【短編】ザ・ライジング・猿~the Rising “salu”~日本史上最大のサクセスストーリーはここから始まった!

枢木卿弼

文字の大きさ
上 下
9 / 14

9:『あだ名』

しおりを挟む




「――猿よ、太陽になれ――!






太陽の様に誰からも届かぬくらい成功しろ、その為に今まで以上にはげめ。

さすればその輝きが――



皆の悪い口をおのずと閉ざすであろう!!」


「の……信長様」



「……だから余は、
これからはお主を――猿とは呼ばぬ!」

「えっ……今なんと……」
と答えつつ、少し期待する秀吉。
も、もしかして……


「――もう一度言う、余は、
今後お前の事を猿と呼ぶ事を一切止める!」


「の……信長様……!」 
もしかしたら、あだ名の猿ではなく、本名の秀吉と呼んでくれるのですか……
主君である信長様が秀吉と呼んでくだされば、
――そしたら皆も……。



「だから余は、これからはお主を猿とは呼ばぬのであるから今後は……」

「はい」期待に胸膨らませる秀吉。
――秀吉!と、本名で呼んでくださるのですね。

「そう今後は、そう今日からは――」

「……」あまりの期待に頬を紅潮させる秀吉。


「――そうお前は、六本指の猿だから……」


「えっ……」
いきなり、嫌な予感……。



「――《六つ猿》と呼ぶことにするである!」



「……えっ、“六つ猿”……」

と絶句し急速に顔が青ざめる秀吉。
……期待した私が馬鹿だった。なんたって我が子の幼名に“奇妙丸”(後の信忠)と名付けるほどの……
奇妙な感性をお持ちの方なのだからな……。


……それにしても、六つ猿とは。


……これでは、以前のただの“猿”のがましでは?

「……猿より呼びにくいが、あえてそう呼ぶ!


――そっちのが



――“面白い”であろうからな」



「面白いであろう…?」
秀吉少し嫌な予感――
信長様も皆と一緒になって……
私をいじめて楽しむ?

「――はは、面白いぞ秀吉、
余が今日より六つ猿と呼ぶことの意味が分かるか――?」




――皆さんはどうでしょう?

……《六つ猿》と信長が呼ぶ理由。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

独裁者・武田信玄

いずもカリーシ
歴史・時代
国を、民を守るために、武田信玄は独裁者を目指す。 独裁国家が民主国家を数で上回っている現代だからこそ、この歴史物語はどこかに通じるものがあるかもしれません。 【第壱章 独裁者への階段】 純粋に国を、民を憂う思いが、粛清の嵐を巻き起こす 【第弐章 川中島合戦】 甲斐の虎と越後の龍、激突す 【第参章 戦争の黒幕】 京の都が、二人の英雄を不倶戴天の敵と成す 【第四章 織田信長の愛娘】 清廉潔白な人々が、武器商人への憎悪を燃やす 【最終章 西上作戦】 武田家を滅ぼす策略に抗うべく、信長と家康打倒を決断す この小説は『大罪人の娘』を補完するものでもあります。 (前編が執筆終了していますが、後編の執筆に向けて修正中です))

三九郎の疾風(かぜ)!!

たい陸
歴史・時代
 滝川三九郎一積は、織田信長の重臣であった滝川一益の嫡孫である。しかし、父の代に没落し、今は浪人の身であった。彼は、柳生新陰流の達人であり、主を持たない自由を愛する武士である。  三九郎は今、亡き父の遺言により、信州上田へと来ていた。そして、この上田でも今、正に天下分け目の大戦の前であった。その時、三九郎は、一人の男装した娘をひょんな事から助けることとなる。そして、その娘こそ、戦国一の知将である真田安房守昌幸の娘であった。  上田平を展望する三九郎の細い瞳には何が映って見えるのだろうか?これは、戦国末期を駆け抜けた一人の歴史上あまり知られていない快男児の物語である。

滝川家の人びと

卯花月影
歴史・時代
故郷、甲賀で騒動を起こし、国を追われるようにして出奔した 若き日の滝川一益と滝川義太夫、 尾張に流れ着いた二人は織田信長に会い、織田家の一員として 天下布武の一役を担う。二人をとりまく織田家の人々のそれぞれの思惑が からみ、紆余曲折しながらも一益がたどり着く先はどこなのか。

待庵(たいあん)

四谷軒
歴史・時代
【あらすじ】 千宗易(後の利休)は、山崎の戦いに臨む羽柴秀吉から、二畳の茶室を作るよう命じられる。この時代、茶室は三畳半ぐらいが常識だった。それよりも狭い茶室を作れと言われ、宗易はいろいろと考える。そして、秀吉の弟・羽柴秀長や、秀吉の正室・ねねに会い、語り、宗易はやがて茶室について「作ったる」と明言する。言葉どおり完成した茶室で、宗易は茶を点て、客を待つ。やって来た客は……。 【表紙画像】 「ぐったりにゃんこのホームページ」様より

本能のままに

揚羽
歴史・時代
1582年本能寺にて織田信長は明智光秀の謀反により亡くなる…はずだった もし信長が生きていたらどうなっていたのだろうか…というifストーリーです!もしよかったら見ていってください! ※更新は不定期になると思います。

四境戦争~島村志津摩の逆襲

久保 倫
歴史・時代
 四境戦争。  そうよばれることもある第二次長州征討は、終わりを迎えようとしていた。  大島口、芸州口、石州口の戦闘は、徳川慶喜の工作による休戦の勅命で停止しており、残る小倉口も孤軍奮闘していた小倉藩が力尽き、和睦を乞う状況で、終わりが見えていた。  しかしながら、長州側の出した条件、小倉藩主小笠原家の嫡男を人質にという条件を巡り、小倉藩は紛糾する。  小笠原家の嫡子を人質に出すということは、小笠原家が毛利家に服従するということ。  全面降伏せよと言うことであり、小倉藩士にとって受け入れることのできぬ条件であった。    このような状況の中、島村志津摩は、小倉藩の家老となり、長州藩との交渉に臨む。  島村の考えた和睦案で藩論をまとめて。

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

16世紀のオデュッセイア

尾方佐羽
歴史・時代
【第13章を夏ごろからスタート予定です】世界の海が人と船で結ばれていく16世紀の遥かな旅の物語です。 12章は16世紀後半のフランスが舞台になっています。 ※このお話は史実を参考にしたフィクションです。

処理中です...