126 / 310
第七章『愛宕百韻』と光秀謀反の句の謎
9 『Re:花落つる…から、始まる楽しい連歌生活』
しおりを挟む
花落つる 池の流れを せきとめて
問題となる、この句の二つ目の解釈は――
「花が落つる」の花を、光秀もしくは光秀の計画ととるものです。
『本能寺の変』を題材にしたドラマ等でもよく登場する有名な明智光秀の軍旗――『水色桔梗』。そう、水色の下地に桔梗の紋様。
つまり、「花落つる」は――
桔梗の「花が」、つまり光秀を意味し、「落つる」が、つまり死ぬことをさしている、ともとれる。
そしてまた、物事の計画の成功・発展を表す「花開く」の、その反対の意味「失敗する」こともさしている、ととれる。
――そうつまり、「明智光秀の計画」が失敗すると、この句頭から解釈できるのだ。
そうすると、続く「池の流れをせきとめて」の部分の解釈も変わってくる。
そう、光秀の計画の、「流れを塞き止めて」ととれるのである。
つまり、
「希代なる英雄信長様の暗殺などとんでもない、そんな計画は上手くはいかないだろうから、考え直しなさい。」と紹巴が光秀を、諭し諌める解釈ともとれるのです。
ということで、なんと光秀の発句である――
『ときは今 あめが下しる 五月かな』
この句を、光秀の謀反決意表明であると確定したとしても――
信長と親交があった連歌師里村紹巴の句は、
『信長の首を落して下さい』と光秀の気持ちを後押しする解釈と、
『そんな計画おやめなさい』と光秀の気持ちを押し留めようとする解釈とに別れるのである。
つまり、一つの句を読み取るだけでも、正反対の解釈が可能なところに連歌解釈の難しさ、そして楽しさがあるのです。
ということで、これだけ詳しく連歌の話をさせて頂いたのは――
本能寺の変に関わらず、事件の犯人の事件を起こす前の心境は通常解らないものですし、もう何百年も前なら特にそうです。
それが、この『本能寺の変』については、事件直前の犯人の心境や精神状態などを読み取ること、推察することが愛宕神社に奉納された連歌からで可能だからです。
――そう、本能寺の変の面白さは、光秀がその事件の前に連歌会に出席したことによるものも、かなり大きいのです。
そしてもちろんこの『愛宕百韻』が、
信長による『エヴァンゲリオン計画』に関連しているからと思われるからです。
そしてまた連歌は詠うだけではなく、拙者のように連歌をしたことがない者でも、読まれた歌を色々解釈するだけでも結構楽しいし、読者の方々にもその楽しさが伝わったらと思ったからでした。
次回予告
信長と親交があり、光秀と連歌をたしなむ連歌師里村紹巴!
次なる相対する者の名は――羽柴秀吉!
次回 『秀吉VS. 紹巴――連歌「解釈」対決!』
秀吉は、亡き主君信長を想い、激怒する!
その時、紹巴は………
――乞う、ご期待!
問題となる、この句の二つ目の解釈は――
「花が落つる」の花を、光秀もしくは光秀の計画ととるものです。
『本能寺の変』を題材にしたドラマ等でもよく登場する有名な明智光秀の軍旗――『水色桔梗』。そう、水色の下地に桔梗の紋様。
つまり、「花落つる」は――
桔梗の「花が」、つまり光秀を意味し、「落つる」が、つまり死ぬことをさしている、ともとれる。
そしてまた、物事の計画の成功・発展を表す「花開く」の、その反対の意味「失敗する」こともさしている、ととれる。
――そうつまり、「明智光秀の計画」が失敗すると、この句頭から解釈できるのだ。
そうすると、続く「池の流れをせきとめて」の部分の解釈も変わってくる。
そう、光秀の計画の、「流れを塞き止めて」ととれるのである。
つまり、
「希代なる英雄信長様の暗殺などとんでもない、そんな計画は上手くはいかないだろうから、考え直しなさい。」と紹巴が光秀を、諭し諌める解釈ともとれるのです。
ということで、なんと光秀の発句である――
『ときは今 あめが下しる 五月かな』
この句を、光秀の謀反決意表明であると確定したとしても――
信長と親交があった連歌師里村紹巴の句は、
『信長の首を落して下さい』と光秀の気持ちを後押しする解釈と、
『そんな計画おやめなさい』と光秀の気持ちを押し留めようとする解釈とに別れるのである。
つまり、一つの句を読み取るだけでも、正反対の解釈が可能なところに連歌解釈の難しさ、そして楽しさがあるのです。
ということで、これだけ詳しく連歌の話をさせて頂いたのは――
本能寺の変に関わらず、事件の犯人の事件を起こす前の心境は通常解らないものですし、もう何百年も前なら特にそうです。
それが、この『本能寺の変』については、事件直前の犯人の心境や精神状態などを読み取ること、推察することが愛宕神社に奉納された連歌からで可能だからです。
――そう、本能寺の変の面白さは、光秀がその事件の前に連歌会に出席したことによるものも、かなり大きいのです。
そしてもちろんこの『愛宕百韻』が、
信長による『エヴァンゲリオン計画』に関連しているからと思われるからです。
そしてまた連歌は詠うだけではなく、拙者のように連歌をしたことがない者でも、読まれた歌を色々解釈するだけでも結構楽しいし、読者の方々にもその楽しさが伝わったらと思ったからでした。
次回予告
信長と親交があり、光秀と連歌をたしなむ連歌師里村紹巴!
次なる相対する者の名は――羽柴秀吉!
次回 『秀吉VS. 紹巴――連歌「解釈」対決!』
秀吉は、亡き主君信長を想い、激怒する!
その時、紹巴は………
――乞う、ご期待!
0
お気に入りに追加
17
あなたにおすすめの小説
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
陸のくじら侍 -元禄の竜-
陸 理明
歴史・時代
元禄時代、江戸に「くじら侍」と呼ばれた男がいた。かつて武士であるにも関わらず鯨漁に没頭し、そして誰も知らない理由で江戸に流れてきた赤銅色の大男――権藤伊佐馬という。海の巨獣との命を削る凄絶な戦いの果てに会得した正確無比な投げ銛術と、苛烈なまでの剛剣の使い手でもある伊佐馬は、南町奉行所の戦闘狂の美貌の同心・青碕伯之進とともに江戸の悪を討ちつつ、日がな一日ずっと釣りをして生きていくだけの暮らしを続けていた……
我らの輝かしきとき ~拝啓、坂の上から~
城闕崇華研究所(呼称は「えねこ」でヨロ
歴史・時代
講和内容の骨子は、以下の通りである。
一、日本の朝鮮半島に於ける優越権を認める。
二、日露両国の軍隊は、鉄道警備隊を除いて満州から撤退する。
三、ロシアは樺太を永久に日本へ譲渡する。
四、ロシアは東清鉄道の内、旅順-長春間の南満洲支線と、付属地の炭鉱の租借権を日本へ譲渡する。
五、ロシアは関東州(旅順・大連を含む遼東半島南端部)の租借権を日本へ譲渡する。
六、ロシアは沿海州沿岸の漁業権を日本人に与える。
そして、1907年7月30日のことである。
アブナイお殿様-月野家江戸屋敷騒動顛末-(R15版)
三矢由巳
歴史・時代
時は江戸、老中水野忠邦が失脚した頃のこと。
佳穂(かほ)は江戸の望月藩月野家上屋敷の奥方様に仕える中臈。
幼い頃に会った千代という少女に憧れ、奥での一生奉公を望んでいた。
ところが、若殿様が急死し事態は一変、分家から養子に入った慶温(よしはる)こと又四郎に侍ることに。
又四郎はずっと前にも会ったことがあると言うが、佳穂には心当たりがない。
海外の事情や英吉利語を教える又四郎に翻弄されるも、惹かれていく佳穂。
一方、二人の周辺では次々に不可解な事件が起きる。
事件の真相を追うのは又四郎や屋敷の人々、そしてスタンダードプードルのシロ。
果たして、佳穂は又四郎と結ばれるのか。
シロの鼻が真実を追い詰める!
別サイトで発表した作品のR15版です。
信長の秘書
にゃんこ先生
歴史・時代
右筆(ゆうひつ)。
それは、武家の秘書役を行う文官のことである。
文章の代筆が本来の職務であったが、時代が進むにつれて公文書や記録の作成などを行い、事務官僚としての役目を担うようになった。
この物語は、とある男が武家に右筆として仕官し、無自覚に主家を動かし、戦国乱世を生き抜く物語である。
などと格好つけてしまいましたが、実際はただのゆる~いお話です。
大罪人の娘・前編 最終章 乱世の弦(いと)、宿命の長篠決戦
いずもカリーシ
歴史・時代
織田信長と武田勝頼、友となるべき2人が長篠・設楽原にて相討つ!
「戦国乱世に終止符を打ち、平和な世を達成したい」
この志を貫こうとする織田信長。
一方。
信長の愛娘を妻に迎え、その志を一緒に貫きたいと願った武田勝頼。
ところが。
武器商人たちの企てによって一人の女性が毒殺され、全てが狂い出しました。
これは不運なのか、あるいは宿命なのか……
同じ志を持つ『友』となるべき2人が長篠・設楽原にて相討つのです!
(他、いずもカリーシで掲載しています)
異・雨月
筑前助広
歴史・時代
幕末。泰平の世を築いた江戸幕府の屋台骨が揺らぎだした頃、怡土藩中老の三男として生まれた谷原睦之介は、誰にも言えぬ恋に身を焦がしながら鬱屈した日々を過ごしていた。未来のない恋。先の見えた将来。何も変わらず、このまま世の中は当たり前のように続くと思っていたのだが――。
<本作は、小説家になろう・カクヨムに連載したものを、加筆修正し掲載しています>
※この物語はフィクションです。実在の人物・団体・地名とは一切関係ありません。
※この物語は、「巷説江戸演義」と題した筑前筑後オリジナル作品企画の作品群です。舞台は江戸時代ですが、オリジナル解釈の江戸時代ですので、史実とは違う部分も多数ございますので、どうぞご注意ください。また、作中には実際の地名が登場しますが、実在のものとは違いますので、併せてご注意ください。
皇国の栄光
ypaaaaaaa
歴史・時代
1929年に起こった世界恐慌。
日本はこの影響で不況に陥るが、大々的な植民地の開発や産業の重工業化によっていち早く不況から抜け出した。この功績を受け犬養毅首相は国民から熱烈に支持されていた。そして彼は社会改革と並行して秘密裏に軍備の拡張を開始していた。
激動の昭和時代。
皇国の行く末は旭日が輝く朝だろうか?
それとも47の星が照らす夜だろうか?
趣味の範囲で書いているので違うところもあると思います。
こんなことがあったらいいな程度で見ていただくと幸いです
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる