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第十章 『新説【本能寺の変】~“旧説”が、全て消え去る日~』

22 『試練の価値は』

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天下人織田信長死す!

六月二日以降、その情報が日本中へ広がっていく――


その情報の衝撃力は凄まじく、例えば同日四国遠征の為に堺にて出陣間近だった織田信孝軍は、本能寺から距離が近かった為にその情報が同日が届いた途端――

緒兵に動揺が走り、多くの者が脱走し、即時の軍隊行動が不可能となっている。


北陸の柴田勝家は、本能寺の変を知らぬまま六月三日に魚津城を陥落させた。しかし、事件を知り6日の夜からただちに全軍撤退して北ノ庄城へ戻るが、交戦相手の上杉勢が変を知り、失地回復に越中・能登の国衆を煽り動けず、ようやく18日に近江に出動する。


上野の滝川一益にも六月九日その報が届くが、信長と同盟していた北条勢が、信長の死に乗じて上野に侵攻し神流川の戦いで、敗戦。

本拠地・伊勢に七月にようやく帰還。


――このように信長の使徒たちは、『信長による福音書』計画に則って成された信長の死によって起きた混乱により、日本各地で試練に直面していた。


そうつまりは、信長が死して危機に直面した各地の武将たち、この天正十年六月の状況は――

あえて信長が計画を建て、実行したものだったのだ!


そうそして残る使徒、羽柴秀吉と徳川家康も同様である。

信長の指示によって、少人数で堺見物をしていた徳川家康は、人生最大の試練・危機に直面する。

明智光秀が、信長に続き近くにいる家康の命を狙うことも有りうる。しかし少人数では戦うことさえできない。

光秀がいる京周辺を避けて本拠地浜松に戻るには、伊賀越えしかない。しかし、伊賀は同盟していた信長が滅ぼした反信長の地なのである。


毛利討伐で備中高松に陣をしく羽柴秀吉は、明智光秀の密使を捕まえ三日には本能寺の変を知った。

しかし中国最強の毛利軍に背を向けてすぐに明智光秀を討つために近畿には戻れない。

毛利と光秀の挟み撃ちになる可能性が高いのである。


信長が使徒たちに課した試練、その試練の価値は……

そうその価値こそ、試練に打ち勝った者だけが得られる価値あるもの、

そうさまざまな試練を乗り越え信長の後継者となりて、

《神になる権利》を得るのである。



次回、『《神業》……神の業を持つ者』

奇跡を起こす者を、人は神と呼ぶ!

乞う、ご期待!


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