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第七章『愛宕百韻』と光秀謀反の句の謎
58 『これはミスなのか?、ミステリーなのか?』
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愛宕百韻、『九十九句問題』を考察する。
……何故、『愛宕百韻』の各『写し』によって内容がこうも違うのか?
愛宕百韻に限らず、古典の写しは、そう昔は印刷機が無い以上――
つまり人間の手で書き写すしかない以上、誤字脱字等、原本と違ってくるのは、よくあることではある。
例えばある原本の写しは、写しによって同一箇所が漢字表記であったり、平仮名表記であったり脱字があったりするのはよくある。
……しかし、である。
愛宕百韻は、百韻連歌興行なのは当たり前の中の当たり前の事なのだ。
つまり、歌が百句あるのが当たり前なのに、一句足らずでは九十九韻なのにである。
そう、写す作業をした者が、人間だから書き写し間違える可能性はあるとしても、一句足りないという大問題に気付かない、こんな初歩的なミスをするのだろうか?
何故書き写した者は、百句しっかりと数えなかったのか?
いや、例えば拙者が何の文献を引用するために、文献を写しても、……写し間違いはある。
しかし、古典の写しをその古典の記された時代に作成する場合、そもそもその古典自体が一冊しか無い場合が多い訳で、そんな大切な古典を一般の誰も彼もが手に入れたり触ることすら到底無理な話である。
――そう、それを写す者も、相当の知識技量が無い者ではないと、そもそも依頼されることもないのである。
だいたいは、日本の場合は、日本の知識階級である仏僧か公家の場合が多い。
つまり、ある原本を写したいと思っても、そもそも原本を託せるような信頼できる知識者と認められた者しか、写すことは通常できないのである。
ということで、誤字脱字とかでは無く、百韻連歌が九十九韻しかない……
こんな大きなミスを、果たして写した知識人がするのだろうか?
ということである。
そう、そこに「これは人間のミスではないかも知れない」という発想か生まれてくる発想の根拠があるのだ。
そして、これが人間のミスではないとしたら……
そう、写した本人かまたは写しを依頼した者が、意図的に原本と違うものを作成した、させたのではないか?
ということである。
――そしてその考察では、反対の結論も出せる。
そう、そもそもこの『愛宕百韻』は、やはり九十九韻しかもともと存在しなかったのではないのか?
それを例えば誰かが『本能寺の変』の後に、書き替えて、つまり一句足して百句ある写しを製作したのでは?
ということである。
……そうすると、写しを偽造したにしても、そもそも原本を一句足らずにしたとしても、それが意図的行為であると仮定するのならば――
……つまり、それが誰の意図的行為なのか?
……そして、何のための意図的行為なのか?
その答えが必ずこの歴史上に存在することになる。
(……もちろんそれを発見できるかは別として。)
――ということで、拙者としては、以上の考察から、
“一句足らず”は、『ミスではない!』と断定させて頂きます。
――次回、ミスではないなら、さらなる謎が生まれる。
何故、何のために、そして誰がそうしたのか……?
この『歴史ミステリー』に拙者が挑んでいきます!
……何故、『愛宕百韻』の各『写し』によって内容がこうも違うのか?
愛宕百韻に限らず、古典の写しは、そう昔は印刷機が無い以上――
つまり人間の手で書き写すしかない以上、誤字脱字等、原本と違ってくるのは、よくあることではある。
例えばある原本の写しは、写しによって同一箇所が漢字表記であったり、平仮名表記であったり脱字があったりするのはよくある。
……しかし、である。
愛宕百韻は、百韻連歌興行なのは当たり前の中の当たり前の事なのだ。
つまり、歌が百句あるのが当たり前なのに、一句足らずでは九十九韻なのにである。
そう、写す作業をした者が、人間だから書き写し間違える可能性はあるとしても、一句足りないという大問題に気付かない、こんな初歩的なミスをするのだろうか?
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いや、例えば拙者が何の文献を引用するために、文献を写しても、……写し間違いはある。
しかし、古典の写しをその古典の記された時代に作成する場合、そもそもその古典自体が一冊しか無い場合が多い訳で、そんな大切な古典を一般の誰も彼もが手に入れたり触ることすら到底無理な話である。
――そう、それを写す者も、相当の知識技量が無い者ではないと、そもそも依頼されることもないのである。
だいたいは、日本の場合は、日本の知識階級である仏僧か公家の場合が多い。
つまり、ある原本を写したいと思っても、そもそも原本を託せるような信頼できる知識者と認められた者しか、写すことは通常できないのである。
ということで、誤字脱字とかでは無く、百韻連歌が九十九韻しかない……
こんな大きなミスを、果たして写した知識人がするのだろうか?
ということである。
そう、そこに「これは人間のミスではないかも知れない」という発想か生まれてくる発想の根拠があるのだ。
そして、これが人間のミスではないとしたら……
そう、写した本人かまたは写しを依頼した者が、意図的に原本と違うものを作成した、させたのではないか?
ということである。
――そしてその考察では、反対の結論も出せる。
そう、そもそもこの『愛宕百韻』は、やはり九十九韻しかもともと存在しなかったのではないのか?
それを例えば誰かが『本能寺の変』の後に、書き替えて、つまり一句足して百句ある写しを製作したのでは?
ということである。
……そうすると、写しを偽造したにしても、そもそも原本を一句足らずにしたとしても、それが意図的行為であると仮定するのならば――
……つまり、それが誰の意図的行為なのか?
……そして、何のための意図的行為なのか?
その答えが必ずこの歴史上に存在することになる。
(……もちろんそれを発見できるかは別として。)
――ということで、拙者としては、以上の考察から、
“一句足らず”は、『ミスではない!』と断定させて頂きます。
――次回、ミスではないなら、さらなる謎が生まれる。
何故、何のために、そして誰がそうしたのか……?
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