違い、愛はすっかり冷めてしまった。
そんな中、主人公のメリッサは留学先の学校の長期休暇で帰国。
父と共に招かれた夜会に顔を出すと、そこでなぜか王子に見染められてしまった。
しかも、公衆の面前で王子にキスをされ逃げられない状況になってしまう。
なんとしてもメリッサを新たな婚約者にしたい王子。
さっさと留学先に戻りたいメリッサ。
そこへ聖女があらわれて――
婚約破棄のその後に起きる物語
婚約破棄されたので、聖女になりました。けど、こんな国の為には働けません。自分の王国を建設します。
ぽっちゃりおっさん
恋愛
公爵であるアルフォンス家一人息子ボクリアと婚約していた貴族の娘サラ。
しかし公爵から一方的に婚約破棄を告げられる。
屈辱の日々を送っていたサラは、15歳の洗礼を受ける日に【聖女】としての啓示を受けた。
【聖女】としてのスタートを切るが、幸運を祈る相手が、あの憎っくきアルフォンス家であった。
差別主義者のアルフォンス家の為には、祈る気にはなれず、サラは国を飛び出してしまう。
そこでサラが取った決断は?
妹が真の聖女だったので、偽りの聖女である私は追放されました。でも、聖女の役目はものすごく退屈だったので、最高に嬉しいです【完結】
小平ニコ
ファンタジー
「お姉様、よくも私から夢を奪ってくれたわね。絶対に許さない」
私の妹――シャノーラはそう言うと、計略を巡らし、私から聖女の座を奪った。……でも、私は最高に良い気分だった。だって私、もともと聖女なんかになりたくなかったから。
退職金を貰い、大喜びで国を出た私は、『真の聖女』として国を守る立場になったシャノーラのことを思った。……あの子、聖女になって、一日の休みもなく国を守るのがどれだけ大変なことか、ちゃんと分かってるのかしら?
案の定、シャノーラはよく理解していなかった。
聖女として役目を果たしていくのが、とてつもなく困難な道であることを……
妾の子と蔑まれていた公爵令嬢は、聖女の才能を持つ存在でした。今更態度を改められても、許すことはできません。
木山楽斗
恋愛
私の名前は、ナルネア・クーテイン。エルビネア王国に暮らす公爵令嬢である。
といっても、私を公爵令嬢といっていいのかどうかはわからない。なぜなら、私は現当主と浮気相手との間にできた子供であるからだ。
公爵家の人々は、私のことを妾の子と言って罵倒してくる。その辛い言葉にも、いつしかなれるようになっていた。
屋敷の屋根裏部屋に閉じ込められながら、私は窮屈な生活を続けていた。このまま、公爵家の人々に蔑まれながら生きていくしかないと諦めていたのだ。
ある日、家に第三王子であるフリムド様が訪ねて来た。
そこで起こった出来事をきっかけに、私は自身に聖女の才能があることを知るのだった。
その才能を見込まれて、フリムド様は私を気にかけるようになっていた。私が、聖女になることを期待してくれるようになったのである。
そんな私に対して、公爵家の人々は態度を少し変えていた。
どうやら、私が聖女の才能があるから、媚を売ってきているようだ。
しかし、今更そんなことをされてもいい気分にはならない。今までの罵倒を許すことなどできないのである。
※下記の関連作品を読むと、より楽しめると思います。
【4話完結】聖女に陥れられ婚約破棄・国外追放となりましたので出て行きます~そして私はほくそ笑む
リオール
恋愛
言いがかりともとれる事で王太子から婚約破棄・国外追放を言い渡された公爵令嬢。
悔しさを胸に立ち去ろうとした令嬢に聖女が言葉をかけるのだった。
そのとんでもない発言に、ショックを受ける公爵令嬢。
果たして最後にほくそ笑むのは誰なのか──
※全4話
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる