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第二章 生徒会編

校外実習

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 ゴォォォォォォォ・・・!!

『アリア、あそこが私達の実習エリアだ』

 学園を出発してから数分。

 私達はあっという間に森林地帯に到着しました。

『皆さん、既に『実習』は始まっています。特に、今回は自然に存在する魔獣が相手です。気を抜かないでくださいね』

『『『了解!!』』』

 ジーク教官の号令と共に、編隊を汲んで飛行していたそれぞれの機体が散開し始めました。

『『賢者の目』を展開しますわ!!』

 マリア様の掛け声と共に『ウルディナ』の肩部装甲からパージされた『賢者の目』が、すかさず周囲の索敵を開始します。

 イィィィン・・!!ドォォォォン!!

 その直後、ユイちゃんの『アラクネ』が轟音を立てて高木をなぎ倒しながら森林地帯に着地して、周囲の高木にいた鳥達がバサバサと舞い上がりました。

『エカテリーナ!一時の方向、距離二千!の群れが居ますわ!』

 キラーホークは鳥型の魔獣で、通常の鳥類である鷹を大型化したような姿をしています。

 その翼開長は五、六メートルに達し、時速百キロ程度で飛行することが可能です。

 そして、数羽が群れをなして行動する為、生身の冒険者では討伐が難しい魔獣の代表格となっています。

『了解!!』

 マリア様の言葉を聞いたエカテリーナは腰部マウントから小剣を持ち、『飛翔魔導』の出力を上げました。

 キィィィィィン!!

『『フローレンス』は空中戦闘も得意でしてよ!!』

 瞬く間にキラーホークに肉薄した『フローレンス』は小剣を振るって勢いのまま斬り付けます。

 ズブシュウゥゥゥ!!

「グギェェェェェ!!」

『フローレンス』に胴体を大きく斬りつけられたキラーホークは、鮮血を吹き出しながら奇声を上げます。

 ヒュルルルルル・・・。

 そして、きりもみ状態になりながら、森林の中に墜落して行きました。

 ズシャ!ズバシャァ!!!

 そのまま、『フローレンス』は流れる様で華麗な機体捌きで次々とキラーホークを討伐していきます。

『お義理様!!後ろです!!』

『フローレンス』の動きに見とれていた私は突然マリア様に声をかけられました。

『え?』

 そして、機体を背面に向けました。

『ギエェェェェェェェ!!!』

 すると、正面の光魔導スクリーンに猛スピードで肉薄してくるキラーホークの姿が見えました。

『きゃあ!?』

 迫り来るキラーホークに驚いた私は、咄嗟に操縦レバーを操作して『メルティーナ』の掌を向けながらマナを込めました。

 ビシュウゥゥゥゥゥン!!!!

 その瞬間、『メルティーナ』の拳から、収束されて白銀に輝くマナの光条が放たれました。

 ジュッ。

 直後、『メルティーナ』の放った、もはや光線と言っても過言ではない魔弾が命中した瞬間、キラーホークは断末魔の声を上げる間もなくしました。

 そして、尚も空へ伸びていく光条は、空に広がる雲を円状に押し広げながら遥か彼方へと消滅していきました。

『『『・・・・・』』』

『ア・・アリア!?今、全く力を入れた感じではなかったですわよね!?』

『咄嗟に放った魔弾でこの威力・・・義姉様、くれぐれもその魔弾を地上に向かって放たないでくださいませね!』

『は・・はい』

 因みに『魔弾を収束させて光線の様に放つ技』はシエラ様に教わったもので、通常の球状をした魔弾を放つよりも力の制御がしやすく、指向性が高いので万が一加減を誤ってもというものだったのですが・・。

 私は呆けながら、光線の飛び去って行った空と『メルティーナ』の掌を光魔導スクリーン越しで交互に眺めていました。

「ギエェェェェ・・・!!!!」

 それから間もなく、他のキラーホークが『メルティーナ』に向かって飛来してきました。

 因みに、キラーホークは基本的に高速で飛来しながらくちばしで攻撃することしかできません。

 そういう点では生身の人間が相手をするには脅威的な魔獣ですが、標準的に『防御魔導』が付与されたミスリル・アダマンタイト鋼の装甲で包まれた魔導機甲マギ・マキナは、たとえキラーホークが攻撃してきても毛ほどのダメージも受けません。

 それは、絶対的な防御力を誇る人工女神アーク・イルティアの『メルティーナ』であれば、なおの事です。

『大丈夫!問題ありません!!』

『はあぁぁぁぁ!!』

 私は心を落ち着かせると、迫り来るキラーホークの顔面に向かって『メルティーナ』の拳を振りぬきました。

 バァァァァァァァン!!!

 直後、『メルティーナ』の拳が衝突したキラーホークは、そのまま木端微塵にしていきました。

『おおう・・・アリア・・大胆ですわね』

 その様子を見ていたエカテリーナが若干引いているような声色をしているのは気のせいでしょうか。

 ドォン・・・ドォン・・・。

 その時、地上から別の魔獣による巨大な足音が聞こえてきました。

『ユイ!十一時の方向、距離五百!ですわ!!』

 ウィィィン・・!

 マリア様の指示を聞いたユイちゃんは、まるで巨大な砲塔のような『アラクネ』の上半身を旋回させて、腕部と一体化した銃口を地竜の方向へ向けました。

『私の『アラクネ』の前に立ったのがです!!!!』

 ドゥルルルルルルルルルル!!

 直後、『アラクネ』の『マギ・ライフル』から放たれた猛烈な勢いを持つ魔弾の連なりが、地竜自慢の堅い鱗をいとも容易く貫いていきます。

「グゥアオオオオオン・・・!!!」

 そして、たまらず雄叫びを上げた地竜は『ブシュ!ブシュ!』と血を激しく吹き出しながら大地に沈んでいきました。

『ユイ、地竜がもう一体!六時の方向ですわ!』

『それは私に任せてもらおう!』

 ドギュゥゥン!!

 間伐入れずにレオン様の『プラタナ』が、既に『収納魔導』から取り出していた『マギ・ライフル』を地竜に向けて高収束単射モードで撃ちました。

 ドゥンッ!

 レオン様が撃った魔弾は、『アラクネ』の後方にいた地竜の眉間を正確に打ち抜きました。

「オォォン・・」

 ドォォォォン!!!!!

 そして、そのままその地竜は呻く間もなくゆっくりとした動きで地に伏せて動かなくなりました。

『流石お兄様!お見事です!』

『っ!?』

 マリア様がレオン様を賞賛した直後、突然『ウルディナ』を旋回させました。

『っ!あちらにワイバーンの群れが!数は十・・では!!』

 マリア様は独り言つと『魔導増幅杖アクア・ワンド』をワイバーンの群れへ向けました。

 ポウ・・ポウ・・ポゥ・・・。

 すると、『ウルディナ』の周囲に小さな水球がいくつも出現し始めました。

「『ウォーター・ガン』!!」

 そして、マリア様が詠唱キャストを終えた瞬間、それぞれの水球が猛烈な速度で打ち出されました。

「ギャオウ・・・!」

「ギュアァァ・・!」

「オオン・・・!」

 直後、魔導で生み出された水による猛烈な弾幕を受けたワイバーンが、次々と墜落していきました。

『すごいです・・』

 その様子を見た私は、思わず言葉を漏らしました。

魔導機甲マギ・マキナの戦闘に於いても、『魔導』は対集団戦闘に有効なのですわ!!』

 そして、『魔導増幅杖アクア・ワンド』をくるくると回して華麗に機体を回転させながらポーズを決めた『ウルディナ』から、マリア様の得意げな声が聞こえてきました。


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