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第七章『愛宕百韻』と光秀謀反の句の謎

29 『信長と光秀は、おしどり夫婦?!』

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前述の『愛宕百韻』の主催者である威徳院住職行祐の句、

32『うらめづらしき衣手の月』

を受けて、主賓の明智光秀が詠んだ句は――


33 葛のはのみだるる露や玉ならん 光秀


――この句、雨露が葛の葉にところどころ落ちても、葉をつたっていくうちに雫が合わさって……大きい雨粒の玉になる。

と解釈できる。


そして32の下の句と33の上の句を合わせ一首にすると、


 葛のはのみだるる露や玉ならん

  うらめづらしき衣手の月


となり、この一首の解釈は――

織田信長様は、この戦乱の世を終わらすため――

『桶狭間』『姉川』『長篠』等での天下平定のために死力を尽くした戦いの数々――

国政を乱す宗教武装勢力を武装解除させる『政教分離』、

総見寺の建立による『宗教の平等・信教の自由』、

『楽市楽座』と関所の撤廃によって流通経済を発展させ、

『一銭切り』によって犯罪を撲滅し、

いやいやまだ数えられないほどの施策、そのそれぞれが合わさって――

信長様が提唱する『天下布武』という、大きな一本の大河へとなっていく。

そう天下に『七徳の武』を広めることで、国家の安定・民政の安定・経済の発展等の平和な世を創出させるという、

『撫育民姓国家』へなっていくのだ。


その信長様がついに自らを犠牲にすることで、

《恒久平和》な世界を到来させるという――

大いなる《秘蹟》行為をなされる。

もちろん成功を祈っておりますが、月を見上げると――

それが信長様との今生の別れかと思い……

悲しみの涙で袖を濡らしてしまう。


―――となり、今までの信長の活躍とこれからの『福音書計画』との成功を祈願する、本作品のダイジェストみたいな解釈となる。


しかも次から述べる第37句から始まる『二折にのおり裏』は、その全てが――

信長による『福音書計画』に見事に当てはまるので、拙者自身驚いている。


37 呉竹の泡雪ながら片よりて 紹巴


この句の「呉竹くれたけ」は、中国産の竹の意。ただこの句は、

天皇の住んでいる平安京の清涼殿の庭に呉竹が植えられていて、

その場所を『呉竹の台』と呼ぶことからの引用と考察する。

そうつまりこの句では、「呉竹」は《朝廷》を意味している。

そうすると――


長きにわたり続く戦乱の世で失墜した朝廷は、信長に庇護されるまで――

「泡雪」=淡雪のようにすぐに消えそうになりながらも、戦乱の片隅でなんとか存続してきた。

――と拙者は解釈する。

(※以降、テンポを良くする為にこの言葉は割愛する)


38  岩ねをひたす波の薄氷 昌叱


――そう朝廷は、信長様が助けて下さるまで……

薄氷を踏むような、不安定な状態でした。


39  鴛鴨や下りゐて羽をかはすらん 心前


――「鴛鴨」とは、鴨目鴨科のオシドリ「鴛鴦」を指す。

そう、オシドリのつがいは仲の良いことから、

『おしどり夫婦』と夫婦仲が良い例えとして使われます。

そうだからこの句は、

オシドリ雌の光秀が愛宕山から、舞い降りて、本能寺にいるオシドリ雄の信長と羽を交えて仲睦まじく――

《本能寺の変》を起こすことを暗示している。



――ここまで読んで、

「確かに信長公認の連歌会なら、こういう解釈も、ありうるかも?」と、少しでも感じてくれた読者様、有り難うございます!


「こんなの全部、作者が思い願う方へ都合良く解釈しているだけだし」

という読者様も、ここまで読んでくれただけでもう感謝です、有り難うございます!

――そして「作者が都合良く解釈している」というは、全くその通りです!


……ただ、もともと通説の明智光秀『謀反決意表明説』ですら、勝手に皆がそう思っていろいろな解釈しているだけで、結局、その解釈が歴史的に確定されている訳ではないのです。


また本作品において、

この光秀『謀反決意表明説』は完全に論破され――

いや、光秀に『謀反の意志』すら、少なくともこの『愛宕百韻』の時点では無かったことは作中で証明されている。


そして、この『信長公認』愛宕百韻説という仮説で、また信長による『福音書計画』説という仮説で、

愛宕百韻の謎の全てを解き明かし、その全てが『エヴァンゲリオン計画』を指し示す時、そしてそれが証明される時、

――その説は《真実》となるのではと拙者は考えます。



次回予告

信長と光秀が“オシドリ夫婦”という解釈は……

本当に後に続く句たちと整合性が合うのか?

さて、どうでしょうか?


――さぁ、それでは注目の次の一句は……



――当然、明智光秀さんです!



乞う、ご期待!


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