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第八章『最後の晩餐と安土饗応』

16 『【特別先行公開】光秀、秀吉に惨敗する。【山崎の戦いの真相】』

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「――光秀、本当は、余はお主に……

余の後の――天下を任せたかったであるぞ」

織田信長は、明智光秀を見つめながら続けた。


「……しかし、お主はもうかなり高齢である。

いかに民のための政治ができるとも、

その体制が確立するまでに寿命が来てしまえば、また世は荒れる恐れも大いにある」

「――はっ、わかっておりますじゃ」光秀は覚悟が決まっている。

「よって、お主には、大いなる奇跡を起こす為の儀式――

《本能寺計画》を成し遂げたあとは……

一時の混乱に朝廷が巻き込まれぬように――

しかと頼むであるぞ!」


……後々論説等で述べますが、先に【特別先行公開】しますと――

つまりここで信長が述べている内容は……


何故、信長政権随一の家臣で用意周到が売りの明智光秀が、しかもこの日の本の中枢近畿の支配者で天皇をも利用できる絶好の位置にいる、次の天下人にもっとも近い最高の状態の光秀が――


……何故かくもあっけなく羽柴秀吉に破れたか?

という、その理由である。


そう何故、光秀は、天下分け目の『山崎の戦い』において、

本能寺の変以降の絶好の条件を全く活かせず、秀吉に大敗北したのか?


その答えは、簡単にいうと……

『天下分け目の合戦』に、勝つつもりが少なくとも光秀本人には、無かったからである。

そう、光秀は信長の後の天下人になるつもりが、全く無かったからなのである。


ただ、計画のためとはいえ信長が死すことで起こる混乱から――

朝廷を護るようにと、そう信長本人に託されたから、

天下の中心近畿を統治する新勢力、つまり歴史では羽柴秀吉軍になったが、それが到着するまでの間――

日の本の首都の安定の為にだけに、光秀は存在していたことになる。


――事実、《本能寺の変》後光秀は、京及び周辺の騒乱を治めたあとの六月九日、

朝廷に昇殿して銀五百枚を贈り、また京の五山や大徳寺という権威ある寺院に銀各百枚を贈り、朝廷を安心させている。


「でも、その説でいくなら、秀吉が来たら……

戦わずにすぐ光秀が降伏したら?」と、読者。


もっともなご意見ですが、

もちろんその信長による『福音書』計画とは、計画参加者以外には、知られても悟られてもいけない、他の武将には秘密の計画なのです。

そしてその理由こそが、後々述べるが『福音書』計画根幹の部分になるからなのです。


そう、つまりその計画意図を、

秀吉を始めとしてすべての武将に知られず遂行する計画なので、

光秀は『山崎の戦い』であえて戦い、だからあっという間に負けたのである。


そうこれこそが、先に述べたとおり、信長死後、もっとも好条件の天皇を有する近畿をしかも完全武装の軍を率いていて、

それであっさり秀吉に敗れ去ったことの――

《真相》なのである。






しかしこの本能寺の変『信長自作自演』説が、事実だとしても……
何故光秀は、そこまで信長の計画に殉じたのだろうか?




――次回、『光秀出自の謎』



乞う、ご期待!


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