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第十一章『the Rising "salu"』(ザ・ライジング・猿)~秀吉、その6本指で天下を掴む!~

ザ・ライジング・猿 3『黒人武将』

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「おっ、おぉ!」
信長への挨拶を終えた秀吉は、廊下に出てくるなり驚きの声を上げた――

「――はははっ、そなたが噂の――


……黒坊主くろぼうず……いや、


彌介やすけ殿か。
殿を忍者の襲撃から助けたと。大手柄じゃったな。
――儂は秀吉じゃ」

廊下で黒人青年の彌介を見つけ、興味津々に近寄って話しかける秀吉。

彌介はアフリカ出身の黒人青年である。南蛮人の奴隷であったのを信長が気に入ってこの年の9月に家臣にしている。
このことは 彌介の主人であった宣教師の報告書 『イエズス会日本年報』だけでなく、徳川家康の家臣が書き記した『家忠日記』にも「黒坊主を信長が連れていて、名前は 彌介という」と記されてあり――史実、実在した人物です。
ちなみに日本語が話せたことも文献に記されてあります。

「あ、あなたが、
信長様きっての大大将――
――秀吉様!」

「――今はな。
将来はお主がそうなるやも」
――秀吉はにやにや笑いながら、猿顔の顎の少ない髭を、右手でこしていた。

「……ご冗談を。
私が大将に成れる訳が……」

「儂も農民出で皆からそう言われておったが……ほれ」


――いきなり右手を見せる秀吉。


……。驚きながら秀吉の手を見る彌介。

「なんなのですか?」

「ほれもっとよくみろ」
秀吉が手の平をこちらに向けて、それも指の間を思いっきり広げて、顔の前に出すので――
仕方なくその右手を凝視する彌介。



一、二、三、四、五……



……えっ……


「……ば、馬鹿な」


……よし、もう一度。


一本、二本、三本、四本、五本……




……。ごくん……



……《六》ぽん……!?




次回、史実秀吉は6本指だった!
【証拠文献】有り!
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