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第六章『運命の天正十年!本能寺カウントダウン』
22 『神に最も近い男、信長』(小説版)
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「――であるなら、余も唯一絶対神ということである!」
織田信長の衝撃の言葉に一瞬たじろいだが……
「そうでありません!」
さすがにこれは肯定する訳にはいかないと、はっきりとした口調で否定するフロイス。
「……なぜであるか?」
「神は、唯一無二でありますから、信長様が神であることはありませんので」
「余は第六天魔王信長である」
「そうですね」
「つまり余は他化自在天信長である」
「そうですね」
フロイスは、邪教の神ならどうでもいいという感じで答えている。
「そして、余はキリスト信長である」
「そうで…」
フロイスが、返答する前に信長は言葉を続ける――
「つまり、第六天魔王と他化自在天とキリストという、
三つの“ペルソナ”をもつ余は――
つまり、三位一体によりて――唯一で絶対の神と成ったであるぞ!」
「そうでは、ありません!」
さすがにこれも肯定できる訳にはいかない、フロイス。
「……何故である?キリストとは、救世主の意味ではないか?」
「そうですが、世界の、でございます」
「なるほど……しかし、余はそれで十分である。
……そう今はな。
さしずめこの地の全てを救えば、余も唯一無二の存在ということであるな」
「そ、そうなるかとは思いますが……」
どうせそんなことはむりなので、話を合わせておくフロイス。
「はは、であるな、ということは――
――余が、神に一番――……」
……ゴ、ゴゴコゴォォォ……
信長が、決め台詞?を言おうおとした時――
突然の空気をつんざくような轟音が辺りを多い尽くした。
そしてその時、数日間夜空を照らしていた長く尾を引く彗星が……
轟音とまばゆい光を放ちながら、安土城天主をかすめ――
なんと、大音響と共に琵琶湖に落ちた。
――天主最上階にいる織田信長であったが、その彗星が落ちた時の衝撃で巻きおこった、閃光と水しぶきに……覆い尽くされてしまった。
「信長様、大丈夫ですか?」
さすがにあまりの事に、心配の声を上げるフロイス。
「……い、いえ、イエスさま」
何故か、イエス様と呼び直す……フロイス。
なんと、それもそのはず……
閃光と水しぶきが無くなり目の前に立っていたのは、
正に―――
――イエスその人であった。
「なに、イエス……?」その者が、尋ねる。
「はい、……いえ、イエス様……」フロイスは、驚嘆の声を上げる。
「あ……あぁ……我が、我が神よ……!」
そして、とっさに胸の前で十字を切るフロイス。
その者が笑いながら――
「まだであるぞ、フロイスよ、余が神に成るのは――」
「まだで…あるぞ……?!」
少し目を擦りながら、その聞き覚えがある”である”調の台詞に、ようやく我に返ったフロイス。
……実はなんと、信長かいつもしている髻もとどり、ようはチョンマゲの紐が彗星の落下した衝撃でとれてしまい――
落武者みたいに、髪が全て垂れ下がった状態の髪形になった信長は、その白い寝巻き姿と相まって……
一瞬フロイスの知っている、心の中でいつも思い描いていたイエス様の姿と……たまたまそっくりだったのであった。
それで信長が一瞬、イエス様に見えてしまってのであった。
「そう、まだであるぞ、フロイスよ、余が神に成るのは――」
織田信長は、まだ呆然としているフロイスに向かって――
彗星が落ちる前に言おうとした決め台詞を、ようやく宣言する――
「……さしずめ今の余は、この日本で――
――《最も神に近い男》、信長であるぞ!」
『……四月二二日の夜の九時に、彗星が現れて甚だ長い尾を引いたので人々は恐怖した。
……そしてその彗星は数日後、安土に落ちた。』
フロイスの『日本史』
織田信長の衝撃の言葉に一瞬たじろいだが……
「そうでありません!」
さすがにこれは肯定する訳にはいかないと、はっきりとした口調で否定するフロイス。
「……なぜであるか?」
「神は、唯一無二でありますから、信長様が神であることはありませんので」
「余は第六天魔王信長である」
「そうですね」
「つまり余は他化自在天信長である」
「そうですね」
フロイスは、邪教の神ならどうでもいいという感じで答えている。
「そして、余はキリスト信長である」
「そうで…」
フロイスが、返答する前に信長は言葉を続ける――
「つまり、第六天魔王と他化自在天とキリストという、
三つの“ペルソナ”をもつ余は――
つまり、三位一体によりて――唯一で絶対の神と成ったであるぞ!」
「そうでは、ありません!」
さすがにこれも肯定できる訳にはいかない、フロイス。
「……何故である?キリストとは、救世主の意味ではないか?」
「そうですが、世界の、でございます」
「なるほど……しかし、余はそれで十分である。
……そう今はな。
さしずめこの地の全てを救えば、余も唯一無二の存在ということであるな」
「そ、そうなるかとは思いますが……」
どうせそんなことはむりなので、話を合わせておくフロイス。
「はは、であるな、ということは――
――余が、神に一番――……」
……ゴ、ゴゴコゴォォォ……
信長が、決め台詞?を言おうおとした時――
突然の空気をつんざくような轟音が辺りを多い尽くした。
そしてその時、数日間夜空を照らしていた長く尾を引く彗星が……
轟音とまばゆい光を放ちながら、安土城天主をかすめ――
なんと、大音響と共に琵琶湖に落ちた。
――天主最上階にいる織田信長であったが、その彗星が落ちた時の衝撃で巻きおこった、閃光と水しぶきに……覆い尽くされてしまった。
「信長様、大丈夫ですか?」
さすがにあまりの事に、心配の声を上げるフロイス。
「……い、いえ、イエスさま」
何故か、イエス様と呼び直す……フロイス。
なんと、それもそのはず……
閃光と水しぶきが無くなり目の前に立っていたのは、
正に―――
――イエスその人であった。
「なに、イエス……?」その者が、尋ねる。
「はい、……いえ、イエス様……」フロイスは、驚嘆の声を上げる。
「あ……あぁ……我が、我が神よ……!」
そして、とっさに胸の前で十字を切るフロイス。
その者が笑いながら――
「まだであるぞ、フロイスよ、余が神に成るのは――」
「まだで…あるぞ……?!」
少し目を擦りながら、その聞き覚えがある”である”調の台詞に、ようやく我に返ったフロイス。
……実はなんと、信長かいつもしている髻もとどり、ようはチョンマゲの紐が彗星の落下した衝撃でとれてしまい――
落武者みたいに、髪が全て垂れ下がった状態の髪形になった信長は、その白い寝巻き姿と相まって……
一瞬フロイスの知っている、心の中でいつも思い描いていたイエス様の姿と……たまたまそっくりだったのであった。
それで信長が一瞬、イエス様に見えてしまってのであった。
「そう、まだであるぞ、フロイスよ、余が神に成るのは――」
織田信長は、まだ呆然としているフロイスに向かって――
彗星が落ちる前に言おうとした決め台詞を、ようやく宣言する――
「……さしずめ今の余は、この日本で――
――《最も神に近い男》、信長であるぞ!」
『……四月二二日の夜の九時に、彗星が現れて甚だ長い尾を引いたので人々は恐怖した。
……そしてその彗星は数日後、安土に落ちた。』
フロイスの『日本史』
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