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第七章『愛宕百韻』と光秀謀反の句の謎

9 『Re:花落つる…から、始まる楽しい連歌生活』

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花落つる 池の流れを せきとめて



問題となる、この句の二つ目の解釈は――

「花が落つる」の花を、光秀もしくは光秀の計画ととるものです。

『本能寺の変』を題材にしたドラマ等でもよく登場する有名な明智光秀の軍旗――『水色桔梗』。そう、水色の下地に桔梗の紋様。

つまり、「花落つる」は――

桔梗の「花が」、つまり光秀を意味し、「落つる」が、つまり死ぬことをさしている、ともとれる。

そしてまた、物事の計画の成功・発展を表す「花開く」の、その反対の意味「失敗する」こともさしている、ととれる。

――そうつまり、「明智光秀の計画」が失敗すると、この句頭から解釈できるのだ。


そうすると、続く「池の流れをせきとめて」の部分の解釈も変わってくる。

そう、光秀の計画の、「流れを塞き止めて」ととれるのである。

つまり、

「希代なる英雄信長様の暗殺などとんでもない、そんな計画は上手くはいかないだろうから、考え直しなさい。」と紹巴が光秀を、諭し諌める解釈ともとれるのです。


ということで、なんと光秀の発句である――

『ときは今 あめが下しる 五月かな』

この句を、光秀の謀反決意表明であると確定したとしても――

信長と親交があった連歌師里村紹巴の句は、

『信長の首を落して下さい』と光秀の気持ちを後押しする解釈と、


『そんな計画おやめなさい』と光秀の気持ちを押し留めようとする解釈とに別れるのである。


つまり、一つの句を読み取るだけでも、正反対の解釈が可能なところに連歌解釈の難しさ、そして楽しさがあるのです。


ということで、これだけ詳しく連歌の話をさせて頂いたのは――

本能寺の変に関わらず、事件の犯人の事件を起こす前の心境は通常解らないものですし、もう何百年も前なら特にそうです。


それが、この『本能寺の変』については、事件直前の犯人の心境や精神状態などを読み取ること、推察することが愛宕神社に奉納された連歌からで可能だからです。

――そう、本能寺の変の面白さは、光秀がその事件の前に連歌会に出席したことによるものも、かなり大きいのです。


そしてもちろんこの『愛宕百韻』が、

信長による『エヴァンゲリオン計画』に関連しているからと思われるからです。


そしてまた連歌は詠うだけではなく、拙者のように連歌をしたことがない者でも、読まれた歌を色々解釈するだけでも結構楽しいし、読者の方々にもその楽しさが伝わったらと思ったからでした。



次回予告


信長と親交があり、光秀と連歌をたしなむ連歌師里村紹巴!

次なる相対する者の名は――羽柴秀吉!



次回 『秀吉VS. 紹巴――連歌「解釈」対決!』


秀吉は、亡き主君信長を想い、激怒する!

その時、紹巴は………



――乞う、ご期待!


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