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第三章『信長とイエスーーその運命の類似』

25『奇跡の真相』

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――イエスはその活動中、

反イエス派が、偽救世主としてイエスを貶めることを狙っていたので……

出来るだけ反対派がすぐには解らない言葉、つまり喩え話――
そう隠喩いんゆが使われることが多いのです。

またイエス死後の初期キリスト教も、当初ローマ帝国に徹底的に弾圧されたので、その逆境の中キリストの教えを守るためにも、反対派に分かりにくい隠喩が使われました。


ですので、イエスが神なので、

文字通り、奇跡を起こして海の上を歩いたーーという聖書解釈もありますが、

隠喩として書かれているという聖書解釈もあるのです。


たとえば、今回の海を歩いて渡ったエピソードの場合――
イエスは精力的に布教活動をしていたので、弟子たちが舟で疲れて寝ている時も、

イエスは休まず布教を頑張っていた。

そうしたら弟子たちが休む前にいた岸とは、対岸の方まで布教に来てしまった。


それを目が覚めたばかりの弟子たちが、一目見てびっくりしてしまった。


寝る前に向こう岸にいたはずのイエス様が、気付かないうちに、対岸に移動している。


突然のことに、

「イエス様は、私たちが舟で寝ている間に、

海を歩いて舟の横を通りすぎ、向こう岸まで渡ってしまわれたのでは?」と思ってしまった。


つまり、イエスの行動力がそれほどまでに、


ーー正に神速の如しといった感じだったのです。


これは拙者が信長と結びつけようと思い付きで書いたものではなく――
そうつまり、海を歩いて渡ったというイエスの奇跡の《真相》は、超能力ではなく――
誰よりも人びと救いたいと思いから、誰よりも布教を頑張ったその行動力が、奇跡を生んだという聖書解釈をする学派も実際あるのです。

「でも、イエスが触っただけで難病を治したとか、たった数匹の魚で何千人の信者の空腹を満たしたとかの奇跡は……

……それはさすがに超能力では?」という読者の声が聞こえる……。
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