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28.買い物好き
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スコット公爵一家が王都にやって来て一ヶ月近くが経った。
年末だと言うのに、夜会に参加すると年頃の女性が益々増えてきている気がするので、噂通り領地に帰っていた令嬢達が戻ってきたのかもしれない。
ソフィーとオリバーは、新年の準備に領地に帰ってしまい、三兄弟は今日もランドルフ子爵邸に来ていた。
学園の長期休みで帰ってきたフレディは、
「あの人達いったい何しにきてるの?」
と、呆れていた。
「アメリア、買い物に行きたいんで付き合ってくれない?」
「お店とか全然分からなくても良ければ。
アレクシスはどこか行きたい所でもおありですか?」
「クリスマスプレゼントを買って母上に送ろうと思うんだ」
「それは素敵ですわ。ではみんなで行きましょう。フレディに声「二人だけじゃ駄目かな?」」
「えーっと、構いませんけど。折角ですからみんなで出か「二人で行きたい」」
「? ・・では、出かける準備をしてまいります」
アメリアが部屋を出て行くと、
「よしっ」
アレクシスのガッツポーズに、イライジャとジョシュアが親指を立てた。
馬車で王都の中心地へ向かった。
「どの様なものをお探しですの?」
「ドレスか、髪につける装飾品みたいなのはどうかな?」
「そうですね。ソフィー様はいつも素敵なお召し物を着られているので喜ばれるかも」
アメリアは今、ソフィーとオリバーへのプレゼントにクッションカバーを作っている。
「アメリアは? そういうのに興味はないの?」
「ないわけではありませんが、どちらかと言うと実用的な物の方が」
「例えば、どんなもの?」
「ハンカチとか手袋でしょうか。すっかり寒くなりましたから、マフラーとかも気になります」
アレクシスがにっこり笑って、
「カサンドラから聞いて来た店があるんだけど、最初にそこに行って良いかな」
ドレスショップなど行ったことのないアメリアは、行き先が決まってほっと胸を撫で下ろした。
「こちらなど如何でしょうか?」
店員が沢山の生地見本を持ってきた。
「アレクシス、生地から選んで作るのは時間が足りないのでは? ソフィー様のサイズも分かりませんし」
「うーん、アメリアだったらどの色が好き?」
「私とソフィー様は好みが違いすぎますわ」
「例えばで良いんだ」
「私はここにある様な明るいお色はちょっと・・」
今アメリアが着ているのは、薄いグレーの実用的なドレス。
「前に領主館で着たグリーンのやつは?
すごく似合ってた」
「あれは母の見立てですの」
アメリアの頬が僅かに赤くなっている気がした。
アレクシスは濃いグリーンと焦げ茶の生地を選んだ。
今はスタイルブックを熱心に見ながら、横に立っている店員に小声で質問をしているのだが、アメリアは何故か採寸室に連れ込まれている。
「あの、私の採寸は不要ですの。今日は別の方へのプレゼントを作りに参りましたの」
「次は宝石店だね」
「まだお買いになるのですか?」
「うん、さっきのドレスに合わせたいから」
「アレクシス、ソフィー様と私の色は全然違います。私で色写りを見られても役に立ちません」
「これが良い気がする。アメリアはどう思う?」
アメリアは、アレクシスが持っているネックレスとイヤリングのセットをチラッと見て、
「とても素敵だと思います」
アレクシスはその後もアメリアの話を聞かないまま、次々と買い物を続けていった。
帽子や日傘、鞄やリボン。
勿論、繊細な刺繍のハンカチや手袋、暖かそうなマフラーも。
年末だと言うのに、夜会に参加すると年頃の女性が益々増えてきている気がするので、噂通り領地に帰っていた令嬢達が戻ってきたのかもしれない。
ソフィーとオリバーは、新年の準備に領地に帰ってしまい、三兄弟は今日もランドルフ子爵邸に来ていた。
学園の長期休みで帰ってきたフレディは、
「あの人達いったい何しにきてるの?」
と、呆れていた。
「アメリア、買い物に行きたいんで付き合ってくれない?」
「お店とか全然分からなくても良ければ。
アレクシスはどこか行きたい所でもおありですか?」
「クリスマスプレゼントを買って母上に送ろうと思うんだ」
「それは素敵ですわ。ではみんなで行きましょう。フレディに声「二人だけじゃ駄目かな?」」
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アメリアが部屋を出て行くと、
「よしっ」
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「どの様なものをお探しですの?」
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「そうですね。ソフィー様はいつも素敵なお召し物を着られているので喜ばれるかも」
アメリアは今、ソフィーとオリバーへのプレゼントにクッションカバーを作っている。
「アメリアは? そういうのに興味はないの?」
「ないわけではありませんが、どちらかと言うと実用的な物の方が」
「例えば、どんなもの?」
「ハンカチとか手袋でしょうか。すっかり寒くなりましたから、マフラーとかも気になります」
アレクシスがにっこり笑って、
「カサンドラから聞いて来た店があるんだけど、最初にそこに行って良いかな」
ドレスショップなど行ったことのないアメリアは、行き先が決まってほっと胸を撫で下ろした。
「こちらなど如何でしょうか?」
店員が沢山の生地見本を持ってきた。
「アレクシス、生地から選んで作るのは時間が足りないのでは? ソフィー様のサイズも分かりませんし」
「うーん、アメリアだったらどの色が好き?」
「私とソフィー様は好みが違いすぎますわ」
「例えばで良いんだ」
「私はここにある様な明るいお色はちょっと・・」
今アメリアが着ているのは、薄いグレーの実用的なドレス。
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「あれは母の見立てですの」
アメリアの頬が僅かに赤くなっている気がした。
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今はスタイルブックを熱心に見ながら、横に立っている店員に小声で質問をしているのだが、アメリアは何故か採寸室に連れ込まれている。
「あの、私の採寸は不要ですの。今日は別の方へのプレゼントを作りに参りましたの」
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「まだお買いになるのですか?」
「うん、さっきのドレスに合わせたいから」
「アレクシス、ソフィー様と私の色は全然違います。私で色写りを見られても役に立ちません」
「これが良い気がする。アメリアはどう思う?」
アメリアは、アレクシスが持っているネックレスとイヤリングのセットをチラッと見て、
「とても素敵だと思います」
アレクシスはその後もアメリアの話を聞かないまま、次々と買い物を続けていった。
帽子や日傘、鞄やリボン。
勿論、繊細な刺繍のハンカチや手袋、暖かそうなマフラーも。
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