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6. 働き者のアメリア

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 イライジャ達との話し合いを終え、部屋に戻ってきたアメリアはソファに座ってホッと溜息をついた。

「取り敢えず第一段階クリアかしら」

「とんでもない第一段階でしたね。
お嬢様があんなものを見て動じないでいられるなんて、家庭教師言うのは過酷な職業なんですねぇ」

「何? 何のこと?」

 そう言った途端顔を真っ赤にしたアメリアは、
「お願い、思い出させないで! 視界に入れないように必死だったんだから」

「ほぇー、お嬢様が動揺してくれてホッとしました」

「ソフィー様が、男の方の精神年齢は子供のままだって仰ったのが良くわかったわ。
あんな事するなんて信じらんない」

「いつか仕返ししてやるわ」


 握り拳を固め声高々と宣言するアメリアに、
「充分仕返ししておられました。かなり、ボコボコにしとったです」

 ロージーが真顔で感想を述べていた。



 その後、気分転換を兼ねて庭の散策をする事にした。

「ソフィー様自慢のお庭なんですって。
とても楽しみにしていたの」


 公爵家の庭は芝生の敷き詰められた広々とした広場の中央に、キューピッドを抱えた女神の鎮座した噴水がある。

 いくつにも仕切られた花壇には、一年中花を楽しめるようにと様々な花が植えられている。

 花壇の脇を通り抜け柵の近くに行くと白いニセアカシアが綺麗な花をつけていた。

「ロージー見て、向こうに紫色のニセアカシアが咲いてるわ。
白以外は初めて見た。近くに行ってみましょう」

 子爵家が負債を抱えてから寝る間を惜しんで働き続けてきたアメリアは、数年ぶりの余暇にはしゃいでいる。

 その後はゆっくりと来た道を戻り、咲き始めたばかりのオールドローズや開花の難しい蔓薔薇を堪能して屋敷に帰った。


「ロージーどうしよう、私とても暇だわ」

「はいぃ? 今お庭から帰られたばかりでしょうに」


「そうなんだけど・・この後夕食までやることがないの。困ったわ」

「貴族のお嬢様らしく、座ってお茶をするとか?」

「さっき頂いたばかりだもの」

「本の続きでも読まれますか?」

「そうね・・そうだわ。ロージー買い物に行きましょう。
これから暫くはここにいなくちゃいけないけど、時間があるなら作らなくちゃ」


「お嬢様もしかしてまた働きなさるんですか?」

「あら、アイリッシュクロッシェレースは趣味と実益を兼ねた私のお楽しみの一つよ。
針は何種類も持ってきてるけど、糸がもうあまり残ってないの。

ラヴェンナは初めてきたんだもの、もしかしたら見たことがない糸が見つかるかも」

「馬車の中で作りすぎたんですよ。
落ち着いてじっとしとられたら・・は、無理そうですねぇ」


 アメリアは意気揚々とラヴェンナの街に繰り出した。

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